【実況】巨人の星

第40話|血ぞめの決勝戦

【実況】巨人の星

・・・しかし、雨はついに止んだのだった。
雨戸を開けた飛雄馬は、「ああっ、晴れてる…!」と絶望する。

一方、巨人の藤田コーチと荒川コーチも決勝戦を見るために甲子園球場に現れた。

ためしに一球投げてみた飛雄馬、「い…痛い…!」

ためしに一球投げてみた飛雄馬、「い…痛い…!」


すぐにスローボールに切り替えた。
「敵を気負いこませてヒョイッとスローボールではずす、これが名ピーッチャーの技でござい!」
伴は無神経なことを言っている。

* *

そしてプレイボール、星雲が先攻だが、例によって冴えない打撃。
みんなもう少し打ってくれてもいいじゃないか、俺に甘えすぎだ!と飛雄馬はひとりごち、マウンドに立つと、一斉に集まるスカウトたちの眼を意識せざるを得ない。
しかし、とりあえず投げられるのはスローボールだけ。
さすがに打たれたが、ピーゴロ、次はショートフライ。
三人目はショートゴロ、しかしボールがはねてランナーは一塁へ。
そして4番・花形登場――
「小宮さんに頼んでマウンドを降りようか、そうすればみんなは俺の不運に同情してもらえる…」
飛雄馬はまだイジイジと考えている。

しかし花形の眼は澄みきっている

しかし花形の眼は澄みきっている


スタンドで応援で大活躍の牧場の姿が見え、飛雄馬はそれを見て「みんなひたむきに若い命を燃やしている」と思い直す。
いや、オッサンかwww
ようやく腹を決めた飛雄馬は、伴になにごとか囁く。
長屋でテレビの前の一徹「やれ、やるんだ飛雄馬!」
勘の鋭い親父のはずが、今回は何も気づいていない。

* *

そしてコマーシャル明け、飛雄馬の策はなんと敬遠であった。

な ん だ っ て ・・・!

「ひきょうもの!」と罵りながら一塁に向かう花形

「ひきょうもの!」と罵りながら一塁に向かう花形

落胆するスカウトら

落胆するスカウトら

荒川コーチ「期待するほどでもなかったな」

荒川コーチ「期待するほどでもなかったな」

それでも、藤田だけは何か気づいた様子。
「うーん、しかし、ちょっと気になる投げ方だな・・・」

一徹もまたようやく異変に気づく。
「あいつは死んでも敬遠などするわけがない」
「でも怪我をしたのなら、第二ピッチャーの小宮さんが…」と明子はもっともなことを言う。
「いや、どんな怪我をしても飛雄馬のほうが上。そこに飛雄馬の悩みがある」
小宮はどんだけヘボいのかww

落胆するスカウトら

落胆するスカウトら



スローボールを投げ続ける飛雄馬は、ついに出血していた。
そして花形の二打席目も敬遠。
アタマに来た花形は敬遠球を打つが…

アタマに来た花形は敬遠球を打つが…

 
場外になりそうなところをなんとかアウト。
ついに指からは血が噴き出す

ついに指からは血が噴き出す


ランナー2塁、そして花形の三打席目というピンチである。
飛雄馬「よし、父ちゃんに教わった作戦をやるか
「むっ、『あれ』をやる気か!」

「むっ、『あれ』をやる気か!」

 

血がダラダラだが…
血がダラダラだが・・・
わざとインサイドボールで打たせ・・・
わざとインサイドボールで打たせ・・・
レフト前に転がし・・・
レフト前に転がし・・・
3塁を回ったランナーを・・・
3塁を回ったランナーを・・・
ホームで殺す!
ホームで殺す!

まんまとやられて悔しがる花形。
喜んだ伴だったが、ふと手元のボールを見て、

「血、血だ…!」

「血、血だ…!」


ベンチに戻った伴が顔色を変えているのを見て、飛雄馬は裏に引っ張りこむ。
「今日のお前は今までで一番かっこ悪かったぜ!」と感動する伴

「今日のお前は今までで一番かっこ悪かったぜ!」と感動する伴


頼まれた通りにボールに土をなすりつける

頼まれた通りにボールに土をなすりつける

ピンチの中、花形4打席目。飛雄馬はすでに眼が霞んでいる。

「あと一球投げられるかどうか…」

「あと一球投げられるかどうか…」


テレビを見つめる明子「もう見てられないわ」

ゲッツーを狙って投げるつもりが、すっぽ抜けの球――

花形、大ホームラン

そして星雲は負けたのである。

「藤田さん、星は予想外でしたね」との記者の質問に、
藤田「いや、予想以上のピッチャーだよ、予想以上にすばらしかった」

記者たち「いやあ、またご冗談を…」

記者たち「いやあ、またご冗談を…」

 
「星の腰抜け!」

「星の腰抜け!」


マウンドに膝をついた飛雄馬は動けずにいる。
笑うやつは笑えっ、怒るやつは怒れっ…
父ちゃん、俺は逃げ出さなかったんだ、最後までマウンドから降りなかったんだ・・・

こうして星雲の甲子園は終わったのである。

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