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時効警察

4.0
池脇千鶴(時空警察) ドラマ
池脇千鶴(時空警察)
時効警察は、2006年1月13日-3月10日の毎週金曜23時15分-翌0時10分に、テレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」枠で放送。主演はオダギリジョー。第23回「ATP賞テレビグランプリ2006」ドラマ部門最優秀賞。
その後、帰ってきた時効警察(2007年4月)、時効警察・復活スペシャル(2019年9月)、時効警察はじめました(2019年10月)、時効警察とくべつへん(2019年10月)が制作された。

時効警察の感想

10年以上も前のドラマなのだが、根強いファンがいるらしく、今年1月に第3シリーズが始まると告知され、露払いのスペシャルまでやる模様で、さらにその番宣の傑作選というのをやっていたので、見てみた。
2006年当時はノリもオダギリジョーもピンとこなくて2話以降は見なかった。

第1話には、まだ線がはっきりしなかった23歳の池脇千鶴(「ストロベリーショートケイクス」の頃である)が犯人役で、結構モヤモヤする。

時効警察 見どころ

本作は時効(公訴時効)が成立した未解決事件を“趣味で”捜査する総武署時効管理課の警察官・霧山修一朗の活躍を描くコメディミステリードラマであり、刑事ドラマの様式美をパロディ化した「革新作」である。
視聴率は決して高くなかったが、熱狂的なファン層を獲得し、2000年代後半の「カルト的人気ドラマ」としての地位を確立している。

作品のトーンを主導したのは、3シリーズおよびスペシャルあわせて9本の監督と脚本を担当した三木聡で、他に4本を演出した園子温らの個性も反映されている。この他、主演のオダギリジョー・熊本課長役の岩松了が脚本・監督を担当したエピソードも存在する。

通常の刑事ドラマでは「犯人逮捕」がゴールになるが、『時効警察』はあえて「時効になった事件」を扱うというプロットである。主人公・霧山修一朗は「犯人を告発せず、秘密として楽しむ」ためだけに真相を暴くのだ。
(殺人事件の公訴時効は、第2シリーズ放映後に刑事訴訟法が改正(2010年4月27日施行)され、撤廃されている。)
霧山が真相を解明した後に「あなたが犯人だと知ってますカード」を犯人に渡すのだが、これは視聴者に予想を裏切るとともに、「真実を知る意味」を問いかけた。刑事ドラマの定番「勧善懲悪」「カタルシス」から意図的に距離を置き、「推理の過程」そのものを娯楽化したのである。

本作は、三木聡作品特有の不条理ギャグ・シュールな小ネタが全編に散りばめられている。登場人物の会話はほとんどが意味のない雑談や哲学的な言葉遊びであり、捜査シーンも妙にゆるい空気感。霧山と三日月(麻生久美子)のやり取りは、ラブコメのようでいて進展しない絶妙な距離感を保っている。視聴者は「事件解決」よりも“会話と雰囲気”を楽しまざるを得ない。

従来の民放ドラマの視聴率至上主義から外れた「時効警察」のフォーマットは次のようなものである。

  • 1話完結×緩やかな連続性
    基本は1話完結だが、回を重ねるごとにキャラクター間の微妙な変化(霧山と三日月の関係など)がじわじわ進行。
  • ビジュアル演出
    三木聡監督に特徴的な画面内の余白、固定カメラ、間の取り方。登場人物が唐突に奇妙な行動をしたり、意味不明の張り紙が背景にあったりする、「画面全体がネタの宝庫」。
  • ジャンルミックス
    ミステリー、ラブコメ、不条理コメディ、メタフィクションがシームレスに融合。

こうした結果、「正義 vs 悪」「真実の勝利」といった昭和・平成初期の刑事ドラマ的価値観を捨て、犯人は罪を償わないまま生活し、視聴者も「それでいい」とどこかで納得するというポスト平成”の価値観を先取りしたドラマとなった。
いわば「善悪二元論の解体」「真実より日常」という価値観が、後の『アンナチュラル』『MIU404』など令和のドラマにも影響を与えたのである。

キャラクター造形にも触れておこう。
オダギリジョー演じる霧山修一朗は、イケメンだが、ミステリーオタクで脱力系という型破りな刑事。
麻生久美子(民放の連続ドラマ初出演だった)演じる三日月しずかは、強い女性でも過剰なヒロイン性もない、「普通」であることが魅力となっている。

他の個性的な警察署メンバーも含め、全員が「少しズレている人たち」なのだ。

時効警察を観るには?

時効警察のキャスト

時効管理課
 霧山修一朗 – オダギリジョー
 又来 – ふせえり
 サネイエ – 江口のりこ
 熊本 – 岩松了
 三日月しずか – 麻生久美子(中学生時代:久野みずき
 下北沢 – 大友みなみ
 神泉 – 永田良輔

刑事課
 十文字疾風 – 豊原功補
 蜂須賀 – 緋田康人

他の関係者
 諸沢 – 光石研
 署長 – 五王四郎

時効警察のスタッフ

脚本 – 三木聡岩松了園子温ケラリーノ・サンドロヴィッチ山田あかね高山直也塚本連平吉田玲子麻生学オダギリジョー福田雄一大九明子田中眞一小峯裕之
ナレーション – 由紀さおり
音楽 – 坂口修(編曲:大井洋輔)
主題歌
第1シリーズ – CEYREN「雨」
技斗 – 村上潤
技術協力 – オーエイギャザリング(第1シリーズ)、アップサイド(第2シリーズ – )
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
ポスプロ – バウムレーベン、ブル
スタジオ – 東映テレビ・プロダクション
チーフ / ゼネラルプロデューサー – 黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー – 横地郁英(テレビ朝日)、遠田孝一(MMJ)
監督 – 三木聡岩松了園子温ケラリーノ・サンドロヴィッチ塚本連平麻生学安見悟朗オダギリジョー大九明子今泉力哉森ガキ侑大
製作 – テレビ朝日、MMJ
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