ノイズの感想
原題は「宇宙飛行士の妻」で、序盤の舞台はフロリダでSFチックな雰囲気も漂うが、中盤からはNYに舞台を移し、「ローズマリーの赤ちゃん」になる。
まだ無名と言ってもいいだろう24歳のシャーリーズ・セロンがベリーショートなのは、ミア・ファローへのオマージュだという(それとは関係なく、中盤はほとんどセロンの肉体を描写するための映画になっている)。
また序盤にはジョン・カサヴェテスの息子も出ている(ジョニー・デップではない方の宇宙飛行士)。
ジョニデはさすがにうまくて、序盤と終盤では違う人物のように見えるのだが、ストーリーは退屈で、怪しいのはジョニデひとりなので、追いつめられたセロンが神経衰弱になる流れが弱い(もちろんオチも弱い)。
ノイズ 見どころ
- シャーリーズ・セロンの心理的演技
夫の異変に気づき、孤立無援の状況で精神的に追い詰められていく妻ジリアンを、シャーリーズ・セロンが演じる。不安、疑惑、恐怖がひしひしと伝わる。ブロンドのショートカットで苦悩する姿は、ミア・ファロー(『ローズマリーの赤ちゃん』主演)を彷彿とさせる。 - ジョニー・デップのミステリアスな魅力
生還後、別人のように不気味な変貌を遂げる夫スペンサーを、ジョニー・デップがミステリアスに演じる。彼の穏やかな笑顔の裏に潜む冷酷さや、底知れない不気味さがサスペンスを盛り上げる。 - SFとサイコスリラーの融合
宇宙での不可解な出来事が地上での心理的な恐怖へと繋がっていくSF要素、妻が夫の正体を探る中で精神的に追い詰められていくサイコスリラー要素が融合。予測不能な展開とじわじわと迫る不穏な雰囲気。 - 「家族」という密室の恐怖
最も安全であるべき家庭、そして最も信頼しているはずの夫が、実は「何か」に侵されているという設定が身近な恐怖。夫婦という密室の関係性の中に潜む闇が浮き彫りになる。 - 視覚的・聴覚的な不安の演出
タイトルの「ノイズ」が示すように、不穏な音響や、ジリアンが見る幻覚のような映像が、彼女の精神状態や物語の不気味な雰囲気を高める。
ノイズのあらすじ
NASAの宇宙飛行士スペンサー・アーマコスト(ジョニー・デップ)は同僚のアレック・ストレックと宇宙空間での作業中に事故に巻き込まれ、2分間通信が途絶えたが、無事に帰還した。スペンサーは事故のことについて妻・ジリアン(シャーリーズ・セロン)に一切語らない。やがてストレックがパーティー中におかしくなり脳卒中で死亡。その妻ナタリーもバスタブの中でラジオを抱えて感電死した。
スペンサーはニューヨークの軍用機メーカー、マクラーレンに転職し、ジリアンも双子は身ごもるが、どこか人が変わった夫に違和感を持ちはじめる。そんなある日、元NASAの職員シャーマン・リースがジリアンを訪ねてきた。彼はスペンサーが宇宙飛行前と微妙に違っていると主張し、誰も信じてくれずNASAを解雇されたと言うのだが……
ノイズを観るには?
ノイズのキャスト
ジリアン・アーマコスト – シャーリーズ・セロン
シャーマン・リース – ジョー・モートン
ナン – クレア・デュヴァル
ナタリー・ストレック – ドナ・マーフィー
アレックス・ストレック – ニック・カサヴェテス
ノイズのスタッフ
脚本 – ランド・ラヴィッチ
製作 – アンドリュー・ラザー
音楽 – ジョージ・S・クリントン
撮影 – アレン・ダヴィオー
編集 – ティム・アルヴァーソン、スティーブ・ミルコビッチ
製作会社 – ニュー・ライン・シネマ
公開 – アメリカ 1999年8月27日、日本 2000年2月26日
上映時間 – 109分
『ノイズ』は、派手なアクションやグロテスクな描写よりも、登場人物の心理的な葛藤と、得体の知れない恐怖を描いたSFサイコスリラーです。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。