ミッドナイト・イン・パリの感想
2011年のウディ・アレン作品。婚約者の両親とパリを訪れた主人公は、懐古主義の人気脚本家。現実主義の婚約者と共和党右派の両親に呆れられ、パリ5区で1920年代にタイムスリップ。コクトー、フィッツジェラルド、ヘミングウェイらと出会う。94分の理想的な映画で、主人公は2011年と1920年代を自由に行き来し、さらにベルエポックに二重にタイムスリップ。ロートレックやドガらがルネッサンスに生まれたかったと口にする教訓話に。
不安定なゼルダ・フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)、ダリ、マン・レイらが登場。主人公がブニュエルに「皆殺しの天使」のアイディアを囁くシーンも。マリオン・コルティヤール演じる架空の女性との恋も。
カーラ・ブルーニの出演など、豪華キャストもアレン映画の魅力。
ミッドナイト・イン・パリ 見どころ
- パリの街の魔法のような魅力
映画そのものがパリへのラブレターと言えるほど、美しい街並みや雰囲気、文化がロマンティックに描かれる。朝、昼、夜と表情を変えるパリの様々な顔が印象的で、パリを訪れたことのある人には懐かしさを、そうでない人には憧れを抱かせる。 - 時代を超えた出会いと知的なユーモア
ギルがタイムスリップした1920年代のパリで、歴史上の偉大な芸術家たちと交流する場面が最大の見どころ。現代の常識から見るとどこか滑稽に描かれながらも、それぞれの個性が生き生きと表現されており、ウディ・アレンらしい知的なユーモアとウィットに富んだ会話が繰り広げられる。文学や芸術に詳しい人ならより一層楽しめる要素が満載。 - 「黄金時代」への憧れと現実
主人公ギルは「昔は良かった」という「黄金時代幻想」に囚われているが、タイムスリップした先で出会う人々もまた、別の時代に憧れを抱いており、いつの時代にも「今」に不満を感じ、過去や未来に理想を求める人間の普遍的な心理が表現されている。観る人に「今を生きること」の大切さを問いかける仕掛けである。 - オーウェン・ウィルソンの絶妙な演技
主人公ギルのどこかおっとりとした雰囲気と、タイムスリップという非現実的な状況に戸惑いながらも、次第に順応していく様をオーウェン・ウィルソンが絶妙に演じている。飄々とした演技がファンタジー要素を自然に受け入れさせる。 - 美しい映像と音楽
パリの風景を美しく切り取った映像に加え、ジャズを中心とした心地よい音楽が全編にわたり流れています。特に、ギルがタイムスリップするきっかけとなる、深夜のパリの路地裏の雰囲気は印象的です。 - ロマンティック・コメディとしての完成度
ファンタジー要素がありながらも、ギルの恋愛模様や自己発見の旅が、ユーモアとロマンチックさを兼ね備えたウディ・アレン独特のスタイルで描かれています。全体として、「ミッドナイト・イン・パリ」は、パリという魅惑的な都市を舞台に、タイムスリップという魔法のような体験を通して、自己と人生を見つめ直す、温かくも知的な傑作コメディです。
ミッドナイト・イン・パリのあらすじ
2010年、ハリウッド脚本家のギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネス(レイチェル・マクアダムス)とパリを訪れるが、2人の将来像や価値観の違いに悩む。ある夜、1920年代へタイムスリップしたギルは、F・スコット・フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ガートルード・スタインら芸術家と出会い、自身の小説に助言を受ける。さらに、パブロ・ピカソの愛人アドリアナ(マリオン・コティヤール)に惹かれ、現代と過去を行き来しながら、イネスとの関係とアドリアナへの思いの間で葛藤する。最終的に、スタインから婚約者の浮気を指摘され、イネスと別れる決意を固める。アドリアナとは1890年代のベル・エポック期にタイムスリップするが、彼女はそこに残ることを選び、2人は別れる。ギルは路上を歩き、蚤の市で出会った女性と雨の中、傘もささずに消えていく。この物語は、愛と芸術、過去と現在を織り交ぜたロマンチックなファンタジーである。
ミッドナイト・イン・パリのキャスト
ギル・ペンダー – オーウェン・ウィルソン
イネス – レイチェル・マクアダムス
ジョン – カート・フラー
ヘレン – ミミ・ケネディ
ポール・ベイツ – マイケル・シーン
キャロル・ベイツ – ニーナ・アリアンダ
美術館の案内人 – カルラ・ブルーニ
ワイン試飲する男 – モーリス・ソネンバーグ
1920年代のパーティゴア – ティエリー・アンシス
1920年代のパーティゴア – ギヨーム・グイ
1920年代のパーティゴア – オドレ・フルーロ
1920年代のパーティゴア – マリ=ソーナ・コンド
コール・ポーター – イヴ・エック
ゼルダ・フィッツジェラルド – アリソン・ピル
F・スコット・フィッツジェラルド – トム・ヒドルストン
ジョセフィン・ベーカー – ソニア・ロラン
アーネスト・ヘミングウェイ – コリー・ストール
フワン・ベルモンテ – ダニエル・ルント
古物商人 – ロラン・シュピールフォーゲル
アリス・B・トクラス – テレーズ・ブル=ルビンシュタイン
ガートルード・スタイン – キャシー・ベイツ
パブロ・ピカソ – マルシャル・ディ・フォンソ・ボー
アドリアナ – マリオン・コティヤール
ガブリエル – レア・セドゥ
ジューナ・バーンズ – エマニュエル・ユザン
サルバドール・ダリ – エイドリアン・ブロディ
マン・レイ – トム・コルディエ
ルイス・ブニュエル – アドリアン・ドゥ・ヴァン
探偵デュリュック – セルジュ・バグダサリアン
探偵タスラン – ガッド・エルマレ
T・S・エリオット – デイヴィッド・ロウ
アンリ・マティス – イヴ=アントワーヌ・スポト
レオ・スタイン – ロラン・クラレ
ベル・エポックのカップル – サヴァ・ロロヴ
ベル・エポックのカップル – カリーヌ・ヴァナス
マキシムの女将 – カトリーヌ・ベンギギ
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック – ヴァンサン・マンジュ・コルテス
ポール・ゴーギャン – オリヴィエ・ラブルダン
エドガー・ドガ – フランソワ・ロスタン
ヴェルサイユの王族 – マリアンヌ・バズレール
ヴェルサイユの王族 – ミシェル・ヴィエルモーズミッドナイト・イン・パリのスタッフ