コクリコ坂から

コクリコ坂から
コクリコ坂から

佐山哲郎原作・高橋千鶴作画の漫画(なかよし連絡1980年1月号~同年8月号全8話、単行本全2巻)を原作とした、2011年のスタジオジブリ制作のアニメ映画。スタジオジブリでは、宮崎駿以外の監督経験者は基本的に原作のある作品を題材に映画化しているが、原作の主人公や重要人物の氏名に著しい変更が行なわれたのは本作のみ。「コクリコ」とは、フランス語の「ヒナゲシ」。与謝野晶子の短歌「ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟(コクリコ)」(歌集『夏より秋へ』所収)から取ったとされる。街並みなどの情景は横浜をイメージして描かれている。

コクリコ坂からの原作

高橋千鶴「コクリコ坂から」 (角川文庫)

高橋千鶴「コクリコ坂から」 (角川文庫)

コクリコ坂からの原作を読んだ人の感想

コクリコ坂からのあらすじ

1963年(昭和38年)、初夏の横浜。女子高生の松崎海は、海の見える丘に建つ”コクリコ荘”を切り盛りしている。海は、朝鮮戦争で機雷に触れて亡くなった船乗りの父を偲んで毎朝庭に国際信号旗を揚げていた。
海の高校には、男子文化部の部室棟“カルチェラタン”があり、老朽化による取り壊しの是非が論争になっていた。海は、取り壊し反対の論陣を学級新聞で張っている風間俊に淡い恋心を抱くようになる。海がの提案でカルチェラタンの一大掃除作戦が始まる。
ところが、亡くなった父が友人2人と撮った写真を俊に見せてから、俊は急によそよそしくなった。海の父は俊の父と同一人物で、自分たちの父親は同じで、二人は兄妹だったのだ。俊から友達でいようと告げられた海は、深く落ち込んでしまう。
やがて取り壊しに賛成していた生徒たちもが保存を望むようになったが、学校側は取り壊しを決定。生徒会長の水沼と海、俊は理事長に直談判し、カルチェラタンを見学してもらう約束を取り付ける。海はたとえ兄妹でも、俊のことがずっと好きだと告白すると、俊も海が好きだと答える。
アメリカから帰国した母によれば、俊は海の兄ではなく、事故で亡くなった友人の立花から父が引き取った子だという。立花の妻は俊を産んで急逝し、父は俊を自分の子として役所に届け出たが、育てる余裕は無く、知人に譲り渡していたのだった。
カルチェラタンを訪問した理事長は保存を約束する。喜びに沸く中、俊の生い立ちを知る人物に会いに港の大型船に駆けつけると、その人物は海の父と俊の父の親友で、写真に写っていた3人目の人物だった。

コクリコ坂からの感想

原作および「なかよし」連載漫画の舞台は、発表当時の80年代である。それを親世代の朝鮮戦争をからめて東京オリンピック前夜1963年に変え、横浜山手を舞台にしたことで、21世紀生まれの人にとっては大量の注釈が必要な描写満載の映画になっている。しかし、自治を標榜する高校がこの時代にあったのか(しかも学生会館(理事長は「クラブハウス」と呼んでいる)の名が「カルチェラタン」である)。

信号旗を毎朝揚げる松崎海と、抗議活動のために校舎から飛び降りた風間俊は、どうも兄妹らしいという展開になり、こういうとき、多くの物語ではそれで二人は納得して満足すると思うのだが、高さを共有して視線を交錯させた運命の出会い(それぞれの住まいが坂の上と下にあること、カルチェラタンが縦の多層構造であることなども無関係ではなかろう)を信じる松崎海は、「どうしたらいいの?」と絶望してしまう。ここは60年代的あり方ではないと思わせた。

コクリコ坂からのスタッフ

原作 – 高橋千鶴佐山哲郎『コクリコ坂から』(角川書店刊)
監督 – 宮崎吾朗
企画 – 宮崎駿
脚本 – 宮崎駿、丹羽圭子
音楽 – 武部聡志(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
キャラクターデザイン – 近藤勝也
作画監督 – 山形厚史、廣田俊輔、高坂希太郎、稲村武志、山下明彦
美術監督 – 吉田昇、髙松洋平、大森崇
撮影監督 – 奥井敦
音響監督・整音 – 笠松広司
動画検査 – 斉藤昌哉
色指定 – 森奈緒美、高栁加奈子
アフレコ演出 – 木村絵理子
録音 – 名倉靖
フォーリー – 山口美佳
効果助手 – 松長芳樹、千本洋
編集 – 瀬山武司
制作担当 – 古城環
制作デスク – 伊藤郷平、吉川俊夫
制作進行 – 居村健治、三吉弓子、坂本太夫、渋谷美音、橋本綾
演出助手 – 仲澤慎太郎、清川良介
プロデューサー – 鈴木敏夫
製作 – スタジオジブリ、日本テレビ放送網、角川書店、博報堂DYメディアパートナーズ、ウォルト・ディズニー・ジャパン、ディーライツ、東宝
特別協賛 – KDDI
特別協力 – ローソン、読売新聞
制作 – スタジオジブリ
配給 – 東宝

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