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波うららかに、めおと日和の感想
昭和11年から始まる、海軍中尉とその嫁のウブな純愛コメディである。
しかし、昭和19年に祝言をあげるところから始まる「この世界の片隅に」をすでに見ている私たちは、どうしてもこうの史代の作品と比較してしまう。繊細な筆致で描かれた戦時下の日常と喪失を描いたこうの史代作品とは異なり、本作は戦争の影がまだ薄い時代に焦点を当て、新婚夫婦の甘く微笑ましい日々を中心に据えたものだ。
海軍中尉の妻となり、20歳になりながらも驚くほどの世間知らずぶりを発揮するヒロインを芳根京子が、コントすれすれの感じで演じる(純粋無垢さと懸命に妻らしくあろうとする健気さが絶妙なバランス)。こうの史代作品とは異なり、結婚相手の本田響矢には両親がおらず、姑という存在が登場しないので、物語は純粋なラブコメディに特化され、嫁姑問題などは出てこなさそうだ。
昭和11年といえば、2月に二・二六事件で海軍大将が襲撃されるなど、軍部内の緊張が高まりつつあった時代である。しかし、太平洋戦争開戦までは、海軍は陸軍に比べて政治的存在感が薄く、比較的穏やかな印象があった。主人公の夫が所属する海軍という組織は、まだ戦争の主役ではなく、そこで働く人々の日常生活にも平和な時間が流れていた。
本作の魅力は、歴史の大きな流れを背景にしながらも、そこに生きる普通の若い夫婦の何気ない日常と成長を丁寧に描いていくことにあるのだろう。芳根が家事や料理に奮闘する姿、街に出て新しい経験に戸惑う様子、そして少しずつ妻として、一人の女性として自立していく過程が楽しみだ。本田響矢も、厳格な軍人としての顔と、妻に対する優しさや戸惑いを見せる素顔のギャップが魅力的に表現していた。
昭和初期の暮らしぶりや風俗、海軍基地のある街の風景などの細部がどこまで再現されるかが見どころ。やがて訪れる戦争の暗い影と、「失われた平和な日常」への郷愁が複雑な感情を呼び起こしそうだ。
波うららかに、めおと日和のあらすじ
主人公の江端なつ美は、春に突然の縁談で帝国海軍の江端瀧昌と婚約するが、結婚式当日に瀧昌が不在という波乱の幕開けとなる 。携帯もない戦前日本を舞台に、恋愛に不慣れな二人の結婚から始まる恋が描かれる 。初々しくもどかしい夫婦生活の中で、何気ない日常から幸せや愛おしさを感じ、少しずつ距離を縮めていく様子が綴られる 。
波うららかに、めおと日和を観るには?
波うららかに、めおと日和のキャスト
江端なつ美(関谷家の三女) – 芳根京子
江端瀧昌(帝国海軍中尉) – 本田響矢
周辺人物
芳森芙美子(なつ美の友人) – 山本舞香
瀬田準太郎(なつ美の幼なじみ) – 小宮璃央
深見龍之介(瀧昌の同僚) – 小関裕太
坂井嘉治(瀧昌の友人) – 戸塚純貴
活動弁士 – 生瀬勝久
柴原郁子(上官の妻) – 和久井映見
関谷家
関谷はる江(なつ美の姉) – 森カンナ
関谷さつき(なつ美の母) – 紺野まひる
関谷篤三(なつ美の父) – 高橋努
関谷あき奈(なつ美の姉) – 咲妃みゆ
関谷ふゆ子(なつ美の妹) – 小川彩(乃木坂46)
波うららかに、めおと日和のスタッフ
脚本 – 泉澤陽子
音楽 – 植田能平
主題歌 – BE:FIRST「夢中」
時代考証 – 大石学
プロデュース – 宋ハナ
協力プロデュース – 三竿玲子
制作プロデュース – 古郡真也
演出 – 平野眞、森脇智延
制作協力 – FILM
制作著作 – フジテレビ