映画2000年代の映画2008年の映画

東京オンリーピック

2.5
中川翔子(東京オンリーピック) 映画
中川翔子(東京オンリーピック)
15組の監督による架空のスポーツ競技を描いたオムニバス作品。企画・総監督は『スキージャンプ・ペア』の真島理一郎。ヴァーチャルスポーツ競技大会として、2008年8月北京オリンピックの期間中に新宿バルト9にて期間限定で公開された。ONLYPICは「Only」+「Pictures」(映像)の略。
まだ観ていない方は、Amazon Prime Videoで今すぐ視聴できます。

東京オンリーピックの感想

昨夜はこれも見た。
めちゃくちゃ下らなくてオカシイのだが、137分もあり、劇場で見たら怒るだろう。終盤の「男子ヒューマニズム」に漂う虚無感はシュヴァンクマイエル風を狙ったものか。

東京オンリーピックの見どころ

『東京オンリーピック』は、ジャンルや様式に囚われないクリエイター個々のアイデアで映像が“文化的祝祭”に昇華した実験場であり、「文化の混交」と「形式実験の祝祭」と言える。
多様な映像表現のオムニバスであること、ポップでナンセンスな競技アイデア、ナレーターによるライブ的司会、メディア間を超える表現としての自由と再解釈など、日本のポップ文化の生産–消費–再生成産プロセスを可視化し、視聴者との文化的接続を拡張した。

  1. “Only‑Pic”というメタ文化実験
    タイトルは「Only+Pictures」の造語=“唯一無二の映像”を目指す競作プロジェクトであることを示している。
    真島理一郎を中心に、アニメ・実写・CG・パペットなど多様な映像作家が参加し、「架空のスポーツ競技」を次々と表現する異色のオムニバス作品である。
    ポップ文化における「個性の再解釈」と「混淆文化」の象徴。日本だけでなく国際的クリエイターが関わり、映像表現と遊び心を通じて文化交流の新しい場と言える。
  2. 多様な映像様式の祭典としての構造
    美術CG監督やセル画アニメ、実写スケッチ、パペットなど15〜16の作品を一堂に上映し、それぞれ「競技」をモチーフに自由に発想・実験した手法によって、映像アートとエンタメの境界を曖昧にしている。
    形式にとらわれず「小文化の多声化」を肯定する構成は、世界のコンテンツ文化における“多様性”と“実験場”としての価値があるだろう。
  3. シュールとユーモアの日本的ポップ精神
    「ブランカー」「バカ近代四種」「男子ヒューマニズム」など、ナンセンスながら親しみやすい競技もある。「シュールで愛嬌あるバカバカしさ」によって日本ポップ文化の“遊びの本質”を体現した。ナンセンス芸術や即興表現文化が、日常の中で自然に“祝祭化”される構造として、現代文化のコミュニティ/ボトム・アップなポップ性を象徴している。
  4. ナレーター&進行役によるフェティッシュな仕掛け
    茂木淳一&中川翔子による進行係を置くことによって、「テレビ番組風」「お笑いライブの臨場感」を付加している。「競技対決」「実況」「サプライズ」と言った趣向がライブ感を刺激した。
    映画という枠を越え、「テレビ」「ネット配信」「リアルイベント」の境界も曖昧にし、映像文化がレイヤー横断的に広がる構造を示している。
  5. ポップ文化における「文化生成と再生産」の好例
    伝統やポップ文化をコピーするのではなく、“アイデアを変化させる遊び心”を全面に出した構成である。オーストラリアなど海外でもファンが生まれ、言語や文化を超えて“映像コンテンツを能動的に経験・再解釈する文化”として機能している。「日本的ポップ文化は、ただ受信されるものではなく、世界で“再生成産”される生きた文化」であることを証明した。

東京オンリーピックを観るには?

東京オンリーピック キャスト

茂木淳一(大会ナビゲーター スタジオパート出演)
中川翔子(スタジオパート、開会式、ゲスト出演/大会テーマソング)
江頭2:50(開会式 プリンシパルダンサー役)
設楽統日村勇紀(バナナマン)Nana(MAX) (『ロッカールーム』主演)

声の出演
龍田直樹土井美加小松史法中島絵美斉藤千恵子安達貴英田中晶子久行敬子小宮山絵理佐藤美一武藤正史永田昌康斉木しげる温水洋一

東京オンリーピック スタッフ

総監督:真島理一郎
企画:IDIOTS、ファンワークス
エグゼクティブプロデューサー:島本雄二竹田秀一川村明廣三浦理高及川武夏目公一朗豊島雅郎瀬端文雄星野晃志杉山知之高山晃
総合プロデューサー:亀田卓、稲葉瑞恵、上田晃、中村富夫、小野昌司、竹中幸平、小野幹雄、平田樹彦、樫元孝尚、長澤千秋、紙谷零
音響監督:鶴岡陽太
音響制作:楽音舎
音響制作担当:杉山好美
アートディレクター:田中秀幸(フレイムグラフィックス)
技術協力:ナイス・デー
スタジオパート協力:イエロースタジオ
制作プロダクション/プロジェクト運営事務局:ファンワークス

国際オンリーピック委員会(代表)
真島理一郎水野貴信ビル・プリンプトン(アメリカ)、筧昌也五月女ケイ子細川徹児玉徹郎AC部リチャード・フェンウィック(イギリス)、谷口崇江口カン(Koo-Ki)、中野裕之イグナシオ・フェレーラス(スペイン)、古屋雄作澤田裕太郎中尾浩之(P.I.C.S.)、菅原由紀子
東京オンリーピック連盟(製作委員会)メンバー
アスミック・エース、アドネスエンターテイメント、キネマ旬報社、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン、ソニー・ミュージックエンタテインメント、中央映画貿易、デジタルハリウッド、電通、フェイス、フロンティアワークス、ファンワークス

『東京オンリーピック』は、メディア混交・映像実験に興味がある人、シュールだけど温かいポップアートに触れたい人、映像を「遊び」として楽しみたい・文化生成に関心がある人におすすめしたい、文化的祝祭の実験場です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

Amazon Prime Videoなら、手軽に視聴できます。

東京オンリーピック関連本


世界中のさまざまなクリエイターたちが想像上の競技を編み出し、それを動画にする「東京オンリーピック」。15の競技を紹介する、唯一の公式ガイドブックです。
タイトルとURLをコピーしました