心の傷を癒すということの感想
この主人公は私とほぼ同年齢。25年前の朝、点けたテレビの映像に、前の晩に飲んで転がり込んでいた友人を叩き起こしたことを思い出す。
尾野真千子が良妻を演じる。そして近藤正臣が演じているのが中井久夫なのか。
心の傷を癒すということのあらすじ
はにかみ屋の若き精神科医・安和隆は、プロ級のジャズピアノの腕前を持ちレコードと読書をこよなく愛しつつ、自らの居場所を探し続ける青年期を過ごしていた。やがて在日としての悩みを共有する明るい妻・終子と出会ったことで、心穏やかな日々を送るようになる。第1子が誕生してまもなく阪神・淡路大震災が発生し、精神科医としてできることを模索する和隆は、被災者に寄り添って話に耳を傾けることで、精神科医ができることは被災者の治療よりも治癒力を回復させる手助けであると覚る。精神科医として目の当たりにした被災地の様子を記した著書が賞を受賞した矢先、39歳となった和隆にがんが見つかる。
心の傷を癒すということを観るには?
心の傷を癒すということ キャスト
安終子(妻) – 尾野真千子
安哲圭(父) – 石橋凌
朴美里(母) – キムラ緑子
安智明(兄) – 森山直太朗
安壮介(弟) – 上川周作
湯浅浩二(親友) – 濱田岳
谷村英人(新聞記者) – 趙珉和
ジャズ喫茶のママ() – 濱田マリ
結城理恵(患者) – 谷村美月
校長先生(小学校の校長) – 内場勝則
梓(仮設住宅の入居者) – 紺野まひる
片岡心愛(患者) – 清水くるみ
北林史也(後輩医師) – 浅香航大
新島聡子(同僚看護師) – 平岩紙
永野良夫(和隆の恩師) – 近藤正臣
心の傷を癒すということ スタッフ
脚本 – 桑原亮子
音楽 – 世武裕子
VFX – キルアフィルム(北昌規、空閑卓海)
制作統括 – 城谷厚司
プロデューサー – 京田光広、堀之内礼二郎、橋本果奈、齋藤明日香
演出 – 安達もじり、松岡一史、中泉慧
制作・著作 – NHK大阪放送局
心の傷を癒すということの原案本(安克昌)
阪神・淡路大震災から25年――。大震災で、人の心はいかに傷ついているのか?
そして、復興によって癒すことはできるか?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ被災者の「心の叫び」と、自らも被災しながら取り組みつづけた精神科医によって、阪神大震災の被災地から届けられた感動の“心のカルテ”
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これまで日本の社会は、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然としてきた。しかし今後、傷ついた人が心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか?
やかて被災地は、復興へと向かっていく。しかし、〈心の傷〉を見て見ないふりをして前進することではないだろう。多数派の論理で押しまくり、復興の波に乗れない“被災の当事者”でありつづけている人たちを、忘れ去ることではないはずである。“心の傷を癒すということ”は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる全員に問われていることなのである。(本文「復興にむけて」より要約)
*本書は、サントリー学芸賞受賞作に改定を加え、さらに新たに阪神大震災および災害精神医学に関するエッセイや論考を大幅に増補し、そして著者と関係の深かった方々の文章を収録した決定版。
【増補改定版・新増補版への寄稿者一覧】
中井久夫/鷲田清一/川本隆史/河村直哉/田中究/宮地尚子/京田光広/名越康文/安成洋


