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252 生存者あり

4.0
大森絢音(252 生存者あり) 映画
大森絢音(252 生存者あり)
252 生存者ありは、2008年12月6日公開のパニック映画。
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252 生存者ありの感想

水田伸生唯一のパニック映画(2008年)なのではないかと思うが、当人は人間ドラマと言っている。

巨大台風で壊滅した都心新橋駅地下でのレスキュー物で、男優メインの群像劇なのだが、見劣りしそうな3人の女優(香椎由宇桜井幸子MINJI)とひとりの子役(今は21歳になった大森絢音だ)をくっきりと捉える空気感が、いつもの水田伸生節なのがすごい。

252 生存者あり 見どころ

巨大地震と津波によって地下鉄に閉じ込められた人々の救出劇を描いたディザスター映画。

  1. “群像劇×人間ドラマ”への昇華
    水田伸生は「災害のスペクタクルを描く」だけではなく、「そこで生きようとする人間たちの物語」に主眼が置いている。たとえば地下鉄に取り残された5人のドラマ(医者を目指す青年、親子、老夫婦など)を丁寧に交差させる群像演出、彼らが極限状況の中で自分と向き合い、他者を思いやる“変化と赦し”の物語に仕立てているといった点がそうだ。
  2. 感情の高まりを演出する“静と動のバランス”
    水田演出の特徴は、「感情を爆発させる前に、空白を置く」こと。崩落や津波などの“動”のシーンでは圧倒的な音と振動で見せる。一方で、生存者たちが「誰かに助けてほしい」と叫ぶ前に、沈黙や静寂を挟むことで、言葉の重さを際立たせる。こうした演出が、被災者の“祈るような心”を観客に体感させる効果を持っている。
  3. 兄弟の確執と再生のドラマの軸化
    主人公(伊藤英明)は元ハイパーレスキュー隊員、そして彼の兄(内野聖陽)は現役の指揮官。二人の間には過去の出来事による確執があり、互いに本音を語れずにいる。水田は、この兄弟の関係を“災害という非日常の中で再構築される人間関係”の象徴として描き、巨大災害という“外的な困難”と、心の距離という“内的な障壁”を同時に解決していくドラマ構造に仕上げた。つまり「人を助けること」は「誰かと向き合うこと」であり、ヒーロー像を等身大に落とし込む演出となっている。
  4. 災害描写にリアリティを持たせる“現場感”
    水田演出の特徴は「現場主義的なリアリズム」。CGに頼らず、地下鉄セットや水流、破壊演出に物理的リアリティを追求している。地下空間の閉塞感、水がじわじわと迫ってくる時間的圧迫感、救助隊の目線と緊張感を巧みに組み合わせ、視聴者が「その場にいるような感覚」にさせる演出力が見どころ。
  5. 感情を動かす“音楽と間”の使い方
    ラストに「252 生存者あり!」の報が入る瞬間、水田は音楽を一旦止め、サイレンや呼吸音だけで緊張を演出している。その直後に流れる音楽と涙の演技——抑制からの開放という感情の揺さぶりに、「泣かせ」の美学が投影されている。

252 生存者ありのあらすじ

小笠原諸島沖の地震後、海底のマグマ活動により史上最大級の巨大台風が発生。9月16日、東京湾岸部に雹や高潮が襲い、臨海副都心や汐留、新橋などが壊滅的な被害を受けた。地下鉄新橋駅では鉄砲水が発生し、多くの人々が流された。元レスキュー隊員の篠原祐司は、娘のしおりら生存者と共に廃駅となった旧新橋駅に避難し、「252」(要救助者あり)の信号を送る。東京消防庁のハイパーレスキューは、台風の目の中に入る18分間という限られた時間で、彼らを救出する命懸けの作戦を開始する。

252 生存者ありを観るには?

252 生存者ありのキャスト

主要人物
篠原祐司 – 伊藤英明
篠原静馬 – 内野聖陽

地下鉄 新橋駅の生存者たち
重村誠 – 山田孝之
藤井圭介 – 木村祐一
キム・スミン – MINJI
篠原しおり – 大森絢音

地上・新橋ロイヤルホテルの人々
宮内達也 – 山本太郎
青木一平 – 松田悟志
川瀬久嗣 – 松田賢二
小山健太 – 平塚真介
大和田誠 – KENROKU
風野牧 – 中村圭太
真柴哲司 – 杉本哲太
篠原由美 – 桜井幸子

気象庁予報部
海野咲 – 香椎由宇
津田沼晴男 – 温水洋一
小暮秋雄 – 西村雅彦

その他
長坂 – 阿部サダヲ
男 – ルー大柴
地下鉄の駅員 – 半海一晃
秋山 – 中根徹
お天気キャスター – 木原実
ニュースキャスター – 笛吹雅子

252 生存者ありのスタッフ

監督:水田伸生
原作:小森陽一
脚本:小森陽一、斉藤ひろし、水田伸生
撮影:林淳一郎、さのてつろう
編集:菊池純一、佐藤崇
美術:清水剛
VFXスーパーバイザー:小田一生
音楽:岩代太郎
主題歌:MINJI「LOVE ALIVE」
製作指揮:島田洋一
製作:堀越徹、西垣慎一郎、平井文宏、上木則安、小笠原明男、神野智
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治
Co.エグゼクティブプロデューサー:神蔵克
プロデューサー:佐藤貴博下田淳行
協力:東京消防庁、気象庁
企画製作:日本テレビ放送網
製作プロダクション:ツインズジャパン
製作委員会メンバー:日本テレビ放送網、讀賣テレビ放送、バップ、ワーナー・ブラザース映画、A-team、ツインズジャパン、札幌テレビ放送、宮城テレビ放送、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、広島テレビ放送、福岡放送
配給:ワーナー・ブラザース映画

『252 生存者あり』は、ジャンルとしてはディザスター映画でありながら、水田伸生の演出によって、家族・兄弟・見ず知らずの人との“心の再接続”を描く作品へと昇華されています。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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