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フィッシュストーリー

多部未華子(フィッシュストーリー) 映画
多部未華子(フィッシュストーリー)
フィッシュストーリーは、2009年3月20日に公開。監督:中村義洋。配給:ショウゲート。『アヒルと鴨のコインロッカー』と同じ制作スタッフによって手がけられた。シンガーソングライターの斉藤和義が作中に登場するロックバンドの楽曲プロデュースおよびエンディングテーマを担当した。オリジナル・サウンドトラックとして、劇中に登場するロックバンドを演じた出演者の演奏・歌唱によるCDアルバム「FISH STORY」が「逆鱗×斉藤和義」名義でリリースされた。

フィッシュストーリーの感想

中村義洋による伊坂幸太郎の映画化シリーズで、今回も濱田岳が出ているが、伊藤淳史も出ていて、記憶の中でごっちゃになるw

別な小説から設定を引っ張ってくるということをやっているが、伊坂作品を知り抜いているこの監督ならではで、違和感がない。

1953年、1975年、1982年、1999年、2009年、そして現在(2012年)という6つの時代のエピソードを並行して描くという伊坂幸太郎節が炸裂するストーリーで、これらのつながりを最後にコマ落としで説明するという丁寧さもこの監督ならではであろう。

それにしても多部未華子のセーラー姿は最強である。

フィッシュストーリー 見どころ

  1. 伊坂幸太郎×中村義洋監督の「つながる」世界観
    伊坂幸太郎作品の魅力である、いくつもの偶然や伏線がやがて一本の線で結びつく、パズルのようなストーリーテリングが中村義洋監督によって映像化。それぞれの時代のエピソードが独立して面白く、それが最後に一つに繋がる時の爽快感は格別。
  2. 「FISH STORY」という曲の持つ力
    売れなかったパンクバンドが残した一曲が、時を超え、人から人へと受け継がれ、最終的に世界を救うという設定がロマンチック。音楽が持つ可能性、時代を超えて人々の心を動かす力が感じられる。斉藤和義プロデュースによる楽曲「FISH STORY」も、劇中のパンクバンド「逆鱗」の演奏シーンも魅力的。
  3. 豪華なキャスト陣によるアンサンブル
    伊藤淳史(逆鱗のリーダー・繁樹)、高良健吾(逆鱗のボーカル・五郎)、多部未華子(女子高生・麻美)、濱田岳(大学生・雅史)、森山未來(コック)、大森南朋(レコード店主)、石丸謙二郎(教祖・谷口)など、若手からベテランまで個性豊かな実力派俳優たちが集結。
  4. 「正義の味方」というテーマ
    コックの過去の回想で語られる「正義の味方」というテーマが、この映画の重要なメッセージの一つ。「正義の味方とは何か」を、コミカルかつ温かい視点で問いかけている。
  5. 希望に満ちたラストと感動
    一見絶望的な状況から始まる物語だが、最終的には人と人の繋がり、そして諦めない心や小さな行動が大きな奇跡を生み出すという希望に満ちた結末を迎える。

