新・細うで繁盛記

荻野目慶子(新・細うで繁盛記)
荻野目慶子(新・細うで繁盛記)

花登筺が静岡新聞夕刊に連載した『銭の花』を原作に1970年1月8日~1971年4月1日の毎週木曜21時30分~22時26分までよみうりテレビで製作され、日本テレビ系列で放送された。関東では銭という言葉に抵抗感があるという理由で、細うで繁盛記というタイトルに変更されたという。近畿地区では最高視聴率38.0%を記録。
オープニングの新珠三千代のナレーションは「銭の花の色は清らかに白い。だが蕾は血がにじんだように赤く、その香りは汗の匂いがする」。牛乳瓶の底のような近眼鏡をかけた正子役の冨士眞奈美が静岡弁をまくしたて、視聴者に強烈な印象を与えた。「どてらい男」の坂田軍曹役の藤岡重慶と並び 、「憎まれ役が人気者になる」パターンを作り上げた。
1972年1月6日-1973年3月29日に第2シリーズが作られ、「新・細うで繁盛記」は1973年8月23日-1974年2月14日に放送。その後、放送局をフジテレビ系列に移し、1994年・1995年・2006年に金曜エンタテイメント枠で、2007年に金曜プレステージ枠でスペシャルドラマとしてリメイク版が放送された(以下の本作は「新・細うで繁盛記」のタイトルで、2006年1月20日に第1作、2007年2月23日に第2作が放送されたもの)。

新・細うで繁盛記の原作

花登筺「銭の花」

花登筺「銭の花」

新・細うで繁盛記の原作のあらすじ

新・細うで繁盛記のあらすじ

大阪の料亭南地楼の孫娘加代は「こいさん」と呼ばれ、祖母ゆうから大阪商人の心構えを聞かされていた。若い板前清ニにほのかな恋心をいだいていたが、終戦後、南地楼は没落。加代は騙されるようにして伊豆熱川の小さな旅館山水館の正吾の元に嫁ぐ。熱川の旅館は伝統的な営業方針を守ろうとする福原屋派と、新しい時代の温泉ホテルへ変わろうとする大西館派に分かれていた。山水館は福原屋についていた。
結婚初夜、夫正吾は戦傷のため男としての務めを果たせない身体であることが分かる。加代は山水館をもり立てて大きな旅館にすることを夢見る。復員してきたかつての恋人清二、南地楼の番頭の善三、仲居のお多福が加代の元に次々に集まってきたが、伝統的な商売を続けていこうとする義父、正吾、正子はことごとく加代の夢を邪魔する。ただ一人、義妹の春江だけが加代の味方となった。
戦後の復興期の中で徐々に温泉地への客が増え始めていた。加代はその商機をのがさず、新しいアイデアと温かい心遣いで徐々に客を増やし続けていく。そして十数年、山水館は熱川でも指折りの大旅館に成長。加代は夫とは言えない夫である正吾に操をたて(それは山水館の女将の立場を確保するためでもあるが)、恋心を抱く清二とは結ばれようとはしなかった。義妹の春江が清二と結婚したいと申し出た時にそれを許し、正吾の妻、山水館の女将であり続けた。
続編では、加代は正子たちの策略にかかり山水館の経営権を奪われてしまう。失意の加代は西伊豆・土肥にあてもなく流され、安楽館の若い主人と知り合って新しい旅館海花亭を開く。土肥は金鉱山の採掘に伴い源泉が枯れ温泉地として危機に瀕していたが、加代は俊作を助けて土肥温泉復活のために働いていく。善三たちが山中で見つけた新しい源泉によって土肥温泉は復活。客を運ぶためにバスを確保するように運動を続けた。
一方熱川では、義妹春江と清二らの働きによって再び山水館の経営権は取り戻されていたが、春江は清二の子供を産んだ後、亡くなってしまう。加代は伊豆の稲取に新しい旅館松船閣を建ててその経営をお多福に任せる。そして山水館をますます大きく発展させていく。

新・細うで繁盛記の感想

38歳で東京の旅行会社で働く沢口靖子の話から始まって、これがどうすれば「細うで繁盛記」になるのかと思ったのだが、潰れかけた「土肥の山水館」の女将に抜擢され、元の女将の荻野目慶子が正子として沢口をいじめ抜く(というほどでもないのだが)、という展開になるのだった。荻野目が誰だかしばらくわからず、夏帆かと思ってしまった。

古そうに見えるが放送は2006年、たった10年ちょっと前のドラマである。70年版のものをアレンジしたテーマを使っているのがご愛嬌か。

そして今知ったのだが、新珠三千代高島忠夫冨士眞奈美の「細うで繁盛記」にも「新」が付く続編がある。「大阪を舞台に、若い未亡人が複雑な婚家の人間関係のなかに身を置きながら、夫の残した借財を持ちまえの根性とアイデア商法によって完済するドラマ」だそうだ。 見たい…

新・細うで繁盛記のキャスト

関口 加代 – 沢口靖子
原田 正子 – 荻野目慶子
原田 正五 – 勝村政信
原田 春江 – 田畑亜弥
大原 富士子 – 星由里子
伊吹 清二 – 松村雄基(第1作)→杉本哲太(第2作)
中西 数馬 – 鈴木ゆうじ
善造 – 大村崑
お多福 – 青木和代(第1作)→正司花江(第2作)
関口 ゆう – 新珠三千代(写真出演)
和泉ちぬ田京恵姫小松まろ村上玲子少路勇介
第1作ゲスト
 野田 勝子 – 塩沢とき
 今田課長 – 松澤仁晶
 清水宏坂本小吉山崎大輔久保晶尾崎右宗古村隼人
第2作ゲスト
 福西 宗一郎 – 綿引勝彦
 菊地 恵子 – 仁藤優子
 岩田 – 曽雌達人
 倉田 久美 – あめくみちこ
 倉田 良樹 – 田中隆三
 目黒修一 – 市川勇
 松江正 – 野口雅弘
 増田未亜石井愃一西田聖志郎古村隼人

新・細うで繁盛記のスタッフ

原作 – 花登筺『銭の花』より
監修 – 楠美昌
脚本 – さとうしょう
監督 – 赤羽博
テーマ音楽 – 小川寛興
題字 – 松村雄基
選曲・効果 – 石井和之
ロケ協力 – 伊豆市観光協会土肥支部、佐原市、駿河湾フェリー
ボディスタント – FCプラン
技術協力 – 東通、ブル
美術協力 – 東宝映像美術、アックス
照明協力 – ラ・ルーチェ
装飾 – 京映アーツ
プロデュース – 阿部謙三、佐藤善宏
製作 – フジテレビ・東宝

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