ドラマ1990年代のドラマ1998年のドラマ

眠れる森 A Sleeping Forest

4.0
中山美穂(眠れる森 A Sleeping Forest) ドラマ
中山美穂(眠れる森 A Sleeping Forest)
フジテレビ系「木曜劇場」枠で1998年10月8日~12月24日の毎週木曜22:00-22:54に放送。主演は中山美穂と木村拓哉。脚本を書いた野沢尚の手記によると、1997年12月にフジテレビ第一制作部長の山田良明が野沢に「中山美穂と木村拓哉が主演の秋ドラマ」の企画を持ち込んだ所からスタートしたという。番宣コピーは「記憶だけは殺せない」。

眠れる森 A Sleeping Forestの詳細あらすじ

蘭専門の植物園で働く大庭実那子は、エリートサラリーマン濱崎輝一郎との結婚を3か月後に控えていたが、15年前の「市議会議員一家惨殺事件」の生き残りで、当時の記憶を失っていた。事件直後、警察は第一発見者である姉・貴美子の恋人の大学生・国府吉春を殺人容疑で逮捕し、情状酌量で無期懲役となっていた。

実那子は15年前の事件直後にもらった「15年目の今日、眠れる森で会いましょう」と書かれたラブレターを見つけ、故郷の「眠れる森」に出かける。そこで待っていたのは、実那子の過去から現在までのすべてを知る謎の男性・伊藤直季だった。
同じ頃、模範囚として仮出所した国府は「あいつに相応しい地獄を考えている」と告げて行方をくらましす。ストーカーのように実那子を付け狙い続う直季は恋人の佐久間由理と別れ、幼馴染・中嶋敬太と「15年前の真実」を探ろうとしていた。

敬太は直季に依頼されて実那子の勤務先にイタズラ注文をしたり、アパートに発火装置を仕掛けてボヤを起こし、実那子を引っ越しさせたりする。さらに輝一郎の職場に誹謗中傷のFAXを送信したり、週刊誌に輝一郎の情報を流したりして、居場所を無くそうとする。

実那子は記憶のフラッシュバックにより断片的に記憶を思い出しはじめる。過去を調べるうち、事実が記憶と異なっており、自身が15年前の「市議会議員一家惨殺事件」の生き残りであることを知る。実那子は15年前に、直季の父で精神科医の伊藤直巳から催眠療法を受け、記憶を改ざんされていたのだ。

輝一郎の前に、22年前に失踪したはずの母親・麻紀子が度々現れ、輝一郎は母親が15年前の事件に関与していることを疑う。そして国府と同じ大学の寮に住んでいた同級生で、小学生だった実那子とも会っていたことが判明する。

実那子は自分が家族3人を惨殺したのではないかと苦悩する。実那子は母親の不倫でできた子で、15年前に父親から虐待され、ボーイフレンドを見殺しにした父親を恨んでおり、殺害の動機があったのだ。直季は当時の実那子たちが埋めたタイムカプセルを森から掘り出し、実那子の「本当の父親」を知る。

実那子の幸せを願って身を引いた直季は、国府に暴行され拉致される。一家惨殺事件の直後に実那子の実父・伊藤直巳は野次馬の中にいた。直季は由理にプロポーズしようとするが、その矢先に由理が敬太によって殺害。敬太は直季に「隠れ家に眠ってる」と告げ、投身自殺を遂げる。

指名手配中の国府から脅迫された実那子は、伊藤直巳による催眠療法により、殺人事件の現場で幼い実那子の前にいた人物が国府であったことを知る。

船上結婚式が始まり、輝一郎は自分が真犯人だと直季に告白。輝一郎は海外渡航していたため時効は延長されると直季は告げるが、実は輝一郎はUターン帰国していたので、このままだと24日の期限で時効成立する。
実那子の記憶が完全に戻り、輝一郎が犯人だと悟った瞬間、国府が現れ、輝一郎の腹部を急所を外してナイフで刺す。
「俺はまた刑務所に入る。仮出所になってまたお前を刺しに来る。一生それの繰り返しだ。これがお前が一生味わう地獄だ」と言う国府は取り押さえされる。
輝一郎は実那子にナイフで殺すよう懇願するが、どうしても憎み切れない実那子はナイフを置き、傷口を抑えて血を止めようとした。

