ペルソナの微笑には、TBS版とテレ東版がある
TBS版『横山秀夫サスペンス』
2002年~2005年に「月曜ミステリー劇場」で放送。
『沈黙のアリバイ』→『第三の時効』→『密室の抜け穴』→『ペルソナの微笑』→『囚人のジレンマ』→ 『モノクロームの反転』の全6回で、舞台は山梨県警捜査一課となっている。「ペルソナの微笑」の放映は2004年5月3日。
テレ東版『横山秀夫サスペンス』
2020年から「月曜プレミア8」で放送。
『沈黙のアリバイ』→『モノクロームの反転』→『第三の時効』→『ペルソナの微笑』と4回まで放送され、こちらも舞台は山梨県警察。「ペルソナの微笑」の放映は2023年1月23日。
TBS版ペルソナの微笑の感想
9月に見た「囚人のジレンマ」と同じTBS版の「第三の時効」シリーズで、順番としてはこちらの方が先になる(第4作)。
F県警ものだが、この話には2班の楠見しか出てこない。
この段田安則の目つきが鋭すぎる…w
主演は金子賢で、演技はお世辞にもうまいとは言えないが、80年代的なおちゃらけ男と見えた刑事がクライマックスでへらへら笑いを消していく演出は、映像ならではのものだったと思う。テレ東版では芝居のうまさで定評のある風間俊介が同じ役を演じているようなので、見比べてみたい。
ペルソナの主題は、犯罪の道具として使われた経験を持つ少年が人格を解離させていることを指す。金子演じる刑事は、少年期に幼女誘拐犯の脅迫文を読み上げるという経験から「笑わない男」(楠見評)になっているのだが、10年余り悩んで電話した警察で受話器を取ったのが楠見(段田安則)で、その声を覚えていたからこそ駐在所勤務の金子を2班の刑事に引き上げたという「64」のようなエピソードは、単なる物語のサゲを超える余韻をもたらす。
このドラマシリーズは女優の出る幕がほとんどないのだが、犯人の母親役で色の白い田島令子(オスカルなどの声優で有名)、金子の妹役で、出産直前(?)の美しすぎる三船美佳が出ている。
三船美佳(ペルソナの微笑[TBS版])
TBS版ペルソナの微笑のあらすじ
山梨県警本部捜査一課・二班の新人刑事・矢代(金子賢)が殺人犯を検挙した。労をねぎらう打ち上げ中に、二班班長の楠見(段田安則)から「静岡で青酸カリによる殺人事件が起きた」と報告が入る。楠見は13年前に管内で起きた青酸カリ殺人事件と関連していると判断、矢代と先輩の古澤(深水三章)を静岡県警に派遣した。二人は静岡県警で安川係長(佐戸井けん太)から事件の概要を聞く。殺害されたのは河川敷で暮らしていたホームレスだが、身元は一切不明。しかし事件の3日前に目撃された不審者の似顔絵と13年前の事件の犯人の似顔絵が酷似していた。数日前に埼玉で青酸カリの盗難事件も発生しており、捜査本部では班長の楠見が13年前の「間接殺人」の犯人をアゲるよう二班に指示するが…。
TBS版ペルソナの微笑のキャスト
安川(静岡県警 係長) – 佐戸井けん太
矢代あかり(勲の妹) – 三船美佳(幼少期:佐藤未来)
矢代君子(勲とあかりの母・宗一の妻) – 水木薫
定職屋の主人と妻 – 十貫寺梅軒、松井美江
矢代宗一(勲とあかりの父) – 武発史郎
阿部研一郎(光子の夫・13年前死亡) – 伊達直斗
ホームレス – 横溝貴之
散歩の老人 – 谷津勲
劇団員 – 瀬戸千夏
婦警 – 藤井聖子
子供 – 千葉翔也
阿部光子(お好み焼 たこ焼 今川焼「flamingo」店主) – 田島令子
TBS版ペルソナの微笑のスタッフ
ペルソナの微笑の原作(横山秀夫『第三の時効』所収)
殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か? 刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。笑わない「青鬼」朽木、公安出身の「冷血」楠見、ずば抜けた直感力を持つ「天才」村瀬。F県警強行犯係の男たちの強烈な闘争心と矜持を圧倒的な熱量で描き出す、本格ミステリにして警察小説の金字塔。