愛していると言ってくれの感想
95年の北川悦吏子作品で、平均視聴率は21.3%だが、ドリカムの主題歌が大ヒットした。
23歳の常盤貴子は、頭が弱い、聾唖のトヨエツより可哀想な子に見えるほどムダな動きが多く、眩しすぎる(最終回近くにそれを常盤自身が述懐するのだが)。パンツも見えそうだ。対するトヨエツ(すばらしい長身だ)にとっても、95年は本作と映画「Love Letter」、ドラマ「この愛に生きて」がヒットした転機の年だったと思われる。
ラスト近く、常盤とトヨエツはそれぞれ「愛していると言ってほしい」と互いに求める。しかし聾唖の人には言えないし、聞こえないというよくできた脚本である。
愛していると言ってくれ 見どころ
1995年、北川悦吏子は本作でラブストーリーの金字塔を築いたが、従来の“言葉で情熱をぶつけ合う”トレンディドラマの対極を目指したものだった。聴覚障害者の榊晃次(豊川悦司)と女優の卵・水野紘子(常盤貴子)による恋は「声に出さない愛」の物語だったからだ。
この設定は、北川が得意とする「言葉による心の交流」を封じる縛りであり、逆に彼女の筆力で“言葉のない会話”が生まれた。
北川はここで、「伝えたいのに伝えられない」という究極のもどかしさを描き、視聴者に“愛の原始的な形”を問いかけた。
演出の生野慈朗は、言葉を持たない晃次と紘子の恋を視線、表情、仕草、間で表現している。
手の動きが感情の高まりを象徴する手話の動き、親密になるほど二人のショットがアップに近づき、すれ違いでは遠景が増える。そして重要な場面で音楽や環境音を抜き、観る者に二人の心情を「見させる」無音の時間。
無音は愛の“深み”と“孤独”の両方を語る。北川のセリフがないシーンこそ、このドラマが最も雄弁になる。
主題歌「Love is all」は、言葉を持たない二人に代わり感情を歌い上げる。特に♪何もいらない ただ愛していると言ってくれ♪という歌詞が、タイトルと呼応しており、音楽が「もうひとつのセリフ」になっていた。
紘子と晃次の関係は甘いだけではない。家族の無理解、社会の偏見、価値観のすれ違いなど、現実的な障壁が二人を試す。紘子は「私、あなたの世界で生きられない」と言うが、これは、北川がラブストーリーの理想と現実の間に緊張感を持たせる手腕を示している。北川はここで「愛は時に言葉を超えるが、言葉がないことで崩れることもある」という二重性を描いた。
豊川悦司×常盤貴子の化学反応という見方もある。豊川悦司は声が出せない晃次を表情と仕草だけで演じた。「目だけで恋を語る」演技はさすがだ。常盤貴子は、紘子の情熱、迷い、痛みを全身で表現し、等身大のヒロインとして多くの視聴者に支持された。
90年代恋愛ドラマのカップルの中でも、この二人の“沈黙の愛”は圧倒的に異色で美しい。
愛していると言ってくれ あらすじ
聴覚障害を持つ新進青年画家の榊晃次(豊川悦司)は、溌剌として純粋な紘子(常盤貴子)と運命的な出会いをする。幼いころに聴覚を失い、母親に捨てられた過去を引きずって生きている晃次だったが、アルバイトをしながら女優を目指して、劇団翼で演技の勉強を続けている紘子の、一生懸命に手話を覚え、気持ちを伝えようとする姿に、晃次の閉ざされた心は、次第にほぐれていくのだった。
しかし晃次のことが好きな義妹の栞(矢田亜希子)は、嫉妬から2人の仲を邪魔をする。劇団翼の照明スタッフの矢部健一(岡田浩暉)は、幼馴染の紘子にずっと想いを寄せているが、紘子の晃次への気持ちに気づき、彼女を応援するようになる。
愛していると言ってくれを観るには?
愛していると言ってくれのキャスト
榊晃次(30) – 豊川悦司
水野紘子(23) – 常盤貴子
紘子の関係者
矢部健一 – 岡田浩暉
吉田マキ – 鈴木蘭々(第1話 – 第4話、第11話)
野田耕平 – 塩見三省(第1話、第3話、第6話)
鷺沢緑 – 高橋理恵子(第1話、第2話、第4話)
小柴力 – 甲本雅裕(第5話、第6話)
晃次の関係者
神崎薫 – 余貴美子(第1話 – 第4話、第6話 – 第9話)
藪下清 – 相島一之(第2話 – 第4話、第6話、第9話)
飯島 – 神保悟志(第2話)
和田 – 森山米次(第2話)
日野克彦 – 春田純一(第4話、第6話、第8話)
古谷昭夫 – 後藤友輔(当時To Be Continued)(第8話、第9話)
松原浩 – 生瀬勝久(第8話、第9話)
島田光 – 麻生祐未(第8話 – 第10話)
島田学 – 三觜要介(第8話 – 第10話)
榊家
榊栞 – 矢田亜希子(第1話 – 第7話、最終話)
榊伸吉 – 橋爪功(第2話、第7話)
榊敏子 – 赤座美代子(第5話)
吉沢道子 – 吉行和子(第2話、第6話)
愛していると言ってくれのスタッフ
脚本 – 北川悦吏子
音楽 – 中村正人(DREAMS COME TRUE)
演出 – 生野慈朗、土井裕泰、福澤克雄
制作補 – 北川雅一
プロデューサー – 貴島誠一郎