恐怖の岬

ポリー・バーゲン(恐怖の岬)
ポリー・バーゲン(恐怖の岬)

1962年に公開されたアメリカ映画。原題は「Cape Fear」。真っ当に暮らす弁護士一家を逆恨みした男によるストーキングの恐怖を描いた、グレゴリー・ペックとロバート・ミッチャム共演のサスペンス映画。原作はジョン・D・マクドナルドの『法に叛く男』。1991年には『ケープ・フィアー』としてリメイクされた。なお、グレゴリー・ペック、ロバート・ミッチャム、マーティン・バルサムの3人は『ケープ・フィアー』に、本作とは正反対のひねりの効いた役でカメオ出演している。

恐怖の岬のあらすじ

弁護士のサムは妻のペギーと娘のナンシーとの3人で幸せに暮らしていた。だがある日、長い間服役をしていた性犯罪者のマックスという男が出所する。マックスは自分が牢屋に入れられたのはサムが証言したせいであると恨みを募らせており、サムへの復讐を開始する。マックスの目論みに気づいたサムは一家を守るために対抗手段をとる。

恐怖の岬の感想

帰らざる河」を見たので、ロバート・ミッチャムと「川」という連想でウン十年ぶりに再見。この川(ケープフィアー川)は南部ノースカロライナ州である。

お礼参りに来た前科者(パナマ帽に白いスーツのロバート・ミッチャム)にストーキングされる恐怖を描いたシンプルな映画だが、昔見た記憶ではもっと怖かったはずなのに、今見るとそうでもないのは、歌手としても活躍したポリー・バーゲンという女優の演技が下手で、まったく魅力を感じないからだろう。ミッチャムに生卵を塗りつけられたりするのはヘイズコード末期で抑制された表現だったと思われるが、なぜかエロティシズムはほとんど感じられない。

主人公グレゴリー・ペックは弁護士なのだが、ミッチャムが不穏な言動をしてうろついているという理由だけで不安になり、友人の署長に手を回して何度も別件逮捕したり、波止場のチンピラを雇って襲わせたりしている。マエモチに対する偏見的な警戒は今見るとかなり違和感あるが、当時の感覚では普通だったのだろう。仮出獄したアラン・ドロンが更生に苦しむ「暗黒街のふたり」という映画が公開されるのは10年以上も後のことである。

もっとも、ミッチャムは時間をかけて女をいたぶるのが好きという本物の変態で、裸になるとムチガチなのがいかにも危険である。その本命はペックの妻ではなく15歳の娘の方で、最初の登場シーンから胸のふくらみを強調した衣裳を着せている。ペックの台詞によれば、ミッチャムは、何をされたかを裁判でこと細かに証言できないだろうと高をくくって、あえて少女を狙っているのだという。ただし、このロリ・マーティンという子役もヘタクソ演技なのだった。

さて肝心のケープフィアー川での対決だが、ペックが仕掛けた罠はてんで杜撰で(飛行機で州都に行ったと見せかけて海路で戻ってきたというだけ)、ボートハウスに誘い込んだ理由も説明されない。ただ、水の中で保安官を絞め殺すというミッチャムの手練は、蛇のような執拗でかなり気味悪いものである。

恐怖の岬のキャスト

サム・ボーデン – グレゴリー・ペック
マックス・ケイディ – ロバート・ミッチャム
ペギー・ボーデン – ポリー・バーゲン
ナンシー・ボーデン – ロリ・マーティン
マーク・ダットン警察署長 – マーティン・バルサム
デーブ・グラトン – ジャック・クルーシェン
チャーリー・シーバース – テリー・サバラス
ダイアン・テイラー – バリー・チェイス
ジョージ・ガーナー – ポール・コミ
裁判長 – エドワード・プラット

恐怖の岬のスタッフ

監督 – J・リー・トンプソン
脚本 – ジェームズ・R・ウェッブ
製作 – サイ・バートレット
音楽 バーナード・ハーマン
撮影 サム・リーヴィット
編集 ジョージ・トマシニ
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
上映時間 105分

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