不安の種の感想
1話が数ページで完結する原作(往年の秋田書店的な漫画だ)を余計な因縁話に構成し直したのは失敗。映画化するにはほかに方法がなかったという点が退屈なところだ。
謎のキレ演技をしている石橋杏奈(浅香航大]に本気で蹴りを入れているシーンがある)は、あまり意味がなくて可哀想。
不安の種 見どころ
『不安の種』は“日常の歪み・時系列の崩壊・怪異への感覚”に焦点を当てた異色作である。
冒頭から中盤にかけては、複数の登場人物(バイク便の巧、誠二、家族など)のエピソードが並行し、物語の時間軸があえてバラバラに提示されているが、最終盤で、誠二の“死体”シーンが実はパラレル構造だったことが明かされ、「本当に死んだのは誰か?」という謎が提示され、観客の精神が攻撃される構造になっている。時系列の崩壊が不安を演出する作り手の主計と言える。
都市の日常(ファミレス、住宅街、学校など)に、突如として超常の怪異(オチョナンさん、眼球の群れ)が入り込むことで、“平穏が揺らぐ”感覚を持続的に与え続けている。音響も自然な環境音+奇妙な“気配”を重ね、ジャンプスケアに頼らず不気味さ=日常の裏の闇を炙り出す。空をまとわりつく顔だけの人影、無数の眼球が潰される衝撃など、不完全な「人間らしさ」が本能的に恐怖を呼び起こしている。
実写化ならではの特徴として、“オチョナンさん”の顔が特殊造形で再現され、“不気味の谷”現象によって視覚的違和感が生まれている。
登場人物それぞれが“怪異体験”を語り、自身が見たもの、聞いたものを共有するという手法。“集団で共有される不安”の構造を維持している。
恐怖の“種まき”が散りばめられたマインドホラーであり、恐怖そのものというより、むしろ“何が現実で何が幻か”という曖昧さが根源的な不安を揺さぶっている。
不安の種 あらすじ
ある街を舞台に、ひとつのバイク事故をきっかけに、日常の隙間から漏れ出した怪異現象が次々と露わになる。
不安の種を観るには?
映画 不安の種のキャスト
須賀健太 – 畑野誠二
浅香航大 – 乾巧
岩井志麻子
津田寛治
栗原瞳 – 龍太の母
小山颯
森くれあ – 陽子(幼少期)
川村亮介 – 都留
五頭岳夫 – 大樹の祖父
龍坐
気谷ゆみか
岩本淳
映画 不安の種のスタッフ
製作:
藤岡修、
山崎浩一、
鈴木香織、
吉川雅子、
宇田川寧、
沢考史
プロデューサー:
高口聖世巨、
柴原祐一
企画:鈴木淳一
撮影:平尾徹
音楽:石川忠
美術:高山雅子
編集:相良直一郎
録音:藤本賢一
ヘア&メイク:片伊木彩名
助監督:亀谷英司
照明:斉藤久晃
ライン・プロデューサー:中村和樹
CG:本田貴雄
制作担当:真野清文
制作プロデューサー:松浦順子
衣装:加藤みゆき
VE:栃木光信
特殊造形:百武朋
不安の種の原作(中山昌亮)
秋田書店チャンピオンRED2002年12月号~2005年5月号連載、『不安の種+』週刊少年チャンピオン2007年9号~2008年15号連載、『不安の種*』チャンピオンRED2019年4月号から連載中
生ぬるい風、落下する不快感、背中に刺さる冷たい視線…。闇の種が発芽する時、非日常のモノ共が出現する!!
何気ない日常生活を送っているはずの主人公達が、突然湧き起こる理不尽な恐怖や怪異と出会うホラー。「なぜ出没したのか」「なぜ登場人物と関わりを持ったのか」「正体はなにか」といった詳細は明らかにされず、あくまで「日常を送る人間の前に突如現れた理不尽な存在」として描かれている。