フィッシュストーリーのあらすじ

<2012年>
地球は巨大隕石衝突の危機にさらされており、隕石に宇宙船で近づき、内部に核ミサイルを撃ち込んで爆破する「アルマゲドン計画」が実行されようとしている。人けのなくなった商店街で営業を続けている中古レコード店を訪れた末期癌患者の谷口の絶望をよそに、店主は、早すぎたパンクバンド「逆鱗」が1975年に録音したアルバム「FISH STORY」を常連客に紹介する。爆発音が聞こえ、飛び出した店主たちは隕石が粉々に飛び散っていくのを目撃。その後のニュースで、日本人女性宇宙飛行士の活躍が称えられる。女性は宇宙飛行未経験の若き数学者で、高度な計算でミサイルの軌道を割り出し成功率0%に近い作戦を成功に導いたのだった。
<2009年>
進学校の理数科に通う女子高生の麻美は修学旅行中にフェリーを降りそびれて取り残される。フェリーのコックは彼女をなぐさめ、「自分は『正義の味方』になるべく父親に厳しく鍛えられた」という身の上話を始めた。そこに銃で武装した新興宗教団体「ノアの箱舟」が現れ、船の乗っ取りを宣言。「正義の味方」はその内通者だったが、一味が抵抗する乗客を傷つける様子を見て、得意の武術で一網打尽にする。
<1999年>
「ノアの箱舟」の教祖谷口は世界の滅亡を予言したが、何も起こらなかったので、信徒の健太郎は谷口を殴り飛ばす。幹部のスズキとタナカが「本当の滅亡は2009年です」と宣言し、谷口を追放。谷口は「違う。もし次に可能性があるとすれば2012年だ」と反論するが、聞く耳を持つ者はなかった。健太郎に誘われた友人の悟は黙ってその場を離れる。
<1982年~「正義の味方ができるまで」>
大学生の雅史は友人の悟と健太郎を自動車に乗せ、峠のレストランで開かれるコンパに向かっていた。レコードマニアの悟は「逆鱗」の「FISH STORY」をダビングしたカセットテープを持ち込み、同曲にまつわる都市伝説を紹介する。「FISH STORY」は間奏部分が約1分間突然無音になる楽曲だが、「女の幽霊の叫び声が録音されたために消された」といわれている。無音にしたはずの個所でたまに叫び声が聞こえることがあると悟は告げたため、気弱な雅史は震え上がる。
レストランにいた女子大生・晴子は予知ができると自称し、雅史に「やるじゃない」と謎めいた声をかける。健太郎は嫌がる晴子を無理やりモーテルに連れ込み、それをとめられなかった自身にいら立った雅史は帰路、大音量で「FISH STORY」をかけ、無音部分に差し掛かったところで女性の叫び声を聞いた。それは中年の男に襲われている若い女性のものだった。雅史は勇気を振り絞り、男を追い払う。雅史はその女性と結婚し、男児をもうけた。雅史は息子に勇気の大切さを説き、「正義の味方」とすべく厳しい武術の稽古を仕込み始める。「正義の味方」は幼くして複数の大人に勝つほどの腕前となる。
<1973年~1975年>
キャバレーでガレージロックを演奏して顰蹙を買っていたロックバンド「逆鱗」は、レコード会社「レモン」のマネージャー・岡崎にスカウトされるが、売れないまま2年契約が満了を迎え、3枚目のアルバムのレコーディング後バンドは解散する運びに。岡崎は新曲制作を手助けすべく、「逆鱗」のソングライター・繁樹に、自身の愛読書『フィッシュストーリー』を手渡す。『フィッシュストーリー』は岡崎の叔母が勤めていた出版社が出した海外小説だが、でたらめな訳文のまま印刷されて回収になった。叔母はこっそりその一冊を保管していた。
『フィッシュストーリー』を気に入った繁樹は、「僕の孤独が魚だとしたら」という書き出しを引用して歌詞を書き、新曲「FISH STORY」を完成させる。マスターテープの納品期限が迫り、バンドは一発録り・1テイクのみで行われたが、間奏中にヴォーカリストの五郎の声が入ったため、その部分だけ無音にすることになった。
「逆鱗」行きつけの居酒屋に、岡崎が息子を連れてやって来る。「逆鱗」と岡崎は「FISH STORY」=ほら話になぞらえ、「何十年後かに曲を聞いた男女が恋に落ち、その子供が世界を救うといいな」と笑い合う。岡崎の息子は成長後、中古レコード店を開業する。
<1953年>
ある出版社。「A Fish Story」の原文と出版権を手にしたものの、翻訳家がおらず困り果てていた出版社の社長は、英語の素養のない男を雇う。生活費を稼がなければならない男は原文を持ち帰って辞書を片手に「My own solitary fish story(私のとっておきのほら話)」を「僕の孤独が魚だとしたら……」と訳しはじめる。

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