凶悪

池脇千鶴(凶悪)
池脇千鶴(凶悪)

新潮45編集部編のノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』(新潮文庫)を原作とした、2013年の犯罪映画。第37回モントリオール世界映画祭フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に出品、2013年12月6日~8日のLA EigaFest 2013招待作品。原作は、1999年に実際に起きた凶悪殺人事件「上申書殺人事件」を基に、獄中の死刑囚が告発した殺人事件の真相を新潮45編集部が暴き、首謀者逮捕に至るまでを描いた犯罪ドキュメント。

凶悪の原作

「新潮45」編集部 編「凶悪―ある死刑囚の告発」 (新潮文庫)

「新潮45」編集部 編「凶悪―ある死刑囚の告発」 (新潮文庫)

凶悪の原作の内容

人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生”と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか? 記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪”を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。

凶悪の原作を読んだ人の感想

映画 凶悪

映画 凶悪の予告映像

映画 凶悪のあらすじ

スクープ雑誌「明潮24」に死刑囚・須藤から手紙が届き、記者の藤井は編集長から面会して話を聞くよう命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の3件の殺人事件と、その首謀者「先生」と呼ばれる木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、藤井は取り憑かれていく。

「先生」木村が首謀し、須藤が関与したとされる殺人事件

  • 借金を返さない男の態度に立腹して絞殺した木村は、森田という土建会社の社長を脅迫して焼却炉を使い、須藤と死体を焼く。後日森田は建材の下敷きになる事故で植物状態に。
  • 島神剛志という地主を生き埋めにし、土地を売却して一億数千万円の利益を得た。
  • 電気店の隠居老人には5千万円の借金があったため、妻、娘夫婦と共謀して8千万円の生命保険に加入させ、無理やり大量の酒を飲ませて殺した。

須藤はこのほか、木村は関わっていないが飲食店経営者を首吊りに見せかけて殺したことも告白。ムショ仲間で須藤を裏切った佐々木(ケンちゃん)を川へ落として殺したこと、木村から預かった舎弟の日野とその交際相手の順子を暴行し、マンションに灯油をまいて放火したことも話した。この放火殺人の容疑者として須藤が報道された時、木村から「自分だけ逃げようとしている」と聞かされ、口封じをしたい木村にはめられ、可愛い舎弟を殺した。
須藤の告白のウラを丹念にとる藤井は、告白が嘘ではないことを確信し、レポートを警察に持ち込むが、警察の反応は冷たかった。懐疑的だった編集長も藤井を信じ、「誰も知らない3つの殺人」という記事が注目を集め掲載誌は部数を伸ばした結果、警察も動き、記事が木村、牛場の妻、娘夫婦の逮捕につながった。
取材を続けた藤井の頭の中は事件のことだけでいっぱいで家庭をかえりみず、認知症の母の介護をおしつけた妻から離婚を迫られる。藤井は母を老人ホームに預け、須藤が地主の島神を埋めたと証言した場所で、土砂降りの中、証拠を求めてひとりシャベルで掘り続ける。

映画 凶悪の感想

ひええ、ピエール瀧1がコワイ。リリー・フランキーのギョーカイ的な無邪気さももちろんコワイのだが、瀧の場合、「あまちゃん」「とと姉ちゃん」のコワモテ料理人が、そのままの無表情で、ちょっと店の奥に引っ込んだついでに凶行に及んだりしていそうなシームレスさが感じられてコワイのだ。
これはノンフィクションで(池脇千鶴が義母の介護でノイローゼになる山田孝之の家庭は、映画オリジナル)、編集部は「新潮45+」。当時の編集長は中瀬ゆかりだったという。

映画 凶悪のキャスト

藤井修一 – 山田孝之
須藤純次 – ピエール瀧
木村孝雄 – リリー・フランキー
藤井洋子 – 池脇千鶴
藤井和子 – 吉村実子
五十嵐邦之 – 小林且弥
日野佳政 – 斉藤悠
田中順子 – 範田紗々
佐々木賢一 – 米村亮太朗
遠野静江 – 松岡依都美
遠野星姫 – 森田眞生、木村心結
福森孝 – 九十九一
森田幸司 – 外波山文明
森田道江 – 竜のり子
牛場悟 – ジジ・ぶぅ
牛場百合枝 – 白川和子
牛場利明 – 廣末哲万
牛場恵美子 – 原扶貴子
木村幸恵 – 山田彩、小倉明莉
芝川理恵 – 村岡希美
池田太一 – ウダタカキ
美花の父 – 田中隆三
菅原 – 伊藤紘
島神剛志 – 五頭岳夫
新島 – 粟野史浩
老人 – 松熊信義
家主 – 田村勝彦
警官1 – 田上晃吉
刑事 – 吉満涼太、早坂直家
裁判長 – 伏見哲夫
検察官 – 信太昌之
弁護人 – 大滝寛
弁護人 – 小川あつし
裁判長 – 高瀬哲朗
検察官 – 齊藤あきら
グラビアアイドル – 矢吹春奈
スナック嬢 – 関亜弓
刑事 – 上谷健一
アナウンサーの声 – 小磯一斉丸山千珠子
介護師 – 増田恵美

映画 凶悪のスタッフ

監督 白石和彌
脚本 高橋泉、白石和彌
原作 新潮45編集部編『凶悪 -ある死刑囚の告発-』
製作 鳥羽乾二郎、十二村幹男、赤城聡、千葉善紀、永田芳弘、齋藤寛朗
製作総指揮 由里敬三、藤岡修
音楽 安川午朗
撮影 今井孝博
編集 加藤ひとみ
公開 日本 2013年9月21日
上映時間 128分

映画 凶悪を観た人の感想

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