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でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男

4.0
柴咲コウ(でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男) 映画
柴咲コウ(でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男)
『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』は、2025年6月27日に公開。監督は三池崇史、主演は綾野剛。PG12指定。

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男の感想

原作は福田ますみによる福岡の「教師によるいじめ」事件をルポしたノンフィクションで、内容は(読んだわけではないが)ほぼ忠実と思われる。本作劇中で柴咲コウが引き連れている「550人の大弁護団」というのが今ひとつピンとこないのだが、これも実際にあったことらしい。
三池監督には珍しい、アクションなしの社会派ドラマだが、随所にホラー的な照明とカメラワークが見られる。豪雨の中の亀梨和也とのつかみ合いシーンがよく撮れていると思ったら、あれは本当の土砂降りだったらしい。すごい運である。

プロットは原作同様、柴咲が主張する悪魔のような教師の所業描写で始まる。「悪い方」の綾野剛ならではだが、裁判が始まるや「真実は一つもありません、すべては」と綾野が口を開いたところで「でっちあげ」のタイトルコール。
このプロローグのために、映画としては「藪の中」的な構造をとるが(たとえば「ごんぎつね」を生徒に朗読させ、火縄銃をもたらした外国人を悪と断じているのはどちらの綾野なのか)、「良い方」の綾野剛(熱演のためか、誰だかだんだんわからなくなってくる)と、氷のように冷たい柴咲の演技によって、「真相」がちらつかされる。

とはいえ、柴咲がなぜ執拗に綾野を攻撃するのか、きっかけは示されるが、本質的な理由は明確に描写されない。安藤玉恵が電話で伝えたこと、帰国子女に憧れた小学生時代、育児放棄された恨み、場末のスナックで酔い潰れているその母親の現在など断片的なシーンが挟まるが(しかも綾野視点と柴咲視点がゴチャゴチャだ)、それらの情報が裁判で使われた形跡もない。このへん、もしかして福田ますみの原作通りなのかな。

もっとも、福田ますみという人は反ポリコレで親統一教会でもあるので、あまり信用できない気もする。本作に出てくる「週刊春報道」の記者である亀梨和也のモデルは、噂の真相から週刊文春に入った西岡研介である。西岡は福田に真っ向から反論しているが、結局裁判の経過はそれをことごとく覆した。

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男のあらすじ

2003年、小学校教諭の薮下誠一は担任をしている4年3組の児童への体罰を母親から告発される。その内容は教師によるいじめとも言えるほど聞くに堪えないものであり、週刊誌は事件を実名で報道。薮下はマスコミの標的となり、誹謗中傷や裏切りを受け、ついには教育委員会から停職を命じられる。さらに事件は550人もの大弁護団が結成される民事訴訟に発展。誰もが律子側の勝利を確信する中、被告として法廷に立った薮下は「すべて事実無根のでっちあげ」と完全否認する。

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男を観るには?

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男 キャスト

薮下誠一(小学校教諭で4年3組担任)- 綾野剛
氷室律子(拓翔の母親) – 柴咲コウ
鳴海三千彦(週刊誌記者) – 亀梨和也
都築敏明(教頭) – 大倉孝二
前村義文(精神科教授) – 小澤征悦
堂前(週刊誌編集長) – 髙嶋政宏
氷室拓馬(律子の夫) – 迫田孝也
山添夏美(拓翔とクラスメイトの母親) – 安藤玉恵
箱崎祥子(精神科医) – 美村里江
藤野公代(教育長) – 峯村リエ
戸川(薮下の同僚) – 東野絢香
橋本(裁判長) – 飯田基祐
氷室拓翔(4年3組の児童) – 三浦綺羅
薮下希美(薮下の妻) – 木村文乃
薮下勇気(薮下の息子) – 浅井陽人
段田重春(校長) – 光石研
大和紀夫(原告弁護人) – 北村一輝
湯上谷年雄(被告弁護人) – 小林薫

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男 スタッフ

原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』
監督:三池崇史
脚本:森ハヤシ
音楽:遠藤浩二
主題歌:キタニタツヤ「なくしもの」
企画・プロデュース:和佐野健一
プロデューサー:橋本恵一、坂美佐子、前田茂司
撮影:山本英夫
照明:小野晃
録音:中村淳
美術:坂本朗
編集:相良直一郎
キャラクタースーパーバイザー:前田勇弥
音響効果:中村佳央
制作プロデューサー:奥野邦洋、土川はな、今井朝幸
司法監修:丸住憲司
司法・裁判監修:坂仁根
キャスティングプロデューサー:高橋雄三
音楽プロデューサー:津島玄一
宣伝プロデューサー:三橋剛
助監督:倉橋龍介
制作担当:塩谷文都
俳優担当:平出千尋
企画協力:新潮社
制作プロダクション:東映東京撮影所、OLM
制作協力:楽映舎
製作幹事・配給:東映
製作:「でっちあげ」製作委員会

でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男の原作(福田ますみ)

先生がねえ、死ねって、ぼくに言いよった……
ある日突然「殺人教師」にされたーー 恐怖の実話ドキュメント!
「早く死ね、自分で死ね。」2003年、全国で初めて「教師による児童へのいじめ」と認定される体罰事件が福岡市で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、週刊誌やワイドショーが大々的に報じ、担当教諭は「史上最悪の殺人教師」と称され、停職処分に。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ映り、正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった……。第六回新潮ドキュメント賞受賞。累計13万部突破、恐怖のロングセラー。

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