『エコーズ』ってどんな映画?
催眠術をきっかけに閉ざされた霊能力が開花してしまった男と、家に潜む不可解な怪奇現象の真相を描く。SF・ホラー文学の大家リチャード・マシスンの小説『渦まく谺』をベースに、名脚本家としても知られるデヴィッド・コープが、日常が恐怖へ変貌していく様を描き出したサイコ・ホラー。
シカゴの下町で配線工として働くごく普通の男トム(ケヴィン・ベーコン)は、ある日のパーティーで妻マギー(キャスリン・アーブ)の妹リサ(イリーナ・ダグラス)から退行催眠を施される。その夜を境に、トムは家の中で見知らぬ少女の幻影を見るようになり、強烈な幻覚や悪夢に苦しめられ始める。やがて、幼い息子ジェイクもまた、見えない「誰か」と会話していることに気づく。
見どころは、謎の幻影に憑りつかれたトムが次第に正気を失い、周囲を巻き込んでいく緊迫の展開。幻影の少女の正体は、近所で突如失踪した少女サマンサ(ジェニファー・モリソン)らしい。彼女の残したメッセージに突き動かされ、トムは家の壁や床を狂ったように破壊し、地下に隠された真実を掘り起こそうとする。その常軌を逸した行動に、マギーや隣人のフランク(ケヴィン・ダン)、シェイラ(ルシア・ストラス)らは彼の正気を疑うように。しかし彼が地下を掘り進めるにつれて、街に隠されていた凄惨な事件の輪郭が明らかになっていくのだった……。ケヴィン・ベーコンの鬼気迫る演技が予測できない結末に突き進んでいく心理ホラーの隠れた傑作。
あらすじ
シカゴで家族と幸せに暮らしていたトムは、義姉に「精神の扉を開け」という催眠暗示をかけられた夜を境に、行方不明の少女サマンサの幽霊を見るようになる。昼夜を問わず幻覚や予知夢に怯えながらも、トムは彼女が殺害されたと確信、事件の真相究明に没頭するが、突飛な言動を繰り返す彼は狂人扱いされ、妻のマギーは愛想を尽かして出て行ってしまった。孤立しながらも取り憑かれたように自宅の床や壁を掘り返し、手がかりを追い求めるトム。やがて少女の失踪に隠された凄惨な謎を解き明かしたとき、口封じを目論む真犯人の凶刃が彼に迫る――。
キャスト
マギー・ウィツキー – キャスリン・アーブ
リサ – イリーナ・ダグラス
ジェイク・ウィツキー – ザカリー・デヴィッド・コープ
フランク – ケヴィン・ダン
シェイラ – ルシア・ストラス
ハリー – コナー・オファレル
サマンサ – ジェニファー・モリソン
デビー – ライザ・ウェイル
惜しむらくは脚本に難ありか。
パラノイアックなサスペンスの名手であるリチャード・マシスンの原作を活かすならば、ケヴィン・ベーコンが本当に“能力”をもっているのかどうかというのは、曖昧にしたまま筋を進めるべきであったろう。ケヴィン・ベーコンはそのように演技をしていたと思う。
それでこそ、妻に信じてもらえない孤独、とうとう地下室を掘り当ててしまう狂気の描写が効いてくるのであって、この映画では、妻は、夫と息子が自分をのけものにしていることが面白くない、ただのわからず屋のように見えてしまう。
“能力者”の黒人のキャラクターが登場する意味もわからない。
ストーリー自体は無念な死者の因縁ばなしxで、興味を引くようなものはそこにはない。
『エコーズ』を観るには?
『エコーズ』作品情報
脚本 – デヴィッド・コープ
原作 – リチャード・マシスン(「渦まく谺」より)
製作 – ジュディ・ホフランド、ギャヴィン・ポローン
製作総指揮 – ミシェル・ワイズラー
音楽 – ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影 – フレッド・マーフィ
編集 – ジル・セイヴィット
配給 – 日本の旗 アートポート
公開 – アメリカ:1999年9月10日、日本:2005年9月10日
上映時間 – 100分
『エコーズ』の原作(リチャード・マシスン)
昼の出来事だった。事務所の中はむし暑かった。トムは、冷却器の前で水を飲んでいた。そして席へ帰ろうとしたとたん─ふいに、重い物体で頭を強打されたような衝撃をうけて、よろめいた。悲鳴をあげた! 人々が駆け寄ってきた。が、トムは、助けようとする人々の手を払いのけて、電話をわし掴みにつかんでいた。わななく指先が家の番号をまわした。答えがない! 家にいるはずの妻が出ない! いい知れぬ恐怖が胸をえぐった。だが彼は、妻の電話に出ない理由を、その時すでに知っていた……不可解な超感覚が、彼の目に、台所の床に倒れている妻の姿をまざまざと見せていたのだ!それが現実におこるまで、彼はいわゆる心霊現象も精神感応も決して信じようとはしなかった。そのパーティの夜、余興にやった催眠術の試験台を買って出たのもそのためだった。だがその夜から、彼は奇怪な超感覚能力に苦しめられる身となっていた……親しい隣人たちの心に邪悪が透けて見え、列車転覆事故の血腥い惨事が事前にわかる─しかも、夜な夜な訪れる黒衣の女の幻影は、彼を狂気の一歩手前まで追いつめていた! 1958年度サスペンス小説のベストテン第一位にあげられた恐怖と戦慄の異色篇!





コメント