ドラマ1990年代のドラマ1998年のドラマ

斜光

3.5
藤田朋子(斜光) ドラマ
藤田朋子(斜光)
1998年6月22日にTBS月曜ドラマスペシャルの枠で21:00-22:54に放送。渡瀬恒彦、名取裕子の顔合わせで送る大人のミステリー。影のあるはかなげなヒロイン・弥宵を名取が、ヒロインに魅せられて思いがけない真実を知ることになる写真館主・香留を渡瀬が好演。人間ドラマの中にサスペンスを盛り込んだ本格作品。共演は藤田朋子、山田純大ほか。
ロケ協力:塩山市、山県館、鈴乃屋きもの学院、勝沼町 ぶどうの丘、シャトーテル赤根崎、QED CLUB、GALLERY KUBOTA、大手町 野村ビル、東京生命相互会社、共映。

斜光の感想

時代は1998年。見合い写真で一目惚れした美貌の41歳の名取裕子と再婚する写真館の主が渡瀬恒彦。なぜか似合わないオーバーオール姿で笑ってしまうのだが、着物に割烹着という名取も、いいかげん時代錯誤だったはずだ。

自分のことを何も話さなかった名取が、若い男と塩川温泉で出奔したので、残された渡瀬は女のミステリアスな面影を追う。斜光というタイトルは、写真館のスタジオで明かりとりの窓から射す西陽を浴びて物思いにふける名取の横顔描写から来ている。

このへんまでは、ちょっと清張の「聞かなかった場所」に似ている(本作の原作は泡坂妻夫)。

じつは若い男(今でもよく見る山田純大)は、なんと名取が高校生のときに産んだ実の息子で、名取は甲府市長選たけなわの塩川温泉で有力候補者の父親を殺していた(厳密には石で頭を殴打しただけだが)。じつはその男こそ名取を孕ませた当時のロリコン教師で、老いた今でも女子中学生を買春しているというクズぶり(このへんの設定が容赦ない)。山田純大は名取を母と知りながら恋をしており、逃避行のうちに唇を寄せたりするが、名取はそれをさりげなく退けるシーンがあり、また山田の恋人を33歳の藤田朋子が演じている(ヘアヌード事件の2年後だ)。演技は下手だが、それも含めて稲森いずみにちょっと似ているかな。

斜光のキャスト

斜光のスタッフ

脚本 – 金子成人扇澤延男
プロデューサー – 日留川雄二(プロデューサー補:江崎陽子
演出 – 和田旭
原作 – 泡坂妻夫
局系列 – JNN
制作会社 – カノックス(KANOX)、TBS
制作協力 – 東通、緑山スタジオ・シティ、アックス
撮影技術 – 伊澤昭彦、倉谷祐次、加藤久雄、荒井秀訓、小島一宏、荻原誠
美術 – 椎葉禎介、高田圭三、平野裟一、尻無浜宏人、栗本誠治、野呂利勝、吉田美代子、山岸幸彦、石井薫子、久冨木知美、河野明子

斜光の原作(泡坂妻夫)


夕城写真館を経営する夕城香留(渡瀬)は、友人のカワムラ(鶴田)の紹介で弥宵(名取)と再婚したものの、弥宵の浮気を知って、浮気相手のデザイナーの松島清詩(山田)を探るうち、松島の妻の森子(藤田)から声をかけられる。夫の浮気を知っている森子は浮気を止めさせるために、旅行先で偶然鉢合わせさせることを夕城に提案する。
夕城は弥宵を連れて松島が仕事で出掛けている塩山温泉へ行き、古い知人の森子に会ったふりをして、松島と弥宵を引合わせるものの、結局、良心の呵責に絶えかねて森子と企んだことだったと弥宵に告白してしまう。松島と弥宵が姿を消したため、夕城は弥宵の行方を捜し始める。
その頃、山梨県甲武市で田中治作の死体が発見され、山梨県警の刑事(清水)とニシベ(田山)は、田中の妻(杉山)や、市長選に立候補している息子の田中幸明に事情を聞いていた。その後、田中の知人(梅津)に田中のことを聞いたニシベは、かつて教師をしていた田中が、女生徒に乱暴を働いたことが明るみに出て退職していたことを突き止める。
この被害に遭った女生徒こそ弥宵であり、弥宵はその事件で妊娠して子供を出産し、子供はどこかへ引取られていったことを、夕城は弥宵の身内のタツオ(北村)から聞き出す。そしてその子供こそが松島なのだった。
タイトルとURLをコピーしました