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瀕死のトビン・ベルの哀愁が良い(ソウXの感想)
昨年、フト思い立ってソウシリーズ9作を一気見したので、当然のように本作を見てしまった。
あわせて「エイリアン」も全部見直したのだが、奇しくも「ロムルス」と同じように、時系列的には第1作と第2作の間の出来事、ということになっている。
ファンサービス的に、ショウニー・スミス(そもそも「ソウ」に出たのはスミスのファンだったリー・ワネルが「ダメ元で」オファーしたからだという。リーは何を目てファンになったのか?)のアマンダが再登場。
「6」以来だから14年ぶりということになるが、映画上で死んだのは「3」である。そもそもトビン・ベルが死んだのも同じ「3」で、こちらは「レガシー」(2017)にも一部出て来るので7年ぶり。
歴代の脚本の建て増しによる、こうした時制の混乱が、このシリーズの醍醐味にもなっている。
ストーリーの前半は、脳腫瘍末期のトビンが癌患者の会で知り合った男に誘われ、メキシコシティで画期的な回復手術を受ける流れを描く。当時80歳のトビンの演技が良い。
トビンは手術成功と聞かされて喜び、趣味の「殺人ゲーム仕掛けのスケッチ」もやめかけるのだが、自分が医療詐欺にひっかかり、手術自体行われていなかったことに気づいてしまう。そこで、アマンダを使って詐欺に加担した者たちを攫い、身体破壊ゲームを始めるという展開になる。
上記のように全体がトビン目線で語られるところがいつもと違う趣向で、終盤ではついにトビン自らもゲームに参加して死にかけたりするのだが、それでもやはりどんでん返しはある。
もう一人の後継者候補(だった者)の登場シーンのおまけ付き。
ソウXのあらすじ
末期がんで余命わずかと宣告された猟奇殺人鬼ジグソウことジョン・クレイマーは、藁にもすがる思いで危険な実験的治療を受けるべく、メキシコに向かうが、実はその治療が卑劣な詐欺だと知り、自分を騙した詐欺師やインチキ治療に加担する医師たちに死のゲームを仕掛けて復讐していく。
ソウX 見どころ
『ソウX』は、シリーズの魅力である残酷なトラップや倫理的ジレンマを維持しつつ、ジグソウの人間性に焦点を当てた作品。シリーズファンはもちろん、初めて『ソウ』シリーズに触れる観客にもおすすめできる一作。
- ジグソウの人間性と倫理観の描写
本作では、末期がん患者としてのジョン・クレイマーの苦悩や希望が描かれ、彼の行動の背景にある複雑な感情が浮き彫りに。これにより、単なる悪役ではなく、深みのあるアンチヒーローとしての側面が強調されている。 - シリーズ最高の悪役・セシリアが登場
詐欺治療の首謀者であるセシリアは、シリーズ史上最も冷酷で自己中心的なキャラクター。彼女の行動は観客に強い嫌悪感を抱かせ、物語の緊張感を高める。 - トラップの残酷さと創造性
本作のトラップは、シリーズの中でも特に残酷で創造的と評価されている。例えばバレンティーナのトラップでは、脚の切断と脊髄の抽出が求められ、視覚的にもキョーレツ。 - 原点回帰とストーリーテリングの強化
シリーズ初期の作品と同様に、複雑なタイムラインや過度な編集を避け、シンプルで緊張感のあるストーリーテリングに回帰。 - シリーズ内での時間軸の位置づけ
シリーズ第1作と第2作の間の出来事を描いており、過去作との整合性を保ちながら、新たな物語を展開。シリーズファンにも新たな発見があり、初見の観客にも理解しやすい構成
ソウX キャスト
アマンダ・ヤング – ショウニー・スミス
セシリア・ペダーソン – シヌーヴ・マコディ・ルンド
パーカー・シアーズ – スティーヴン・ブランド
ガブリエラ – レナータ・バカ
マーク・ホフマン – コスタス・マンディロア
ヘンリー・ケスラー – マイケル・ビーチ
ディエゴ – ジョシュア・オカモト
ソウXのスタッフ
脚本 – ジョシュ・ストルバーグ、ピーター・ゴールドフィンガー
製作 – マーク・バーグ、オーレン・クールズ
製作総指揮 – ダニエル・ジェイソン・ヘフナー、ケトゥラ・ケスティン、ジェームズ・ワン、、ステイシー・テストロ、ジェイソン・コンスタンティン、グレッグ・ホフマン
音楽 – チャーリー・クロウザー
撮影 – ニック・マシューズ
編集 – ケヴィン・グルタート
製作会社 – ツイステッド・ピクチャーズ
配給 – アメリカ ライオンズゲート、日本 REGENTS / AMGエンタテインメント
公開 – アメリカ 2023年9月29日、日本 2024年10月18日
上映時間 – 118分