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日曜の夜くらいは…

清野菜名(日曜の夜ぐらいは…) ドラマ
清野菜名(日曜の夜ぐらいは…)
『日曜の夜ぐらいは…』は、2023年4月30日~7月2日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜22:00 – 22:54(JST)に全10話が放送。

何も起こらない稀有なドラマ(日曜の夜ぐらいは…感想)

岡田惠和作品で、これは良作。何がどうドツボなのか定かではないが(あえて説明はしないスタンス)、自分を殺して生きる清野菜名岸井ゆきの生見愛瑠の友情(シスターフッド的なものではない)を繊細に描いているが、それだけでなく、和久井恵美(私にとっては2018年の「それでも恋する」以来だ。これも岡田惠和なのは偶然ではないだろう)、宮本信子(こちらも久々に見る、78歳になった)も含めて、女優たちの贅沢な競演ドラマでもある(生見は正直未知数だが、岸井ゆきののうまさはやはり光っている)。

車椅子の和久井と団地住まいの清野は、手を挙げている公園のパンダの遊具に挨拶するのが日課らしいのだが、あれは清野がミソをつけてしまった「シロクロパンダ」(清野が悪いのではなく、明らかに製作側のミスである)のことなのではないか。と思ってみたり。

最後まで観たが、「何も起こらない」というサスペンスを貫いたところがすごいドラマだった。ふつう、ドラマだったら何か起こる。たとえば川村壱馬のカフェプロデューサーが金を持ち逃げするとか、宝くじが実は当たっていなかったとか、宮本信子がカフェ完成まで生きていられなかったとか、尾美としのりがカフェをメチャクチャにするとか、和久井恵美が良かれと思ってすべてを台無しにするような失敗をするとか。
そういう可能性を排除せず、しかし何も起こらない。

“事件”が起こらない、普通の世界を日曜の夜に放送したことの意義はすごく大きい。

日曜の夜ぐらいは… 見どころ

夢も生きがいもない3人の女性たちが、ラジオ番組をきっかけに出会い、カフェ開業という夢に向かって奮闘する、心温まる友情の物語。

  1. 「人生、やらかした」3人の女性たちのリアルな共感
    主人公の岸田サチ(清野菜名)は、アルバイトを転々とする日々を送る孤独な女性。他にも、母の介護に疲弊したタクシー運転手の野田翔子(岸野由佳)、そしてちくわぶ工場で働く市川若葉(生見愛瑠)と、それぞれが「人生、やらかした」と感じている、どこか不器用で、生きづらさを抱える女性たちが登場。彼女たちの悩みや葛藤は普遍的なもので、観る人に寄り添い、温かい気持ちにさせる。
  2. ラジオ番組が紡ぐ「奇跡」の出会い
    彼女たちが聴いているラジオ番組「エレファント・ハウス」が、3人の人生を繋ぐきっかけとなる。たった一つのラジオ番組が、孤独な人々を繋ぎ、新たな友情を育んでいく過程が独特のユーモアと温かさで描かれる。
  3. 清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠の絶妙なアンサンブル
    3人の女優がリアルな等身大の女性を演じ、そのアンサンブルが物語に深みを与える。
    • 清野菜名:自分の人生に無気力だったサチが、友人たちとの出会いを通して、少しずつ自分を見つけ、前向きになっていく姿を繊細に演じる
    • 岸井ゆきの:母の介護の重圧に押しつぶされそうになりながらも、友人たちとの交流で救われていく翔子の心の機微を表現
    • 生見愛瑠:人との距離感が不器用ながらも、真っ直ぐな若葉の純粋さを演じる
  4. 岡田惠和ならではの「優しい」言葉と世界観
    独特のユーモアと、さりげない日常の中に隠された哲学的な視点、そして登場人物たちへの温かい眼差し。派手な展開よりも、心の機微や、言葉の裏に隠された感情を丁寧に描くことで、観る人の心にじんわりと染み渡るような感動を与える。
  5. 「人生をやり直す」希望
    3人の女性たちが、カフェ開業という共通の夢に向かって、困難を乗り越えながら奮闘する姿は、年齢や状況に関わらず「人生は何度でもやり直せる」「夢を諦めなくてもいい」という希望のメッセージを伝える。
  6. トリビア・撮影裏話など

