デンジャー・ゾーンの感想
何を言いたいのか空中分解しているという評判のSF戦争映画である。
撮られたのはロシアのウクライナ侵攻1年前だが、映画内では2036年ということになっていて、舞台はまさにベラルーシのあたり、このあたりのタイムリーさはさすがNetflixと思わせる。
前半はAI上官と人間の部下のバディ物というテイで、ドローン操縦官としてモニタ越しで戦場を理解してきた主人公トーマス(ダムソン・イドリス)が、AIアンドロイド上官リオ大尉(アンソニー・マッキー)に連れられて戦場のリアルに放り込まれるところから話が始まる。原題(OUTSIDE THE WIRE)は「基地(WIRE)の外」という意味だが、トーマスは、戦場では感情を度外視して被害を最小限に抑えるべきと考える効率厨で、それが過ぎて小隊で再教育を受けることになったのだ。トーマスに比べると、むしろリオ大尉の方が逆に感情豊かで、「最高だろうな、自陣の中で戦うのは(It must be nice, fight a war, never have to leave home.)」とトーマスを皮肉る。トーマスは初めての戦場にフルエており、一応、この人物の成長物語という側面がある。
ところが後半はそのリオ大尉が反乱を起こし(狂ったわけではなく、徐々に覚醒した感じ)、核を奪取してアメリカに打ち込もうとする展開になる。その動機はAIやメカ兵士開発が進むアメリカへの危機感で、「それで1億人が救われるのだから数百万が巻き添えになるのはやむを得ない」と無茶なことを言う。完全な自己否定である。
戦闘シーンや体技アクションはかなり熱のこもっており、ロボット兵士たちのデザインや挙動(敵のロボットが機銃を撃つために四つん這いになるところなど)もなかなか琴線に触れるものであることから、脚本の失敗と言えそうだ。
デンジャー・ゾーンのあらすじ
2036年、東欧で激しい内戦が勃発し、アメリカ軍は無法地帯と化した前線に駐留し、ロボット兵団「ガンプ隊(Gumps)」を派遣して平和維持活動に従事中。ドローン操縦士ハープ(ダムソン・イドリス)は、銃撃戦で撃たれた部下を救おうと四苦八苦する現場に「その2人は見捨ててください」と無情な指示を出し、独断でドローン空爆を実施。結果2名は死亡し、ハープは指示に従わなかったかどで処分を受け、再教育のため戦地へ送られる。そしてリオ大尉(アンソニー・マッキー)と共に極秘任務に就くが、大尉は最新のアンドロイドだった。二人は狂気に溺れたヴィクトル・コバル将軍(ピルウ・アスベック)が旧ソ連の核を使って世界に攻撃を仕掛けるのを阻止する危険な作戦に挑むことになるが…
デンジャー・ゾーンを観るには?
デンジャー・ゾーン キャスト
トーマス・ハープ中尉 – ダムソン・イドリス
ソフィヤ – エミリー・ビーチャム
ミラー特務曹長 – エンゾ・シレンティ
エックハート大佐 – マイケル・ケリー
ヴィクトル・コバル将軍 – ピルウ・アスベック
デンジャー・ゾーン 作品情報
脚本 – Rob Yescombe、Rowan Athale
製作 – Brian Kavanaugh-Jones、アンソニー・マッキー、Ben Pugh、Erica Steinberg、Jason Spire、アラシュ・アメル
撮影 – Michael Bonvillain
編集 – Rickard Krantz
製作会社 – Automatik Entertainment、42 Films、Inspire Entertainment
配給 – Netflix
公開 – 2021年1月15日
上映時間 – 115分


