『イナフ』ってどんな映画?
人もうらやむ完璧で裕福な結婚生活から一転、恐ろしい支配欲の塊へと豹変した夫のDV。執拗に迫る狂気の追跡から一人娘を守るため、必死に逃亡を続けていた母親が、やがて自らの肉体と精神を極限まで鍛え上げて立ち向かう命懸けの反撃を描く。現代社会の陰に潜む歪んだ家族の闇をテーマに、一瞬たりとも気が抜けない緊迫感と圧倒的なカタルシスをもたらす、最強のサスペンス・リベンジアクション。
見どころは、金と権力を巧みに操る夫の冷酷な包囲網と、それに追い詰められていくヒロイン・スリム・ヒラー(ジェニファー・ロペス)の壮絶な心理サスペンスだ。逃げ先々を完璧に突き止められ、警察や法さえも味方にできない絶望的な孤立無援のなか、スリムの心は恐怖から「戦う意志」へとシフトしていく。彼女は逃げ続ける限界を悟った瞬間、娘を守り抜くため、イスラエルの実戦格闘術「クラヴ・マガ」を必死に猛特訓。恐怖に震える一人の「被害者」から、夫を狩るための「闘士」へと変貌を遂げていく姿が観る者の胸を熱く焦がす。
理不尽な暴力の檻に怯えて一生を過ごすか、それともすべてを賭けて自らの手で恐怖を終わらせるか。追いつめられた母親が、愛する者のために最後の最後に下すあまりにも過激で痛快な選択。緊迫の逃亡劇の果てに用意された、1対1の壮絶なリベンジマッチが凄まじい緊迫感を解き放つ、全米を震撼させた衝撃のサスペンス・スリラーだ。
あらすじ
ダイナーでウェイトレスとして働いていたスリム(ジェニファー・ロペス)は、親切で裕福な建設会社経営者の男ミッチ(ビリー・キャンベル)と運命的な出会いを果たし、結婚。可愛い娘グレイシー(テッサ・アレン)にも恵まれ、郊外の豪邸で何不自由のない優雅な幸福を掴んだかに見えた。しかし、娘が5歳になった頃、ミッチの浮気が発覚。スリムがそれを問い詰めると、彼は反省するどころか激昂し、突如として激しい暴力を振るい始める。彼は「家の中では俺が法律だ」と言い放ち、暴力で家族を従わせようとする支配欲に満ちた本性を現したのだ。身の危険と激しい焦燥を覚えたスリムは、ある夜、親友たちの助けを借りて娘を連れ出し、決死の逃亡を図る。
キャスト
ミッチ・ヒラー(スリムの夫) – ビリー・キャンベル
グレイシー・ヒラー(スリムとミッチの娘) – テッサ・アレン
ジニー(スリムの親友) – ジュリエット・ルイス
ジョー(スリムの元恋人) – ダン・ファターマン
ロビー(警察官) – ノア・ワイリー
フィル(喫茶店のコック) – クリストファー・マー
ジュピター(スリムの父) – フレッド・ウォード
ミッチの母 – ジャネット・キャロル
ジム・トラー(弁護士) – ビル・コッブス
インストラクター – ブルース・A・ヤング
エメラルド・シティを目指す、最強の女の旅。
前半は並みのホラーよりもこわい、手に汗握るサスペンスである。ラストは、うーん、これで正当防衛になるのか?とちょっと心配になる。
1週間でツヨくなったジェニロペが会得したのは、FBIやSWAT採用の実戦護身術クラヴマガ。最短期間で身につくのもウリらしいが、ジェニロペは実際、撮影のために3か月通ったらしい。
ロサンゼルス、シアトル、サンフランシスコ、ミシガンと次々に舞台が変わるのは楽しい。とくにミシガンは美しく、訪れてみたくなる。
「セックスが下手で好きな女性にふられた」とぼやく男友達ジョー(ダン・ファターマン)は、自分が住むシアトルをエメラルドシティと紹介している。シアトルは海の美しさからそう呼ばれているのだが、映画の最後でジェニロペが娘(テッサ・アレン)に「どこへ帰りたい?」と聞くと、娘は母親の心を読んで「エメラルド・シティ!」と答えるのである。
さて、エメラルドシティとはオズの魔法使いがおわす場所だ。
くだんの映画では、カンサスの少女ドロシーが愛犬トトとオズに迷いこみ、カカシやブリキ男、ライオンとともにエメラルドシティを目指して黄色いレンガの道を歩むのだったが、ジェニロペもまた、自由を求めて長い旅をしたという趣向なのか。
『イナフ』を観るには?
『イナフ』作品情報
脚本 – ニコラス・カザン
製作 – ロブ・コーワン、アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮 – E・ベネット・ウォルシュ
音楽 – デヴィッド・アーノルド
撮影 – ロジェ・ストファーズ
編集 – リック・シェイン・エーシーイー
配給 – アメリカ:コロンビア ピクチャーズ、日本:S.P.E
公開 アメリカ:2002年5月24日、日本:2003年1月25日
上映時間 115分




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