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アイネクライネナハトムジーク

多部未華子(アイネクライネナハトムジーク) 映画
多部未華子(アイネクライネナハトムジーク)
アイネクライネナハトムジークは、2019年9月20日公開。オール仙台ロケで撮影される。
まだ観ていない方は、Amazon Prime Videoで今すぐ視聴できます。

アイネクライネナハトムジークの感想

未読だが原作は連作短編で、登場人物が交叉する物語を映画として表現している。
伏線を過激に回収する伊坂幸太郎の小説は、ともすれば映画というメディアにマッチしすぎるきらいがあり、評価するのがなかなか難しい。
たとえば登場人物たちをつなぐ、矢本悠馬が演じる癖のある男が魅力的なのだが、乱暴だが本質的なことを言うこうしたキャラクターも伊坂作品ではお馴染みなのだ。

フィッシュストーリー」に続き、伊坂作品と相性の良い多部未華子がW主演という形だが、後半では恒松祐里も好印象。そして本作は、とても信じることができないが、三浦春馬の生前に公開された最後の出演作である。

アイネクライネナハトムジーク 見どころ

日常の中に隠された小さな奇跡と、人と人との繋がりを描いた映画。

  1. 伊坂幸太郎ワールド全開の群像劇
    伊坂幸太郎作品らしい、登場人物たちの何気ない会話の中に隠された伏線、意外な繋がりが後半で明らかになる構成が魅力。劇的な事件は起こらないが、それぞれの人生が交差し、小さな偶然が積み重なっていく様子が、心地よいリズムで展開。主要な登場人物は複数組おり、彼らの物語が並行して進み、やがて交錯していく群像劇。
  2. 「出会い」と「繋がり」の温かさ
    仙台駅前での街頭アンケートをきっかけに出会った会社員・佐藤(三浦春馬)と紗季(多部未華子)の10年にわたる物語を中心に、様々な人々の出会いと繋がりが描かれる。偶然の出会いがいかに人の人生を豊かにしていくか、日々の生活の中に潜む小さな喜びや感動がいかに大切かを感じさせてくれます。観終わった後に、じんわりと温かい気持ちになる作品です。
  3. 三浦春馬さんと多部未華子さんの自然体な演技
    主演の三浦春馬さんは、どこにでもいそうな「普通の会社員」佐藤を、多部未華子さんは、少しミステリアスで魅力的な女性・紗季を、それぞれ自然体で演じています。彼らの何気ない会話や表情の機微が、リアルな恋愛感情や人間関係を表現しており、観客の共感を誘います。二人の空気感が非常に心地よいです。
  4. 斉藤和義の音楽が織りなす世界観
    斉藤和義が主題歌「小さな夜」と劇中音楽を手がけており、これが映画の世界観をより一層深めています。彼の音楽が、物語の温かさや切なさを際立たせ、観客の心に寄り添います。特に、劇中で斉藤さんが演じる(?)ギターの弾き語りシーンも印象的です。
  5. 日常の尊さと小さな奇跡
    大事件は起こらないけれど、日常の中にこそ、人々の喜びや悲しみ、そして「奇跡」のような瞬間が隠されていることを教えてくれます。この映画を観ると、何気ない日常の出来事一つ一つが、実はかけがえのないものだと改めて気づかされるかもしれません。
  6. 仙台の美しい風景
    映画の舞台は仙台で、美しい街並みや風景が物語を彩っています。仙台駅前など、実際に伊坂幸太郎作品の舞台となった場所が登場し、伊坂ファンにとってはそれも楽しみの一つとなるでしょう。

    「アイネクライネナハトムジーク」は、劇的な展開を求める映画ではありませんが、人生の温かさや、人との繋がりの尊さを感じたい方には心からおすすめできる作品です。観終わった後、きっと誰かに会いたくなる、そんな余韻を残します。

    アイネクライネナハトムジーク あらすじ

    仙台駅前の大型ビジョンを望むペデストリアンデッキ。人々が日本人初のボクシング世界ヘビー級王座を賭けたタイトル戦に湧く中、リサーチ会社で働く佐藤は街頭アンケートを取っていた。ふとしたきっかけからアンケートに応じてくれた紗季と出会い、そのまま付き合うことに。それから10年、佐藤は意を決して紗季にプロポーズをするのだが…。

    アイネクライネナハトムジークを観るには?

    アイネクライネナハトムジーク キャスト

    佐藤:三浦春馬
    本間紗季:多部未華子
    織田一真:矢本悠馬
    織田由美:森絵梨佳
    織田美緒:恒松祐里(6歳期:細淵夏菜)
    久留米和人:萩原利久
    ウィンストン小野:成田瑛基
    亜美子:八木優希(6歳期:丸山陽詩)
    斉藤:こだまたいち
    板橋香澄:MEGUMI
    久留米邦彦:柳憂怜
    久留米マリ子:濱田マリ
    青年:藤原季節
    少年:中川翼
    女子高生:祷キララ
    課長:才勝
    若手社員:大下ヒロト
    セコンド:伊達みきお(サンドウィッチマン)
    セコンド:富澤たけし(サンドウィッチマン)
    美奈子:貫地谷しほり
    藤間:原田泰造
    澁谷果歩、星空もあ、窪田ちふみ、矢野武、若林健治、染谷恵二、岩崎心平、熊谷博之、松本龍、糸井文菜 ほか

    アイネクライネナハトムジーク スタッフ

    原作:伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)
    監督:今泉力哉
    脚本:鈴木謙一
    音楽:斉藤和義
    主題歌:斉藤和義「小さな夜」(スピードスターレコーズ)[6]
    製作:依田巽、畠中達郎、見城徹、佐竹一美、一力雅彦、佐藤吉雄
    エグゼクティブプロデューサー:小竹里美、千葉伸大
    プロデューサー:宇田川寧、遠藤日登思、松下剛
    撮影:月永雄太
    照明:藤井勇
    録音:山本タカアキ
    美術:松本知恵
    編集:相良直一郎
    VFXスーパーバイザー:小坂一順
    音響効果:勝亦さくら
    助監督:中里洋一
    制作担当:斉藤大和
    ボクシング指導:松浦慎一郎(助手:松土翼)
    特殊メイク:百武朋、並河学
    音楽協力:スピードスターレコーズ
    撮影協力:仙台市、せんだい・宮城フィルムコミッション、仙台市交通局、仙台市立仙台商業高等学校 ほか
    MA:角川大映スタジオ
    ラボ:IMAGICA
    配給:ギャガ
    製作プロダクション:ダブ
    製作:映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会(ギャガ、アミューズ、幻冬舎、ダブ、河北新報社、東日本放送)

    アイネクライネナハトムジークの原作(伊坂幸太郎)


    妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。
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