『緋牡丹博徒 お命戴きます』ってどんな映画?
軍需物資の利権に群がる悪徳ヤクザと軍部の陰謀。利根川の川割りをめぐる卑劣な強奪戦に、赤い牡丹の刺青を背負った女賭博師が再び白刃を抜いて立ち上がる。シリーズ屈指の名匠加藤泰監督が独自のローアングルと様式美で演出し、大和久守正と鈴木則文による重厚な脚本が男と女の情念を極限まで高めた、シリーズ第7作目にして最高傑作の呼び声高い任侠映画。
見どころは、ヤクザの縄張り争いの背後に潜む、国家を巻き込んだ巨大な汚職と、それに翻弄される人間たちの悲哀だ。富岡の背後で暗躍するのは、軍需利権を狙う陸軍大将(石山健二郎)や政商の大村利一郎(内田朝雄)、そして冷酷な畑中中尉(小松方正)ら権力者たちだった。彼らの意を受けた久保伊之助(沼田曜一)、久保巡介(諸角啓二郎)、庄司安二郎(汐路章)ら悪徳ヤクザの手によって、街の権益は嘘と暴力で次々と強奪されていく。さらに、富岡の身内の裏切りや、狂暴な手下たちが牙を剥く中、お竜はヤクザの最高長老・大前田英次郎(嵐寛寿郎)の裁定を仰ごうとするが、それさえも悪党たちの謀略によって血に染まってしまう。
結城文子(上岡紀美子)と結城三郎(岡本健)の姉弟の幸せをも踏みにじる悪党どもの前に、お竜とともに立ち上がるのは、寡黙にして圧倒的な貫禄を放つ流れ者の侠客・結城菊太郎(鶴田浩二)だ。彼の背負う重い過去と、お竜との間で交わされる切なくも美しい義理の絆が、血みどろの抗争に哀愁のきらめきを添える。
理不尽な権力に屈し、任侠の看板を汚して生きながらえるか。それとも、一宿一飯の義理を通し、命を捨てて殴り込みをかけるか。大混乱の夜、お竜と菊太郎が最後に下す、これぞ任侠の真実と言える凄絶な選択。降りしきる雨のなか、着物を端折りドスを構えるお竜の美しい引き際と、映画史に残る凄惨なクライマックスが胸を打つ、珠玉の任侠サスペンス大作だ。
あらすじ
父の仇を討ち、一匹狼の旅を続ける緋牡丹のお竜こと矢野竜子(藤純子)。上州水上を訪れた彼女は、かつて命を救われた恩義がある侠客・熊坂虎吉(若山富三郎)のもとに身を寄せる。そこで出会った一本気な若親分・常五郎(待田京介)は、地元の利根川の川割りの権利をめぐり、卑劣な手段で縄張りを拡大しようとする富岡仁八(河津清三郎)の一派から激しい焦燥を伴う嫌がらせを受けていた。お竜は任侠の道として、「一宿一飯」の恩義を返すべく、この紛争の渦中へと身を投じる。
キャスト
熊坂虎吉 – 若山富三郎
常五郎 – 待田京介
大前田英次郎 – 嵐寛寿郎
小山貞治 – 名和宏
富岡仁八 – 河津清三郎
陸軍大 – 石山健二郎
大村利一郎 – 内田朝雄
畑中中尉 – 小松方正
久保伊之助 – 沼田曜一
久保巡介 – 諸角啓二郎
庄司安二郎 – 汐路章
結城文子 – 上岡紀美子
茨木よね – 沢淑子
結城三郎 – 岡本健
倉持仙太 – 平沢彰
辰 – 国一太郎
及川村長 – 芦田鉄雄
高津の清三 – 秋山勝俊
権次 – 鈴木金哉
由松 – 阿波地大輔
森本 – 宇崎尚韶
丑松 – 志賀勝
竹 – 木谷邦臣
親爺 – 橋本三郎
茨木与作 – 唐沢民賢
茨木いち – 浅松三紀子
警察署長 – 那須伸太朗
大臣副官 – 五十嵐義弘
下士官 – 小山田良樹
料亭の女 – 将岡島艶子
女中 – 楠三千代
結城菊太郎 – 鶴田浩二
その焼香、お待ちなせえ…!
簪を抜きざま、ぱっと投げる、次の瞬間ぱらりと解ける黒い黒い長髪、さらに斬りかかられて着物(喪服だ!)がぱっかり割れ、白い二の腕に鮮やかな刺青があらわれる。あー、なんとゆー美しさ……。
おリューさんが超現実的だというのは、筒井康隆が書いていたのだっけ。この世のものとは思えぬシーンを見ているとたしかにそう思う。この映画のラストシーンで、彼女は鶴田浩二の真似をして、土をなめている。
しかし、なんという身体性の薄い肉体であることか。それがおリューさんの聖性なのか。
鶴田浩二の身のこなしもすばらしい。まさに、映画でしか見られない動きだろう。




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