ドラマ映画2010年代のドラマ2010年のドラマ2012年のドラマ2013年の映画

ストロベリーナイト

4.0
竹内結子(ストロベリーナイト) ドラマ
竹内結子(ストロベリーナイト)
ストロベリーナイトは、誉田哲也による警察小説を含む姫川玲子シリーズを原作に、2012年には連続ドラマ化。それに先立って2010年にフジテレビで単発スペシャルドラマがパイロットとして放映された。2013年には映画化。連続ドラマ以降のものは『ストロベリーナイト』以外のシリーズ作品を原作としている。

ストロベリーナイトの感想

視聴率もとれて評判も良く映画化決定。そこまで良いとは思わないが、2012冬ドラの中では見応えがあった。
竹内結子のヒステリー女ぶりが反感を買っているらしい。
たしかにやり過ぎの感があるが、あそこまでやらないと、従来の竹内からのイメチェンにはならないだろう。役者はつらい。

最終回ラスト近く、西島秀俊に頭を撫でられた竹内は「今度職場でやったら殺す」とドスをきかす。こういったツンデレぶりは竹内お得意の持ち味である。過剰なヒステリーぶりは、もちろんそれを際立たせるためにあると言っていい。

大抵のドラマはCFに入る2秒くらい前にそれとわかり、リモコンのスキップボタンに手がのびるのだが、本作のつなぎ方はまったく予測不能だった。サブタイトルが表示されて終わるタイミングがカッコイイ。

かえすがえすも竹内結子がすでにいないことが惜しまれる。

ストロベリーナイト 見どころ

竹内結子版『ストロベリーナイト』最大の魅力は、彼女が作り上げた姫川玲子というキャラクターの“生々しさ”である。
姫川は一見冷静で、実際には存在しなさそうな美しい警部補がが、過去のトラウマ(中学時代の性的暴行被害)が彼女の心に深い傷を残している。竹内はこの外の顔と内なる脆弱さを、視線や呼吸の乱れ、微細な表情の揺れで表現した。セリフがなくても、観る者に彼女の葛藤が伝わる。
女性ゆえに捜査一課で軽視される玲子が、天性の勘と行動力で難事件に挑む姿は痛快である。その中で竹内の「柔らかいのに折れない強さ」が際立ち、同性・異性問わず共感を呼んだ。

『ストロベリーナイト』は、殺人、性、暴力といった生々しいモチーフを扱いながらも、映像はどこか冷たく美しい。血の赤が印象的に使われるなど、カラー設計によってタイトルの“ストロベリー”を示している。
特にスペシャル版「ストロベリーナイト」の被害者の死体描写は、ホラー的な異様さがあり、強烈な印象を残す。しかし過剰なゴア表現ではなく、心理的にジリジリと追い詰めるタイプの演出が好ましい。

姫川を中心に集まる捜査員たちの関係性も見どころ。
無骨で不器用な菊田が、玲子をそっと支える関係性は観る者の心を温める。特に 玲子の弱さを受け止める菊田とのシーンは、サスペンスの中で唯一の癒しと言える。
重い物語の中で、井岡の軽妙なキャラが ブラックユーモア的なスパイスになっている。だが時に彼の言葉が核心を突く場面も。

犯人を追い詰める中で浮かび上がる 被害者・加害者・社会の歪み。姫川自身も「法」と「私情」の狭間で揺れ動く。
「ソウルケイジ」「インビジブルレイン」では、被害者や犯人側の“切なさ”が強調され、観る者に 単純な勧善懲悪ではない問いを投げかけた。

竹内結子版『ストロベリーナイト』は、「刑事ドラマ」「サスペンス」「人間ドラマ」のすべてが高い完成度で融合した作品だった。
竹内結子の玲子は、その後のどの女優にも真似できない、唯一無二の存在感を放っています。
玲子がトラウマと向き合うシーンは、竹内結子の女優人生の中でも屈指の名演だったのではなかろうか。美しさと脆さを併せ持つ彼女だからこそ成立した作品である。

ストロベリーナイトを観るには?

こちらもどうぞ

ストロベリーナイト キャスト

姫川班
 姫川 玲子 – 竹内結子
 菊田 和男 – 西島秀俊
 葉山 則之 – 小出恵介
 石倉 保 – 宇梶剛士
 湯田 康平 – 丸山隆平
警視庁
 勝俣 健作 – 武田鉄矢
 井岡 博満 – 生瀬勝久
 今泉 春男 – 髙嶋政宏
 日下 守 – 遠藤憲一
 橋爪 俊介 – 渡辺いっけい
 國奥 定之助 – 津川雅彦
 小峰 薫 – 田中要次
 朝倉 圭吾 – 戸田昌宏
 遠山 義行 – 井上康
 大山 聡 – 中林大樹
姫川家
 姫川 瑞江 – 手塚理美
 姫川 忠幸 – 大和田獏

ストロベリーナイト スタッフ

脚本 – 龍居由佳里黒岩勉旺季志ずか
音楽 – 林ゆうき
演出 – 佐藤祐市石川淳一
主題歌
パイロット版 / ドラマレジェンド – 柴咲コウ「EUPHORIA」(ユニバーサルミュージック)
連続ドラマ版 – GReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」(ユニバーサルミュージック)
アクションコーディネイター – 釼持誠
特殊メイク – 松井祐一
特殊効果 – パイロテック(大宮敏明)
技術協力 – バスク
美術協力 – フジアール
企画 – 成河広明佐藤未郷
プロデュース – 高丸雅隆江森浩子

ストロベリーナイトの原作


溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。
タイトルとURLをコピーしました