  • 岡田惠和さんが手掛ける、完全オリジナルの連続ドラマです。彼の長年のファンにとっても待望の作品であり、その自由な発想と深い人間描写が存分に発揮されました
  • 3人が夢見るカフェ「サンデーズ」は、物語の象徴的な場所であり、セットも非常に細部までこだわって作られた
  • Mrs. GREEN APPLEの主題歌「ケセラセラ」は、「なるようになる」という意味を持ち、先の見えない人生を歩む3人の女性たちに寄り添うような歌詞とメロディーが世界観と完璧にマッチ
  • 岡山天音(サチの幼なじみ)、川村壱馬(ミステリアスな男性)、橋本じゅん(カフェの土地の持ち主)、番家天嵩(翔子の甥)、宮本信子(ラジオパーソナリティ)など、ベテランから若手までが脇を固めた
  • 日曜の夜に感じる「憂鬱」や「次の週への不安」といった感情に寄り添い、そっと背中を押してくれるような温かいドラマとして支持された

日曜の夜ぐらいは… あらすじ

岸田サチは、ファミリーレストランでアルバイトをしながら車椅子生活の母・邦子と公団住宅に住む、ヤングケアラーの女性。邦子を介護しつつアルバイト生活を送っているが、ひょんなことから邦子の愛聴するラジオ番組が企画するバスツアーに参加する羽目になり、ケンタ(野田翔子)・わぶちゃん(樋口若葉)と名乗る同世代の女性と出会う。それぞれに悩みや事情を抱える3人は意気投合、旅行の思い出にと3人で1枚ずつ宝くじを購入し、当選していれば3人で分け合おうという約束をするが、育んだ友情を後から壊したくないサチは、ツアーの別れ際にその場限りの関係を申し出てしまう。しかし数日後、自分の購入した宝くじが高額当選したことが判明する。

日曜の夜ぐらいは…を観るには?

日曜の夜くらいは… キャスト

■主要人物
岸田サチ(ファミレス勤務) / おだいり様 – 清野菜名
野田翔子(タクシードライバー) / ケンタ – 岸井ゆきの
樋口若葉(ちくらぶ工場勤務) / わぶちゃん – 生見愛瑠
■周辺人物
岸田邦子(サチの母親) – 和久井映見
市川みね(ラジオのリスナー) – 岡山天音(幼少期:豊田温大
住田賢太(カフェ・プロデュース会社勤務) – 川村壱馬(THE RAMPAGE)
樋口富士子(若葉の祖母でまどかの母親) – 宮本信子
まどか(若葉の母) – 矢田亜希子(第1話写真出演、第2話 – )
中野博嗣(サチの父で邦子の元夫) – 尾美としのり(第2話 – )
敬一郎(翔子の兄) – 時任勇気(第2話 – )
■その他
田所(サチのバイト先の店長) – 橋本じゅん
エレキコミック(ラジオ番組パーソナリティー) – やついいちろう(本人役)、今立進(本人役)
野々村(ちくわぶ工場の二代目バカ社長) – 飛永翼(ラバーガール)
猫田(宝くじ売り場の店員) – 椿鬼奴

日曜の夜くらいは… スタッフ

企画・プロデュース – 清水一幸
脚本 – 岡田惠和
音楽 – 日向萌
主題歌 – Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」(ユニバーサルミュージック / EMI Records)
医療監修 – 高平尚伸
リハビリ監修 – 戸崎精
看護監修 – 成田睦美
ラジオ監修 – 瓶底めがね
カフェ監修 – 星野天宏
監督 – 新城毅彦朝比奈陽子高橋由妃中村圭良
プロデューサー – 山崎宏太山口正紘郷田悠(FCC)、浅野澄美(FCC)
制作協力 – FCC
制作著作 – 朝日放送テレビ
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