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ルッキズムをめぐる異常な傑作（きれいのくにの感想）
なんちゅうドラマを作るのか。
今季は「大豆田とわ子」「ここぼく」「生きるとか死ぬとか」などナレーションに仕掛けを設けたものが多く、本作も2話まではその線と思われたが、3話目の冒頭で、そこまでが劇中劇であるとあっさり明かされ、そこからナレーションを排した「高校生日記」的な「本章」が始まる。高校生5人の演技が素晴らしいのだが、そのうち秋元龍太郎は、なんと顔を奪われている（AIによる合成だという）。いやはや。
第1話を観たときは、これまた変なドラマと、唖然となった。
とある世界では、若者の間では美容整形が当たり前となっており、衣服やアクセサリーで個性を出しながらも男は稲垣吾郎、女は加藤ローサの顔になっていた
って、全然そんなふうには見られない。
3話まで来て、ようやく、そんな話になった。どこに着地する話なのか、予測がつかなかった。
きれいのくに 見どころ
『きれいのくに』は、容姿や個性、自己肯定感といったテーマを通じて、視聴者に深い問いを投げかけた青春ダークファンタジーである。
- 考察ポイント1. 「きれいのくに」とはなにか
タイトルは、整形を繰り返し“同じ顔”になった大人たちが暮らす社会を指している。この世界では、美容整形がかつて流行し、現在は法律で禁止されているものの、裏整形が横行している。秘密クラブ「きれいのくに」は、整形を望む者たちの拠り所であり、コンプレックスを抱える人々が自分たちを「きれい」と肯定する場所である。 - 考察ポイント2. なぜ整形するのか
主人公・凜（見上愛）は、自分の容姿に強いコンプレックスを抱き、裏整形を決意。恋人・誠也（青木柚）は、凜の外見ではなく内面を愛していると伝えるが、凜は「好きな人の好きな顔になりたい」という思いから整形を選ぶのである。つまり、他者の評価ではなく、自分自身の問題と整形が選択されている。 - 考察ポイント3. 同調圧力の果てに
この世界ではほとんどの大人が同じ顔をしており、個性が失われている。同調圧力や美の基準の画一化の果てと言える。全員同じ顔に整形しているという生理的な気持ち悪さが、個性の重要性を表現していると言える。 - 考察ポイント4. 青春の葛藤と成長
一方、高校生たちの恋愛や友情、トラウマとの向き合いなどはリアルに描写される。れいら（岡本夏美）は過去のトラウマを克服するため、信頼できる友人とその場所を訪れて前に進もうとする。最終話では、登場人物たちがそれぞれの問題に向き合い、一歩踏み出す姿が描かれる。
きれいのくに あらすじ
40代美容師の恵理(吉田羊)は突然20代の姿(蓮佛美沙子)に若返り、夫・宏之(平原テツ)を困惑させるが、自分自身は若さを取り戻した喜びから部下・根木に好意を抱く。同じ世界で暮らす高校生5人組の物語も進行。顔にコンプレックスを持つ誠也(青木柚)と凜(見上愛)は互いに恋心を抱きながらも素直になれない。れいら(岡本夏美)は「パパ活」の客(稲垣吾郎)に襲われたトラウマを抱え、中山(秋元龍太朗)は遺伝子操作で多くの男性と同じ顔をしている。凜は自分の顔を変えるため「パパ活」と闇の美容手術に手を出すが、最終的に誠也から告白される。
きれいのくにを観るには？
きれいのくに キャスト
橋本宏之（税理士・恵理の夫） – 平原テツ
佐川恵理（33） – 蓮佛美沙子
恵理（23） – 小野花梨
佐川健司（スチールカメラマン・恵理の夫） – 橋本淳
健司（20代） – 須賀健太
由香里 – 村川絵梨
太田 – 徳永えり
根木 – 木村達成
千葉（刑事） – 山中崇
平野（医師） – 安井順平
誠也（高校生） – 青木柚
凜（高校生） – 見上愛
れいら（高校生） – 岡本夏美
貴志（高校生） – 山脇辰哉
中山（高校生） – 秋元龍太朗
男 – 稲垣吾郎
女 – 加藤ローサ
映画監督 – 稲垣吾郎
謎の女・佐川 – 蓮佛美沙子
小野田唯 – 吉田羊
きれいのくに スタッフ
音楽 – 蓮沼執太
制作統括 – 訓覇圭
プロデューサー – 小西千栄子、高橋優香子
演出 – 西村武五郎、鹿島悠、田中陽児、加藤拓也
『きれいのくに』は、ルッキズムをめぐる青春ダークファンタジーです。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。
