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墜落は“縦”ではなく“奥”へ(FALL/フォールの感想)
いろんなところでネットがおすすめしてくるので、とうとう見てしまった。
フリークライミング中に滑落死した夫を悼んで1年、いまだ薬漬けのヒロイン(グレイス・キャロライン・カリー)は、冒険YouTuberの友人(実は夫の浮気相手)に誘われ、高さ625メートルの鉄塔クライミングに挑戦して気持ちに区切りをつけようとするが(ちょっと何言ってるのかわからないw)、老朽化のため鉄梯子が崩れてしまい降りられなくなるという話。
サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーという塔が本当にカリフォルニアにあり、好事家がジャンプスーツで飛び降りるので有名らしい
タイトルバックで、FALLという文字が縦に並ぶように、落ちることをテーマとする映画のはずなのに、落下運動はあくまでも縦に描かれることはなく、人はつねに「画面の奥」に落ちていく(そう、「めまい」のように)。
ターセム・シンの同題の映画を見習ってほしい。
メインの舞台は600メートル地点にある足場で、俯瞰でも地面は入らず、登ってしまった後は、正直、あまり高さは感じられない。
それもそのはずで、低予算の本作はCGを使わず、山頂に組んだ20メートルほどのセットの上で撮られたという(もちろんそれでも高いわけで、二人の女優は高所恐怖症ではないことから起用された)。
ということで、登っていくシーン(鉄骨がどんどん壊れ、帰りはないということが示唆される)以外は大してコワくなくて、中盤以降はサバイバル物になる。
救助するにはヘリしかないと思うのだが、ヒロインはラストシーンで塔の脇に止められた警察車両に座っている。
駆けつけた父親は「さあ帰ろう」というのだが、死人も出ているのだからそういうわけにもいかないだろう、とツッコミ待ちの映画なのだった。
FALL/フォール 見どころ
地上600メートルの超高層テレビ塔に取り残された2人の女性のサバイバル・スリラー映画。リアルな映像と緊張感あふれる展開が見どころ。高所恐怖症でなくても手に汗握る体験ができる。
- 見どころ1. リアルな高所描写
山頂に20メートルのセットを組み、自然光を活かして撮影された。CGに頼らず、リアルな高さと恐怖感を追求している。 - 見どころ2. 女優たちの熱演
グレイス・キャロライン・カリーとヴァージニア・ガードナーは代役を使っていない。高所での演技に備え、特別なトレーニングを受けて撮影に臨んだ。 - 見どころ3. 極限状態での人間ドラマ
サバイバルだけでなく、極限状態での友情や葛藤、心理描写が丁寧に描かれている。
撮影秘話・トリビア
- 「B67テレビ塔」は架空の建造物で、カリフォルニア州に実在する高さ625メートルの「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」がモデル。
- 撮影は砂漠地帯で行われ、高温や強風、雷雨、羽アリやミツバチの襲来など過酷な環境で行われた。風速27メートルを超える強風で塔が倒壊しそうになったそう。
- 撮影中、俳優たちが思わず放送禁止用語を放ったが、再撮影の予算がないためAIで口の動きを修正、セリフを変更した。
FALL/フォールのあらすじ
冒険好きな夫婦のベッキーと、夫のダン。しかし、夫のダンはフリークライミング中の事故で亡くなり、ベッキーは1年が経っても悲しみに暮れていた。心配する父親のジェームズともケンカになり、女友達でクライマー仲間のハンターはそんなベッキーを元気づけようと、新たなクライミングに誘う。
FALL/フォールを観るには?
FALL/フォールのキャスト
FALL/フォールのスタッフ
脚本:ジョナサン・フランク、スコット・マン
製作:ジェームズ・ハリス、マーク・レイン、スコット・マン、クリスチャン・マーキュリー、デヴィッド・ハリング
製作総指揮:ロマン・ヴィアリ、ジョン・ロング、ダン・アスマ
『FALL/フォール』は、一見ベタなようですが、多重構造をもち、時代劇ひいては映画への愛情にあふれた映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。