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バニー・レークは行方不明の感想
65年のオットー・プレミンジャー作品で、「バルカン超特急」に連なる不条理な行方不明物の隠れた名作と言われる。問題は、類似作と違って4歳の少女バニー・レークをクライマックスまで隠していることで、このため観客は情緒不安定なキャロル・リンレイ(日本ではヒチコック劇場ほかテレビ映画でおなじみ)の正気を疑うことになるのだが、雑誌記者の兄もまた(当初は)バニーの存在を主張しているのだから、この兄妹が怪しいのはやはり自明なのだ。
キャメラワークは冒頭から非常に巧妙だし、終盤の“対決”はもしかしたら映画史的なものかもしれないのだが、変態大家ノエル・カワードが必要以上にしつこくつきまとうことからも(本作はローレンス・オリヴィエとカワードの2ショットを見られる映画なのだ!)、どちらかと言うと演劇的である気がする。
バニー・レークは行方不明 見どころ
イヴリン・パイパーの同名小説が原作で、子供の失踪と母親の精神状態を巡る謎が複雑に絡み合う、心理サスペンスの傑作として知られる。パイパーの原作では、1889年に発生したとされる「パリ万博事件」が紹介されている(イギリス人の母娘がパリのホテルに宿泊したが、母親が姿を消し、娘が必死に探すが、「始めから母親はいなかった」と言われるという事件だが、証拠がないため都市伝説と言われている)。
- 「子供の存在の否定」という究極の恐怖
大切な存在である子供が「存在しなかった」と周囲に言われるという、親にとってこれ以上ない恐怖を描いている。観客もまた、主人公の訴えを信じるべきか、それとも彼女の精神状態を疑うべきかというジレンマに陥る。 - オットー・プレミンジャー監督の冷徹な演出
監督のオットー・プレミンジャーは、感情的な描写を排し、冷徹かつ客観的な視点から物語を描いた。主人公の孤立感、真相が掴めない不気味さを一層際立たせている。学校のシーンや警察での尋問シーンなど、日常的な場所が不穏な空間に変貌していく演出が見事。 - キャロル・リンリーの鬼気迫る演技
娘の存在を信じてもらえず、精神的に追い詰められていく母親アンを、キャロル・リンリーが鬼気迫る演技で表現。彼女の必死さ、焦燥、そして絶望感が伝わってくる。 - ローレンス・オリヴィエの重厚な存在感
アンを疑いながらも、事件の真相を冷静に探ろうとするニューハウス警視を、名優ローレンス・オリヴィエが重厚に演じる。 - 不穏な雰囲気とサイケデリックな要素
当時の時代背景も反映され、どこか不穏でサイケデリックな雰囲気も漂う。オカルト的な要素、主人公の精神状態とリンクするような映像表現が独特のムードに。 - 衝撃の真相とどんでん返し**:
物語が進むにつれて、バニー・レークの失踪の背後にある衝撃的な真実が明らかに。ヒッチコックを彷彿とさせるような、予測不能な「どんでん返し」が待ち受ける。
バニー・レークは行方不明のあらすじ
アメリカからロンドンに引っ越したアン(キャロル・リンレイ)は、4歳の娘バニーが保育園から失踪し、存在自体が疑われる。スコットランド・ヤードのニューハウス警部(ローレンス・オリヴィエ)は、バニーが最初から存在しなかった可能性を指摘。アンはバニーの人形を頼りに深夜に修繕屋へ向かうが、兄スティーブン(キア・デュリア)が人形を燃やし、アンを精神病院に閉じ込める。脱出したアンは、以前の住居でバニーを発見。スティーブンは平然とアンをいたわるが、アンは彼にブランコを激しく押させ、2人の笑い声が響く中、警部が到着する。
バニー・レークは行方不明を観るには?
バニー・レークは行方不明のキャスト
スティーブン・レイク – キア・デュリア
エルヴァイラ – アンナ・マッセイ
エイダ・フォード – マーティタ・ハント
ウィルソン – ノエル・カワード
ニューハウス警部 – ローレンス・オリヴィエ
アンドリュース捜査官 – クライブ・レヴィル
フェリシア・”バニー”・レイク – スーキー・アップルビー
ドロシー – エイドリアン・コリ
コック – ルーシー・マンハイム
看護婦 – キカ・マーカム
保育士 – ジル・メルフォード
ザ・ゾンビーズ – ザ・ゾンビーズ
バニー・レークは行方不明のスタッフ
脚本 – ジョン・モーティマー、ペネロープ・モーティマー
原作 – イヴリン・パイパー『バニー・レークは行方不明』
製作 – オットー・プレミンジャー
音楽 – ポール・グラス
撮影 – デニス・クープ
編集 – ピーター・ソーントン
製作会社 – Wheel Productions
配給 – コロンビア ピクチャーズ
上映時間 – 107分
『バニー・レークは行方不明』は、人間の精神の脆さ、そして「信じること」の難しさを深く問いかける、古典的サイコサスペンスの傑作です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。