やまとなでしこ(20周年特別編)の感想
いずれ忘れてしまうだろうから書いておくが、コロナ下の7月にドラマの再放送ブームというものがあり、本作もまた押尾学事件による再放送の封印が解かれた。何が起こるかわからないものである。
(2020年4月クールの月9ドラマ『SUITS/スーツ2』が新型コロナウイルス感染拡大の影響で第3話以降の放送を延期するに至り、月9枠において、同年7月6日と7月13日の2週にわたって、『やまとなでしこ 20周年特別編』として放送された)
その録画を今日ようやく見たわけだが、総集編なので、細部の辻褄など合わないものの、ちょうど良い見応えだった。
初放映は2001年の月9で、当時はドラマなど見なかったので世間の盛り上がりには疎いのだが、最終回(とおぼしき部分はつまらない)の視聴率はなんと34.2%を記録したという。松嶋菜々子はすでにブレイクしていたが、初のオリジナル脚本を書いた中園ミホは、その後の足がかりをつかんだと思われる。
極端な性格のキャラクターをヒロインに据える常道的スクリューボールコメディだが、まさに完璧にまぶしく輝く松嶋がそれを演じたことが企画の勝因だったことがわかる。
矢田亜希子(いつもと同じようなポジションを演じる)と押尾の馴れ初めは2005年の「夢で逢いましょう」ということになっているが、本作ではないのか。
やまとなでしこ 見どころ
「愛よりお金」を信じる豪快CAと、貧乏だけれど誠実な魚屋の不器用な恋を、松嶋菜々子×堤真一の化学反応で描いた名作ラブコメディ。
- 桜子(松嶋菜々子)の強烈なキャラクター
貧困トラウマから「お金さえあれば幸せになれる」と合コン三昧のCA・神野桜子。「女が最高値で売れるのは27歳」など過激な名言を連発しつつ、その“本音と弱さ”とのギャップが魅力。
美貌ゆえの許されやすさと、プライドが折れるプロセスは、現代でも色あせない女性像として共感を呼んだ。 - 欧介(堤真一)という“不器用ヒーロー”
表面は冴えない魚屋のアルバイトながら、実は元数学者で高学歴。「優しさが裏目に出る不器用さ」や、「見栄や嘘に振り回される桜子に寄り添う姿」は、男性視聴者にも刺さる魅力。この“大逆転ヒーロー”像が物語の軸となり、「愛よりお金」という価値観を揺さぶることに。 - 「お金 vs 愛」の普遍的テーマ
桜子が「金持ちかどうか」で人を選ぼうとしながらも、徐々に欧介の“誠実さ”に心惹かれる過程が自然で丁寧。女性の価値観や社会期待にメスを入れつつ、「本当に大事なものとは何か」を軽快な会話とラブコメ構成で描く。 - 演出・脚本・キャストの絶妙なバランス
脚本・中園ミホ×相沢友子、演出・若松節朗/平野眞による演出チームは、「リアリティ+コメディ+大人の恋愛」を絶妙なバランスで演出。筧利夫、西村雅彦、矢田亜希子らのコメディリリーフ&脇役陣が“恋の駆け引き&職場の人間模様”に彩りを添え、日常感と豪華さを両立させている。 - 名場面と音楽
桜子と欧介がボートで落ちるキスシーンは、「月明かり×MISIA『Everything』」によるロマンティック演出が珠玉。どちゃくそ爽やか&胸キュンの名シーンが詰まっており、20年後の特別編放送でも再評価された名場面は見どころの塊。
やまとなでしこのあらすじ
客室乗務員として働く神野桜子(松嶋菜々子)は、気配り上手で類まれな美貌を持つが、貧しい漁師の家に生まれた過去から、玉の輿に乗るべく、合コンに情熱を燃やしていた。大病院の御曹司を射止めてもなお、桜子は更なる標的を狙っていた。そんななか参加した医者との合コンの席で、自称・外科医の中原欧介(演:堤真一)と出会う。しかし、本当の彼の姿は小さな魚屋を営み、過去の経験から恋愛に臆病な男性だった。心よりもお金が大事だと公言する一方で、亡き母が教えてくれた『お金では買えない、たった1つのもの』が頭を離れない桜子が、本当の恋を見つけるまでを描く物語である。
やまとなでしこを観るには?
やまとなでしこのキャスト
中原 欧介 – 堤真一
塩田 若葉 – 矢田亜希子
粕屋 紳一郎 – 筧利夫
奥山 なみ – 須藤理彩
花房 礼二 – 押尾学
岩村 実 – 相島一之
武藤 操 – 今井陽子
梨本 安武 – 林光樹
高石 舞 – 板倉香
蝶野 唯 – 望月さや
三沢 綾 – 新穂尚子
立川 恵 – 加賀野泉
佐久間 真理子 – 森口瑤子
東十条 司 – 東幹久
佐久間 為久 – 西村雅彦