美しい妻をかばい追いつめられていく刑事（シークレットの感想）
ソウル警察の殺人課刑事チャ・スウォンは暴力団員の殺人現場で、妻（ソン・ユナ）のイヤリングの片割れ、洋服のボタン、口紅の付いたグラスを発見する。
それらを即座に隠蔽してしまう展開は、日本のドラマではありえないが、韓国映画やドラマでは、そういうことをする刑事がいてもおかしくないのだった。
帰宅したスウォンは妻を問いただすが、うまくいかない。実は浮気相手との逢瀬後に飲酒運転で交通事故を起こし、娘を死なせた負い目があるのである（この設定も、かなり終わっている）。
セオリーとしてソン・ユナは殺していないはずだが、なぜ現場にいたのか、なぜ真実を語らないのかという謎があり、さらに死んだ暴力団員の兄（リュ・スンリョン（「エクストリーム・ジョブ」の班長）が復讐を誓い、犯人の皮を剥ぐと宣言しているので、スウォンは警察とヤクザに挟まれてどんどん追いつめられていく展開になる。
リュ・スンリョンがコワくないと映画が成立しないため、かなりハッタリを利かせているのだが、やややりすぎで、コピ・アルクの豆をいつもポリポリ齧っていたりして、ほとんどギャグぎりぎりである。
チャ・スウォンは「毒戦 BELIEVER」「奈落のマイホーム」を見ているが、あまり韓国人ぽくないモデル然とした俳優だ。
そしてソン・ユナ。
これも美しくなければ映画が成り立たないのだが、わりと昭和っぽい雰囲気で、私はピンと来なかった。
映画はどんでん返しというか、わりとブラックな終わり方をする。これも日本の刑事物ではなかなかできないだろうと思わせるものだった。
シークレットのあらすじ
刑事のソンヨルは、不倫相手との帰りに娘を事故死させ、妻ジヨンと疎遠になっていた。ある日、ジヨンは血のついた服で帰宅し、暴行団関係者の殺人事件現場で妻の痕跡を見つけたソンヨルは、妻が事件に関与していると疑い始める。妻を容疑者から守るため奔走するソンヨルだが、妻の関与を知る謎の男から金銭を要求される。ジヨンは事件について語ろうとせず、ソンヨルは孤立を深めていく。
シークレットの見どころ
- 夫婦関係の描写と感情の揺れ
ユン・ジェグ監督は本作を「基本的に夫婦の感情に関する映画」と位置づけており、夫婦間の信頼と裏切り、愛情と疑念が交錯する心理描写が中心となっている。 - スリラー要素と構成の巧妙さ
事件の真相を追う過程で、観客の予想を覆す展開が続き、緊張感を高める。伏線の張り方や情報の小出しにより、最後まで観客を引き込む構成だ。 - チャ・スンウォンの演技力
内面に葛藤を抱える刑事を繊細に演じる。またソン・ユナも複雑な感情を持つ妻ジヨンを見事に表現している。 - 映像美と演出クオリティ
暗い色調や雨のシーンなど、映像によって登場人物の心理状態や物語の雰囲気を効果的に表現。ユン・ジェグ監督の演出力が光る.
