安東能明の小説(新潮社刊2010年10月22日、シリーズ1作目、「随監」で日本推理作家協会賞(短編部門))を原作として、2016年1月10日~2016年2月7日にWOWOW「連続ドラマW」枠で放送。主演は田辺誠一、共演は石黒賢、中越典子他。監督は映画『西の魔女が死んだ』『8月のクリスマス』などを手掛けた長崎俊一が務め、劇中音楽は『あまちゃん』などを手がけた大友良英が担当。
撃てない警官の原作
日本推理作家協会賞受賞(収録作「随監」)
本庁から左遷された若き警部は復活を胸に誓った――。警察小説の新たな旗手・安東能明の出世作
俺はいったん、落ちるところまで落ちる。しかし、やられたことはやり返す。そこから、ふたたび這い上がる。それを肝に銘じておけ。(本文より)
総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録、あなたの胸を揺さぶる警察小説集。
撃てない警官の原作を読んだ人の感想
ドラマ 撃てない警官
あらすじ
柴崎令司は30代という若さで警部になったエリート街道を進む警視庁に努める警察官。警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を虎視眈々と狙っていた。ある日、課長の中田警視から柴崎のもとに、部下の木戸和彦巡査部長を射撃訓練に参加させる旨の指示が入り、木戸を訓練に向かわせた。しかし鬱病を患っていた木戸は、射撃訓練の直後にトイレで拳銃自殺してしまった。
上司からの指示によって柴崎は許可を出した筈だったが、その証拠は何者かに消し去られていた。柴崎は一人で責任を背負わされ、綾瀬署警務課長代理に左遷されることとなってしまった。
柴崎は身の潔白を証明するために独自で調査を進めるが、そこで施設課の石岡と出会う。綾瀬署赴任の直前、ついに事件の真実に気付いた柴崎だが、自分にも非が無いわけではないために左遷の決定は覆らないと臍を噛む。しかし柴崎はいつか本庁に復帰することを心に誓い、石岡にその協力を約束させる。
綾瀬署に赴任すると柴崎は警務課課長代理に任じられた。本庁復帰のための裏工作に執念を燃やす一方、柴崎は綾瀬署内でさまざまなトラブルに巻き込まれていく。柴崎は上司である助川副署長と共に、トラブル解決のために奔走しはじめる。
感想
原作を書いた安東能明という作家は知らないのだが、ここのところ警察小説にはまっているので、これはドンピシャである。警察版の「半沢直樹」みたいなドラマとしては「小さな巨人」があったが、あれは顔芸の張り合いみたいなものだったので、このくらいがいい。
まいわ、事件が起こり、意外な犯人が判明するのだが、あくまでもストーリーの主軸は警察機構内の出世争いである。そもそも主人公(田辺誠一画伯)はキャリアの警部ながら総務部の事務方で、刑事ではないのだ(それがタイトルの所以)。
初話には驚くばかりの美貌の松本若菜(ブレイク前)が出ていたし、高橋和也、嶋田久作など渋い配役でじっくり芝居を見せる演出は快感。菅田俊が画面からはみ出しそうなキャラクターを演じていたのは素晴らしかった。
警察署長をリタイアした義父(山本學)と画伯にのけ者にされながら、早く本庁に戻ってもらって官舎を出ることしか頭にない妻に中越典子、物分かりのいい良妻でないところがリアルである。思春期の息子のエピソードは完結していないと思うのだが…
あと、大友良英の劇伴がよろしい。
キャスト
柴崎令司(警視庁総務部企画課企画係係長→足立署警務課課長代理) – 田辺誠一
中田政則(総務部企画課課長) – 石黒賢
辻裕之(警視総監) – 中丸新将
石岡稔(施設課設備係係長) – 高橋和也
木戸和彦(柴崎の部下) – 磯部泰宏
柴崎の警察学校時代の同期 – 三浦誠己” show=””]
随時監察官 – 掛田誠
内田監察官 – 大西武志
足立署
小笠原博満(足立署署長) – 諏訪太朗
助川雄一(副署長) – 嶋田久作
浅井駿二(刑事課課長) – 浅見小四郎
八木正人(生活安全課課長) – 駒木根隆介
池谷一也(警備課課長) – 橋本じゅん
土屋(警務課留置係係長) – 多田木亮佑
青木隆弘(警務課留置係係) – 水間ロン
坂本和子(警備課警備係) – 陽月華
広松昌浩(地域課巡査部長) – 菅田俊
村井康平(地域課巡査) – 室屋翔平
足立署刑事 – 千葉哲也
柴崎家
柴崎雪乃(令司の妻) – 中越典子
柴崎克己(令司と雪乃の息子) – 加部亜門
山路直武(雪乃の父) – 山本學
その他
岩本敏江(犯罪被害者支援の会) – 松本若菜
石津米子(順子の母) – 樋田慶子
長沢順子(米子の娘) – 水島かおり
栗田あきみ(アパートの住人) – 猫田直
スーパーの店長 – 有山尚宏
吉田(四谷北消防署員) – 伊達暁
小柳透(大麻所持犯) – 内村遥
辻井園美(小柳の交際相手) – 鈴木球予
島貫光雄(派遣会社員) – 水澤紳吾
コンビニの店長 – 伊藤佳範
コンビニの店員 – 福永朱梨
池野亜紀(女子高生) – YUKINO
名倉恭子(看護師) – ともさかりえ
スタッフ
原作 – 安東能明『撃てない警官』(新潮社刊)
監督 – 長崎俊一
脚本 – 安倍照雄
音楽 – 大友良英
プロデュース – 加納貴治、押田興将
制作協力 – オフィス・シロウズ
製作著作 – WOWOW
ドラマ 撃てない警官を見た人の感想
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聞けば原作には続編があるらしい。
これはもう同じスタッフ・キャストで そのドラマ化をぜひお願いしたい!
『撃てない警官』(第5話[最終回]=抱かれぬ子)感想(路地裏より愛を込めて) -
キーになるゲストキャラ(交番のお巡りさん)を菅田俊が熱演。普段は主人公の天敵でもある副署長(こちらを演じるのは嶋田久作)も怖気づくという、原作通り、粗暴で傍若無人なビジュアルがハマりすぎる。最終回に出てきた、陰のある看護師ともさかりえも良かった。
撃てない警官(2016年)(勝手に映画紹介!?) -
一風変わった作品ですが、慣れれば、かなりオモシロ味のある刑事モノ。なかなか面白かったと思います。
連続ドラマW『撃てない警官』第5話(最終話)(レベル999のマニアな講義)