今度生まれたらの感想
内館牧子の小説のドラマ化で、ほとんど山田太一のドラマのような(もう書かないのだろうか?)、一言一句揺るがせない緊迫の会話劇に、てっきり脚本も内館だと思ったら違った。松岡錠司という監督の特徴的な演出なのだろう。この人は「深夜食堂」の人である。
発話者と主人公の血縁関係や、言葉が孕んでいる気分を慮りながら会話の応酬を追っていくのは、かなりスリリングな快感である。
もはや本題の「起こらなかった恋」の話などどうでもいい。
松坂慶子の70歳は、かなり若いようにも思えるが、今はあんなものなのだろうか。
(2024年追記)
山田太一は亡くなってしまった。今、老境シリーズ第4弾である「老害の人」を放送している。
今度生まれたらの人物相関図
今度生まれたらの見どころ
- 内館牧子の世界観の継承
内館牧子の小説を原案としており、日常の中に潜む人間の機微や、家族の複雑な感情が丁寧に描かれる。観る者自身の体験と重なるような共感を呼ぶ。 - 松坂慶子と二人の娘の演技
主演の松坂慶子が、年齢を重ねた女性が抱える諦念と、それでも人生を謳歌しようとする前向きさを演じる。山中崇、毎熊克哉、河井青葉。伊礼姫奈といった息子たちもそれぞれの個性を出しながら、母との関係や自らの人生を模索する姿を演じ、家族間のリアルな空気感を作り出している。 - ユーモアとシリアスの絶妙なバランス
日常のささやかな出来事や、親子間の意見の食い違いをユーモラスなタッチで描きながらも、人生の選択や後悔、老いといったシリアスなテーマに切り込んでいる。このバランスが、ドラマに奥行きを与えている。 - 「もし今度生まれたら」という普遍的な問い
誰もが一度は考えたことのある「もし別の人生を歩んでいたら」という思いが、物語のタイトルでありテーマ。この問いが、登場人物たちの人生の選択や、秘められた夢にどう影響するのかが描かれ、観る人自身の人生観にも通じるメッセージを与える。 - 温かい家族の絆と成長
喧嘩や衝突がありながらも、根底には家族への深い愛情が流れている。
今度生まれたら あらすじ
佐山夏江(松坂慶子)は、夫に先立たれ、二人の娘、長女の冬子(ミムラ / 現・美村里江)と次女の春子(田中麗奈)と暮らしているが、若い頃に「自分はもっと別の人生を歩むはずだった」という思いを胸に秘めている。そんな母に、娘たちはそれぞれの人生観や悩みを抱えながら向き合っていきます。完璧主義で何かと口を出す長女・冬子と、自由奔放でマイペースな次女・春子。性格の異なる娘たちとの間には、時に意見の食い違いや衝突が起こる。しかし、些細な日常の出来事や、それぞれの恋愛、仕事、そして家族の歴史を通して、三人の女性が互いの存在を認め合い、支え合いながら、それぞれの「幸せ」の形を見つけていく。
今度生まれたらを観るには?
今度生まれたらのキャスト
佐川夏江 – 松坂慶子
佐川和幸 – 風間杜夫
島田信子 – 藤田弓子
島田芳彦 – 平田満
山賀敏男 – 小倉一郎
■佐川家
佐川剛 – 山中崇
佐川建 – 毎熊克哉
佐川理沙 – 河井青葉
佐川梢 – 伊礼姫奈
■信子の関係者
ミキ – 須藤理彩
シンちゃん – 宇野祥平
マナ – 佐々木春香
■その他
高梨公子 – 風吹ジュン
山賀佐保子 – 余貴美子
吉野久美 – ジュディ・オング
■ゲスト
第1話
春野トモ子 – 馬場典子
阿部清美 – 筒井真理子
割烹料理店・店主 – 中川智明
課長 – 東野良平
同僚たち – 早坂柊人、松本一樹
従業員 – 熊谷麻衣
第3話
川田勇一 – 大鷹明良
久保 – 金子清文
理沙の友人 – 斎藤加奈子、高野ゆら子
タクシー運転手 – 佐藤秀美
平新電気社員 – 大野明香音
第4話
長岡 – 斉木しげる
北斗園芸リーダー – 本井博之
雑誌記者 – 猪塚健太
北斗園芸社員 –
鷲尾英彰
大川裕明
片桐美穂
松本卓也
前迫莉亜
第5話
荻野真由美 – 久世星佳
荻野武 – 金井勇太
荻野公義 – 本田清澄
同級生 –
河原田ヤスケ
森喜行
津山登志子
松田真知子
諸橋玲子
最終話
説明会参加の住民 –
有川マコト
石村みか
吉見幸洋
片瀬直
司会者 – 尾倉ケント
説明会関係者 –
松下貞治
大塚尚吾
深澤千有紀
浦野真介
カフェオーナー – 広岡由里子
アップリケ教室の生徒 –
安部智凛
阿部朋子
青木和代
今度生まれたらのスタッフ
脚本 – 真辺克彦
小嶋健作
大島まり菜
音楽 – 安川午朗
制作統括 – 遠藤日登思、小松昌代、岡本幸江
プロデューサー – 盛夏子、高橋潤
演出 – 松岡錠司
制作 – NHKエンタープライズ
制作著作 – NHK、アミューズ
今度生まれたらの原作(内館牧子)
70代では人生やり直せない?
人間に年齢は関係ない、なんてウソ。
人生100年はキレイごと。
「今度生まれたら、この人とは結婚しない」70歳の主婦、佐川夏江は自分がやり直しのきかない年齢になっていることにショックを受ける。人生を振り返ると、あの時別の道を選んだらどうなっていたかと思うことばかり。進学は、仕事は、結婚は。少しでも人生をやり直すため、夏江はやりたいことを始めようとあがく。
大好評の著者「高齢者小説」シリーズ。
「元気をもらいました」「自分のことのように読みました」「もっと早く読みたかった」など読者の声多数のベストセラー!