片腕(落合正幸)
原作は川端康成「片腕」。
まったく今さらなのだが、連休のおかげで、ようやく見ることができた。
しかし二夜目の塚本晋也☓太宰治は見そこねた(録画失敗)。
それにしても、ドキュメンタリーパートの監修者、幻文の東君ですよ。ナニゴトも続ければ何かになるんだねー。
塚本作品を見そこねたので、この「片腕」が最もケレン味が強い作品になる。原作が原作だからだ。
川端康成が変態、しかも晩年になるほど変態だということは、意外な事実でも何でもないと思うが、NHK的には、あえてノーベル賞作家の…というところから始めたいらしい。
ノーベル文学賞は1968年で、受賞理由は「great sensibility expresses the essence of the Japanese mind」だし、記念講演は「美しい日本の私」だから、そーゆーことにもなるのだが、とても変態な「みづうみ」を書いたのは1955年だし、この「片腕」だって1965年なのだ。
一等有名な「雪国」だって、序盤は、
…島村は退屈まぎれに左手の人差し指をいろいろに動かして眺めては、結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている、はっきり思い出そうとあせればあせるほど、つかみどころなくぼやけてゆく記憶の頼りなさのうちに、この指だけは女の触感で今も濡れていて、自分を遠くの女へ引き寄せるかのようだと、不思議に思いながら、鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが、…
と、かなりエロいのは周知の通り(しかもこの後、島村は、「こいつだけが一番よく君を覚えていたよ」と 駒子に人指し指を突きつけるのである)。
川端康成は紛れもなく天才である。
キャスト
片腕を貸す娘(ヒロイン) – 芦名星
車の女 – 山田麻衣子
娘(回想場面) – 安藤玉恵
年上の女(回想場面) – 内田みずき
片腕(声の出演) – 三枝奈都紀
手(パーツモデル) – 上口香寿美
ラジオアナウンサー(声の出演) – 内藤啓史
スタッフ
葉桜と魔笛(塚本晋也)
原作は太宰治「葉桜と魔笛」。
見逃し!
キャスト
スタッフ
鼻(李相日)
原作は芥川龍之介「鼻」。
さて、塚本作品を飛ばして(録画ミス)、「フラガール」の李監督作品。
「鼻」ってこんな火の鳥みたいな話だっけ?と思いながら見るが、芥川の小説の後日談、ということらしい。
フーン…
松重豊が言う通り、これはフリークスの物語となっている。
オチョボ口で語っているかのような、芥川の説教臭い世界とはあまり関係ない。
ドキュメンタリーパートでは、芥川の絵(初めて見た)とあわせて、芥川の内面と結びつけようとしていたが、まあ失敗だったと思う。
キャスト
トメ(保吉の母) – 井川遥
保吉(子役) – 小山颯
村長 – 田村泰二郎
村人 – 寺十吾
〃 – 伊藤修子
〃 – 森下能幸
〃 – 工藤博
〃 – 川尾せっちん
〃 – 小野駿希
〃 – 西嶋一八
〃 – 松本聖海
スタッフ
後の日(是枝裕和)
![中村ゆり(妖しき文豪怪談[後の日])](https://dramatic-impress.net/wp-content/uploads/t02200114_0650033810756726960.jpg)
中村ゆり(妖しき文豪怪談[後の日])
原作は室生犀星「童子」「後の日の童子」。
塚本作品を見逃しているものの、この競作ではやはりこの作品がベストだろう。キャリアの差と言っていいのか。
しばらくは、何が起こっているかはわからない。
次第に、哀切きわまりない夫婦の姿が浮かびあがってくる仕掛けである。
光線の使い方が非常に巧妙で(この明暗は、こちらとあちらにかかわっている)、美しい中村ゆり様は限りなく優しい母だし、加瀬亮の演技がすばらしい。
もっとも、室生犀星をあまり読んだことがないせいもある。
「童子」も「後の日の童子」も未読なのだが、前者は一人称、後者は三人称の小説であるらしい。なかなか面白そうなので、読んでみようかと思う。
作家の人となりも知らないので、ドキュメンタリーパートもなかなか興味深かった。
キャスト
とみ子(笏悟朗の妻) – 中村ゆり
豹太郎(夫婦の息子) – 澁谷武尊
彫刻家 – 近藤良平
召使いの娘 – 北浦愛
子供を負ぶう母親 – 藤井聖子
朝子(夫婦の娘) – 鈴木凜音
編集者 – 黒沼弘己

