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東京オンリーピックの感想
昨夜はこれも見た。
めちゃくちゃ下らなくてオカシイのだが、137分もあり、劇場で見たら怒るだろう。終盤の「男子ヒューマニズム」に漂う虚無感はシュヴァンクマイエル風を狙ったものか。
東京オンリーピックの見どころ
『東京オンリーピック』は、ジャンルや様式に囚われないクリエイター個々のアイデアで映像が“文化的祝祭”に昇華した実験場であり、「文化の混交」と「形式実験の祝祭」と言える。
多様な映像表現のオムニバスであること、ポップでナンセンスな競技アイデア、ナレーターによるライブ的司会、メディア間を超える表現としての自由と再解釈など、日本のポップ文化の生産–消費–再生成産プロセスを可視化し、視聴者との文化的接続を拡張した。
- “Only‑Pic”というメタ文化実験
タイトルは「Only+Pictures」の造語=“唯一無二の映像”を目指す競作プロジェクトであることを示している。
真島理一郎を中心に、アニメ・実写・CG・パペットなど多様な映像作家が参加し、「架空のスポーツ競技」を次々と表現する異色のオムニバス作品である。
ポップ文化における「個性の再解釈」と「混淆文化」の象徴。日本だけでなく国際的クリエイターが関わり、映像表現と遊び心を通じて文化交流の新しい場と言える。 - 多様な映像様式の祭典としての構造
美術CG監督やセル画アニメ、実写スケッチ、パペットなど15〜16の作品を一堂に上映し、それぞれ「競技」をモチーフに自由に発想・実験した手法によって、映像アートとエンタメの境界を曖昧にしている。
形式にとらわれず「小文化の多声化」を肯定する構成は、世界のコンテンツ文化における“多様性”と“実験場”としての価値があるだろう。 - シュールとユーモアの日本的ポップ精神
「ブランカー」「バカ近代四種」「男子ヒューマニズム」など、ナンセンスながら親しみやすい競技もある。「シュールで愛嬌あるバカバカしさ」によって日本ポップ文化の“遊びの本質”を体現した。ナンセンス芸術や即興表現文化が、日常の中で自然に“祝祭化”される構造として、現代文化のコミュニティ/ボトム・アップなポップ性を象徴している。 - ナレーター&進行役によるフェティッシュな仕掛け
茂木淳一&中川翔子による進行係を置くことによって、「テレビ番組風」「お笑いライブの臨場感」を付加している。「競技対決」「実況」「サプライズ」と言った趣向がライブ感を刺激した。
映画という枠を越え、「テレビ」「ネット配信」「リアルイベント」の境界も曖昧にし、映像文化がレイヤー横断的に広がる構造を示している。 - ポップ文化における「文化生成と再生産」の好例
伝統やポップ文化をコピーするのではなく、“アイデアを変化させる遊び心”を全面に出した構成である。オーストラリアなど海外でもファンが生まれ、言語や文化を超えて“映像コンテンツを能動的に経験・再解釈する文化”として機能している。「日本的ポップ文化は、ただ受信されるものではなく、世界で“再生成産”される生きた文化」であることを証明した。
東京オンリーピックを観るには?
東京オンリーピック キャスト
茂木淳一(大会ナビゲーター スタジオパート出演)
中川翔子(スタジオパート、開会式、ゲスト出演/大会テーマソング)
江頭2:50(開会式 プリンシパルダンサー役)
設楽統/日村勇紀(バナナマン)Nana(MAX) (『ロッカールーム』主演)
声の出演
龍田直樹、土井美加、小松史法、中島絵美、斉藤千恵子、安達貴英、田中晶子、久行敬子、小宮山絵理、佐藤美一、武藤正史、永田昌康、斉木しげる、温水洋一
東京オンリーピック スタッフ
企画:IDIOTS、ファンワークス
エグゼクティブプロデューサー:島本雄二、竹田秀一、川村明廣、三浦理高、及川武、夏目公一朗、豊島雅郎、瀬端文雄、星野晃志、杉山知之、高山晃
総合プロデューサー:亀田卓、稲葉瑞恵、上田晃、中村富夫、小野昌司、竹中幸平、小野幹雄、平田樹彦、樫元孝尚、長澤千秋、紙谷零
音響監督:鶴岡陽太
音響制作:楽音舎
音響制作担当:杉山好美
アートディレクター:田中秀幸(フレイムグラフィックス)
技術協力:ナイス・デー
スタジオパート協力:イエロースタジオ
制作プロダクション/プロジェクト運営事務局:ファンワークス
国際オンリーピック委員会(代表)
真島理一郎、水野貴信、ビル・プリンプトン(アメリカ)、筧昌也、五月女ケイ子、細川徹、児玉徹郎、AC部、リチャード・フェンウィック(イギリス)、谷口崇、江口カン(Koo-Ki)、中野裕之、イグナシオ・フェレーラス(スペイン)、古屋雄作、澤田裕太郎、中尾浩之(P.I.C.S.)、菅原由紀子
東京オンリーピック連盟(製作委員会)メンバー
アスミック・エース、アドネスエンターテイメント、キネマ旬報社、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン、ソニー・ミュージックエンタテインメント、中央映画貿易、デジタルハリウッド、電通、フェイス、フロンティアワークス、ファンワークス
『東京オンリーピック』は、メディア混交・映像実験に興味がある人、シュールだけど温かいポップアートに触れたい人、映像を「遊び」として楽しみたい・文化生成に関心がある人におすすめしたい、文化的祝祭の実験場です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。
東京オンリーピック関連本
世界中のさまざまなクリエイターたちが想像上の競技を編み出し、それを動画にする「東京オンリーピック」。15の競技を紹介する、唯一の公式ガイドブックです。