やり過ぎ。観たことを後悔(みなに幸あれの感想)
うーん。「MEN 同じ顔の男たち」を見たときにも思ったが、これはやり過ぎだ。いかにも不穏な古川琴音でなければ成立しない映画だった。日本ホラー映画大賞を獲った監督が受賞作を長編化したとのこと。総合プロデュースは清水崇である。
舞台は福岡県田川。古川は父方の実家に里帰りしているのだが、「幸せだなあ」が口癖の祖父母はどこか様子がおかしい。どうやら自家製の味噌が怪しいという描写がある。このへんはシャマランの「ヴィジット」である。
最初から怪しかった2階の物置には、目と口を縫い付けられたパンイチの老人が縛られていて、胃瘻のような仕組みで味噌(?)を採取したらしい。古川は幼馴染の青年の協力で老人を外に連れ出すが、そこに父母と弟が合流してきた。父親はトラックにはねられた老人を田圃に蹴り落とし、火をつける。要は、一家に一人生贄を飼うことがこの地方の「幸せを守る」たまの習わしらしいのだ。老人が死んで生贄を失った祖父母は、血を吐き始める。ついでに弟も目から血を流す。
混乱した古川は、むかし家を出ていったという伯母を探して山奥へ。ようやく見つけた老女は「これからはアフリカの時代が来る」などと謎の言葉を呟きながら、古川が振り下ろした薪割り斧に首を差し出して、頭が真っ二つに。
逃げ出した古川が、生贄になってもいいよと声をかけてきた中学生を無視して家に帰ると、祖母は妊娠していた。混乱を鎮めようと自らの目を縫いつけようとしたが、痛みに耐えきれなかった古川は、幼馴染の家に行って青年の首を絞める。そのころ祖母は破水し、父母の組体操の上で赤ん坊を出産。幼馴染が生贄になったので、一家には幸せが戻ってきた。
その後にちょっとしたオチはあるが、大体そんな話である。幸せの総和はゼロになる、ということがテーマらしいのだが…。
古川と幼馴染の青年以外の役者を現地調達したとのことで、ホラーとしては棒読みの祖母が怖い。見なければよかった。
みなに幸あれ 巷の考察や感想
「みなに幸あれ」を見た人の意見としては、次のような指摘が見られます。
- 「誰かの幸せは他者の不幸の上に成り立っている」というゼロサム的な世界観を描いており、観客に不条理な現実を突きつける
- 主人公以外の登場人物が共有する“世界の仕組み”が徐々に明らかになり、衝撃を与える
- 現代の資本主義社会における格差や搾取の構造を風刺している
- 名前ではなく「孫」「祖父母」などの関係性で呼ばれており、テーマが普遍的 祖母が何かを出産するシーンが生理的嫌悪感を引き起こす
- 「味噌」は不幸や犠牲を象徴するアイテム
- 登場人物の動きや演技が不自然なシーンがあり、没入感を妨げる
- 世界の仕組みそのものが恐怖の源である、新しいホラー表現
- 村は因習や閉鎖的なコミュニティの象徴
- 「今、幸せ?」という繰り返されるセリフ
みなに幸あれ 見どころ
映画『みなに幸あれ』は、2024年に公開された日本のホラー映画で、下津優太監督の長編デビュー作です。本作は第1回日本ホラー映画大賞を受賞し、清水崇が総合プロデュースを務めました。主演は古川琴音が務め、田舎の祖父母の家を訪れた看護学生の“孫”が、家族の秘密と向き合う姿を描いています。
みなに幸あれ あらすじ
看護学生の孫は、ひょんなことから田舎で暮らす祖父母のもとを訪れた。久しぶりの再会に、家族水入らずの幸せな時間を過ごしていた彼女だったが、徐々に違和感を抱き始める。祖父母の家には「なにか」がいるようで、しだいに孫は人間の存在自体を揺るがすほどの根源的な恐怖に巻き込まれていく。
みなに幸あれを観るには?
みなに幸あれ 巷の考察
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意味不明なシーン、資本主義の負の側面からひも解くとスッキリする。
『みなに幸あれ』ネタバレ考察,相関図ラストの意味,祖母の出産,味噌の意味を解説(シネマグ/映画のラストネタバレ考察(伊良波航太)) -
誰かが不幸だと嬉しい。
だって、それは自分が幸せを得たってことだから。
幸福と味噌の関係が怖い!ホラー映画「みなに幸あれ」をネタバレ考察(ちぶ~) -
そして、我々は今日も誰かの犠牲の上に生きていることを痛切に感じることになる。
【ネタバレ】映画『みなに幸あれ』結末は?タイトルの意味や“世界の仕組み”とは?歴史を塗り替えるJホラー作を徹底解説(omonthy – FILMAGA)
みなに幸あれ キャスト
みなに幸あれ スタッフ
脚本:角田ルミ
原案:下津優太
総合プロデュース:清水崇
企画:工藤大丈
統括:古賀芳彦
製作:菊池剛、五十嵐淳之
プロデューサー:小林剛、中林千賀子、下田桃子
撮影:岩渕隆斗
音楽:香田悠真
主題歌:Base Ball Bear「Endless Etude (BEST WISHES TO ALL ver.)」
編集:下津優太
製作会社:KADOKAWA、ムービーウォーカー、PEEK A BOO(制作プロダクション:ブースタープロジェクト)
配給:KADOKAWA
得体の知れない恐怖に直面する社会派ホラー映画です。
この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。