映画1980年代の映画1983年の映画

戦場のメリークリスマス

4.0
坂本龍一(戦場のメリークリスマス) 映画
坂本龍一(戦場のメリークリスマス)
戦場のメリークリスマスは、大島渚が監督した1983年の映画。英語タイトルは「Merry Christmas, Mr. Lawrence」(欧州公開時の外国語題:は「Furyo」)。日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画で、テレビ朝日製作の映画第1作でもある。英国アカデミー賞 作曲賞受賞。
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戦場のメリークリスマスの感想

大島渚の最大のヒット作となった本作の、誰もが知っているキスシーンの「揺れ」は、機材不調で秒24コマ中8コマしか現像できなかったことの産物だという(たけしによれば、大島渚はそれを「奇跡」と呼んだ)。
撮影は「儀式」なども撮った成島東一郎だが、撮影時は疲労困憊の状況だったという。島での撮影中に照明技師の失踪事件が起こっていたことも原因なのかもしれない、と想像してみる。

トム・コンティは日本語を話せぬまま、台詞を音として話していたらしいが、それでも映画が成立してしまうことに人はもっと驚くべきなのではないかと思う。

ヴァン・デル・ポストの原作は、いまだに絶版なのだが、今こそ復刊すべきではないのか。

戦場のメリークリスマス 見どころ

  1. 国際的なキャストの競演
    デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしという、映画俳優としては異色の顔ぶれがスクリーン上でぶつかり合う様は圧巻。異なる「文化」を背負い、演じる役柄に深みを与えている。デヴィッド・ボウイの妖艶なカリスマ性、坂本龍一の繊細で危うい美しさ、ビートたけしの冷徹さの中に垣間見える人間味が心に刻まれる。
  2. 坂本龍一による音楽
    映画音楽の傑作「Merry Christmas Mr. Lawrence」が、この映画を決定づける重要な要素。美しくも物悲しいメロディが、映像と相まって、登場人物たちの葛藤や戦争の悲劇をより一層際立たせる。
  3. 文化と価値観の衝突、そして融和
    日本と西洋、武士道とキリスト教、軍人としての規律と人間の本能といった対立概念が描かれている。捕虜と看守という関係性の中での、文化的な誤解や衝突、しかし一方で、それらを超えて人間として通じ合う瞬間が感動的に描かれる。
  4. 人間の尊厳への問いかけ
    極限状態の中で、人間がどのように尊厳を保ち、あるいは失っていくのかを深く問いかける。セリアズがヨノイに見せる反抗的な態度、日本人将校たちの捕虜に対する姿勢を通して、普遍的な人間の本質が浮き彫りにされる。
  5. 象徴的なシーンの数々
    セリアズがヨノイにキスをする有名なシーン、原軍曹が「メリークリスマス、ミスター・ローレンス」と言うラストシーンなど、記憶に残る象徴的な場面が多く、映画のメッセージを強く印象づける。

戦場のメリークリスマス あらすじ

1942年、日本軍が支配するジャワ島の捕虜収容所に、粗暴な性格の原軍曹(ビートたけし)や、武士道精神を重んじる収容所所長ヨノイ大尉(坂本龍一)がいた。そんな中、イギリス軍の捕虜として捕らえられたジャック・セリアズ少佐(デヴィッド・ボウイ)が収容所に送られてくる。セリアズのカリスマ性と反抗的な態度は、ヨノイの心を強く惹きつけ、二人の間には複雑な感情が芽生えていく。一方、日本文化に理解を示そうとするイギリス人捕虜ロレンス中佐(トム・コンティ)と、彼に興味を抱く原軍曹の間にも、奇妙な友情が育まれる。言葉や文化の壁、そして戦争という状況の中で、彼らはどのように人間として向き合っていくのか。

戦場のメリークリスマスを観るには?

戦場のメリークリスマス キャスト

ジャック・セリアズ陸軍少佐 – デヴィッド・ボウイ(青年期)/ クリス・ブラウン(少年期)
ヨノイ大尉(レバクセンバタ俘虜収容所所長) – 坂本龍一
ハラ・ゲンゴ軍曹 – ビートたけし(クレジットはTAKESHIとのみ表示)
ジョン・ロレンス陸軍中佐 – トム・コンティ(吹き替え:池田勝)
ヒックスリー俘虜長 – ジャック・トンプソン
拘禁所長 – 内田裕也
イトウ憲兵中尉 – 三上寛
カネモト朝鮮人軍属 – ジョニー大倉
カール・デ・ヨンオランダ軍兵士 – アリステア・ブラウニング
ウエキ伍長 – 飯島大介
ヤジマ一等兵 – 本間優二
ゴンドウ大尉 – 室田日出男
軍律会議通訳 – 戸浦六宏
フジムラ中佐(軍律会議審判長) – 金田龍之介
イワタ法務中尉(軍律会議審判官) – 内藤剛志
軍律会議検察官 – 石倉民雄
俘虜収容所勤務の兵 – 三上博史車邦秀
セリアズの弟 – ジェイムズ・マルコム

戦場のメリークリスマス スタッフ

監督 – 大島渚
製作 – ジェレミー・トーマス
原作 – ローレンス・ヴァン・デル・ポスト『影の獄にて』
脚本 – 大島渚、ポール・メイヤーズバーグ
撮影監督 – 成島東一郎
撮影 – 杉村博章
美術監督 – 戸田重昌
編集 – 大島ともよ
音楽 – 坂本龍一
第一助監督 – リー・タマホリ
配給 – 松竹、松竹富士、ヘラルド
製作 – シネベンチャー・プロ、レコーデッド・ピクチャーカンパニー、大島渚プロダクション、テレビ朝日、ブロードバンク・インベストメント・リミテッド

「戦場のメリークリスマス」は、単なる戦争映画ではなく、人間の内面を深く掘り下げた芸術性の高い作品です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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