ドラマ1990年代のドラマ1996年のドラマ

橋の雨

天海祐希(橋の雨) ドラマ
天海祐希(橋の雨)
1996年放映。

橋の雨の感想

天海祐希の初テレビドラマ作品とのことで、最初からヒロインという注目作である。前年まで月組のトップスターだったのだからさすがに演技にはそつがない。
しかし退団直後に希望したのは石原プロだったというから(女優は要らないと断られた)、ここで演じているような、メソメソしているように見えて芯の強い女(原作の伊集院静が描く夏目雅子的な女)は、あまりやりたくなかったのではないかと想像する。

相手役は59歳とかなり歳の離れたヤクザ者の緒形拳で、伊集院の世界ではこれはきっと在日なのだろう。天海はとうとう刺青まで入れてしまうという沼落ちドラマである。

若くて誰だかすぐわからない32歳の阿部寛が出てくる。まだ不遇だった頃だろう。

橋の雨 見どころ

宝塚歌劇団退団後、女優として本格的に活動を開始した天海祐希のドラマ初主演作。伊集院静の同名小説が原作の、少し切なく奥深い大人のラブストーリー。

  1. 天海祐希の女優としての新たな一面
    宝塚歌劇団のトップスターとして活躍し、華々しいキャリアを築いた天海祐希が退団後初のドラマ主演として挑んだ。舞台でのオーラとは異なる、繊細な感情や、大人の女性としての魅力を発揮。緒形拳との共演で、女優としての新たなステップを踏み出した記念碑的な作品。
  2. 緒形拳との演技合戦と化学反応
    演技派俳優の緒形拳がアウトローながらも心根の優しいヤクザ・雄次を演じ、天海祐希演じる衣津子との間に、切なくも濃密な大人の恋を描き出す。互いに惹かれ合いながらも、決して結ばれることのない宿命的な関係性が二人の名演によって心に響く。二人の間に流れる独特の空気感、言葉にならない感情のやり取りが見どころ。
  3. 伊集院静の描く、切ない大人の純愛
    恋愛小説の名手・伊集院静の原作の情緒豊かで叙情的な世界観をドラマで表現。切なさ、喪失感、過去への郷愁が漂う中で「純粋な愛」の形が描かれる。
  4. 阿部寛の若き日の姿
    天海祐希演じる衣津子の許婚役として、若き日の阿部寛が出演。現在の個性派俳優としてのイメージとは異なるナイーブな青年役はファンにとっては貴重な見どころ。
  5. ノスタルジックな雰囲気と映像美
    浅草を舞台に懐かしさを感じさせる映像と演出が切ない雰囲気を盛り上げる。雨の降る吾妻橋の情景など印象的なシーンもあり情感豊かなドラマとなっている。

橋の雨のあらすじ

1996年初夏。江坂衣津子(天海祐希)が働く浅草の呉服問屋に、養子・松井豊(阿部寛)が修業先の京都から帰郷した。豊は「6時に吾妻橋のたもとで待っていてほしい」と告げる。プロポーズをするつもりなのだ。夕刻、橋で待つ衣津子は瀬田雄次(緒形拳)の事を思い出していた。いつしか衣津子の肩を降り始めた雨がぬらしていた…。
7年前。居酒屋で行われていた衣津子の誕生会にチンピラに追われたヤクザの吾郎(金山一彦)が飛び込み、吾郎の兄貴分・雄次がチンピラを叩きのめした。翌日、雄次が「先日のお詫び」に現れるが、マスターは「あんな奴と関わるな。人殺しなんだ」と忠告。数日後、亡き母の墓参りをする衣津子に付き合ったことから会い始める二人。衣津子の父・忠行(中村嘉葎雄)は交際に大反対していたが、ダム現場で事故死する。葬儀の夜、雄次のアパートに泊まった衣津子。雄次は背中の刺青を見せ「俺達は住む世界が違う。もう二度と来るな」と告げるが、衣津子は雄次と生きる覚悟を決め、自らも刺青を入れる。「吾妻橋で待っている」と雄次に電話を入れる衣津子。しかしその直後、雄次はヤクザの組同士の抗争に巻き込まれて…

橋の雨のキャスト

江坂衣津子:天海祐希
瀬田雄次:緒形拳
江坂忠行:中村嘉葎雄
金田吾郎:金山一彦
松井豊:阿部寛
松井良子:浅利香津代
ほか

橋の雨のスタッフ

企画:遠藤龍之介
原作:伊集院静「あづま橋」より
脚本:梶本恵美
監督:星田良子
プロデューサー:中山和記
制作:フジテレビ/共同テレビ

橋の雨の原作(伊集院静)


男がいて、女がいる 五つの出会いの物語
浅草の和菓子屋で働きながら、亡き恋人雄次の面影を抱いてひっそりと暮らす衣津子だったが、店主の甥の豊から求婚されて心が揺れる。だが衣津子の背中には任侠の道に入った雄次のために彫ったあざやかな鯉の刺青が……。
思い出に生きる女の転機を描く表題作をはじめ、男と女の邂逅をロマン豊かに綴る作品集。
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