バウンドは、1996年のアメリカのクライムサスペンス映画。原題は「Bound」。リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー(ウォシャウスキーシスターズ)の初監督作品。本作は「マトリックス」制作に向けたプレゼンテーション(実力の証明としてスポンサーに提示する映像)も兼ねていた。
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バウンドの感想
公開当初はレズ設定をネタにしているとLGBT界隈の評判が悪かったらしいが、ウォシャウスキー姉妹がシスターズになった今では名作。
ハリウッド映画の文脈では、超アヒル口のジーナ・ガーション(白ブリーフがまぶしい)は、ジェニファー・ティリーを救い出す色男として、もっと活躍するはずなのだが、節目節目で容赦ない強さを示すのはジェニファーの方であり、よくできた脚本である。最後まで生き残るジョー・パントリアーノが1枚ずつ札にアイロンをかける生真面目な男という描写もいい(なぜジェニファーは手伝わないのかw)。
バウンド 見どころ
ウォシャウスキー姉妹(当時は「ウォシャウスキー兄弟」名義)の初監督作にして、ネオノワール×クライムサスペンス×レズビアン・ロマンスを鮮烈に融合させた一作。
- ジャンルの型を「裏切る」フェミニズム・ノワール
ウォシャウスキー姉妹は、従来のネオノワールやギャング映画に対する期待をひっくり返したかったと語っている。
典型なら「男が主導で、女は小道具」。本作では主人公が女性2人。ギャングの男たちを出し抜き、女性の戦略が勝つ構造はジャンルへの痛烈なアンチテーゼである。 - シスターズ初期作にして“Queer映画の鍵”
ヴィオレット(ジェニファー・ティリー)とコーキー(ジーナ・ガーション)の恋愛関係は、恋愛/セックスシーンが物語の核となる関係性。深く丁寧に描写されており、90年代メインストリーム映画としては異例だった。当初MPAAにはNC‑17認定されかけたが、長回し&リアルかつ愛情を伴う演出でR指定を獲得。さらに、ジーナ・ガーション自身が「この作品での女性ヒーロー像が好き」と語るほど、彼女が「ヒーロー」を演じる意義も高い作品である。 - 鮮烈なトリックと緊迫のプロット
ヴィオレットとコーキーは、暴力的なマフィア男・シーザー(ジョー・パンタリアーノ)の金を狙う。ウォシャウスキー姉妹はクライム・シーンを緻密に構築し、血の匂いと緊張感を高める演出。ロジャー・エバートは「ユーモアとスリルが混じる濃密な体験」と評し、The Guardian誌も「ポップながら緻密な構成」と高評価。 - スタイリッシュかつ凝縮されたヴィジュアル演出
38日間という低予算の撮影ながら、ビル・ポープの撮影技術により、閉鎖的アパート空間が“罠”のような緊迫感を帯びている。白と赤のイメージ反復(清潔と血の象徴)は心理戦を視覚化し、「箱の中に閉じ込められている」という人物の心理状態のメタファーにもなっている。 - 信頼と共同作業としての“愛”
ただ恋愛シュミレーションではない。彼女たちは“信頼”によって犯罪計画を成立させる。ガーションは「信頼の物語だ」とコメントしており、ティリーも「身体的なサポートをし合うリアリティある関係」と語り、「恋愛以上」の絆が描かれている。
バウンドのあらすじ
5年の服役を終えたレズビアンの女泥棒コーキーは、マフィアの伝手でアパートの一室を改装する仕事に就く。隣の部屋で暮らすのは、マフィアのシーザーとその恋人ヴァイオレット。コーキーとヴァイオレットはお互いに惹かれあうようになり関係を持つ。
ある日、シーザーとの生活に耐えられなくなったヴァイオレットは、シーザーが預かっている200万ドルを持ち逃げしようとコーキーに持ちかけ、コーキーは完璧な計画を立てる。
バウンドを観るには?
バウンドのキャスト
ヴァイオレット – ジェニファー・ティリー
コーキー – ジーナ・ガーション
シーザー – ジョー・パントリアーノ
ミッキー – ジョン・P・ライアン
ジョニー – クリストファー・メローニ
ジーノ – リチャード・C・サラフィアン
ロウ – ピーター・スペロス
シェリー – バリー・キヴェル
コーキー – ジーナ・ガーション
シーザー – ジョー・パントリアーノ
ミッキー – ジョン・P・ライアン
ジョニー – クリストファー・メローニ
ジーノ – リチャード・C・サラフィアン
ロウ – ピーター・スペロス
シェリー – バリー・キヴェル
バウンドのスタッフ
監督 – リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
脚本 – リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
製作 – アンドリュー・ラザー、ステュアート・ボロス
製作総指揮 – リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
音楽 – ドン・デイヴィス
撮影 – ビル・ポープ
編集 – ザック・ステンバーグ
公開 – アメリカ 1996年10月4日 日本 1997年7月5日
上映時間 – 108分
脚本 – リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
製作 – アンドリュー・ラザー、ステュアート・ボロス
製作総指揮 – リリー・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
音楽 – ドン・デイヴィス
撮影 – ビル・ポープ
編集 – ザック・ステンバーグ
公開 – アメリカ 1996年10月4日 日本 1997年7月5日
上映時間 – 108分
『バウンド』は、ネオノワールの定石を破壊し、女性・クィアの視点で作り直した新しいジャンル映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。