国府の復讐に耐え切れなくなった輝一郎は正気を失い精神病院に収容され、『眠れる森』の住人に。直季からの手紙を読みながら、実那子はハンモックに揺られ、『眠りの森』で待ち続ける。眠りの森に向かう直季も電車に揺られながら眠り続ける。「直季の異変」を感じさせながらも、二人は目覚めることなく物語は終わりを告げる。

眠れる森 A Sleeping Forestの感想

90年代に7本も月9を主演したという中山美穂をいいなと思ったことは一度もないし(そもそも元辻仁成夫人だし)、視聴率30%超を記録した本作を見るのも初めてなのだが、今回の再放送(「風間公親 -教場0-」のPR)で4話まで見て慣れ、そう悪くもないと思い始めている私。いやらしさ全開のキムタクもいいし、記憶のすり替え(?)というミステリーとしての仕掛けも気になるので(原作・脚本は野沢尚)、最後まで見ることにした。

実のところ真犯人は4話あたりで大体わかってしまうのだが、最後まで読めないのが陣内孝則のたくらみである。それがいよいよ明らかになるクライマックスは、クリスマスイブの東京湾クルーズ結婚式で、神津裕之の劇伴が盛り上げる、デ・パルマを意識したとおぼしい一連のシークエンスは、なかなかの圧巻だった。仲村トオルと中山の小芝居はなしでいいから、そのまま空撮につなげてほしかった。

野沢尚はドラマの脚本を書く前にプロットと登場人物の「履歴書」を演者に渡すということをしていたそうだが、本作のヒロインはまさにその履歴書が空白であり、それがテーマになっているところがユニークである。空っぽな中山美穂が思い悩む姿は美しい(最後まで観てしまうと、そう思えるようになっている)。

全体を通して感じたのは、日本のドラマがきわめた何かがここにあり、その後の韓国ドラマはそれを忠実に敷衍しているということだ。日本でこうしたドラマをもはや作れなくなっているのは、なぜだろうか。

眠れる森 A Sleeping Forest 見どころ

過去の記憶を失った女性と、彼女の人生に現れた謎の男を中心に、20年前に起こった一家惨殺事件の真相を巡る複雑なミステリー。

  1. 緻密な脚本と予測不能な展開
    脚本家の野沢尚による伏線が張り巡らされた非常に練り込まれたストーリー。毎話ごとに新たな謎が提示され、登場人物の隠された秘密が少しずつ明らかになるたびに、次の展開が予測できなくなる、「先の読めないサスペンス」の真骨頂。
  2. 中山美穂と木村拓哉の化学反応
    当時、トップアイドルとして絶大な人気を誇った中山美穂と、若手ながらカリスマ的な存在だった木村拓哉のW主演が大きな話題に。記憶を失ったヒロインと、彼女の運命を握る謎の男という役柄で、二人が織りなす繊細で危うい関係性、そして運命的な愛の行方が視聴者を惹きつけた。
  3. 記憶と真実、そして運命のテーマ
    「記憶」「真実」「運命」という普遍的なテーマが深く掘り下げられ、失われた記憶のパズルが一つずつ埋まっていく過程、それが明らかになるたびに変化する登場人物たちの感情が丁寧に描かれ、人間の心理の奥深さに切り込んだ。
  4. 豪華な共演者たち
    仲村トオル、ユースケ・サンタマリア、本上まなみ、原田美枝子、夏八木勲など、実力派俳優陣が脇を固めている。ユースケ・サンタマリアが演じる役は、多くの視聴者に衝撃を与えた。
  5. 「眠れる森」の象徴性
    舞台となる「眠れる森」や、タイトルが示す「A Sleeping Forest」という言葉自体が、実那子の封印された記憶や、事件の隠された真実を象徴している。

眠れる森 A Sleeping Forest あらすじ

大庭実那子(中山美穂)は、幼い頃に両親と兄が殺されるという凄惨な事件に遭遇し、自身も重傷を負ったが、その時の記憶をすべて失っている。その後、親戚に引き取られ、優しい婚約者・濱崎輝一郎(仲村トオル)との結婚を間近に控え、幸せな日々を送っていたが、そんな実那子の元に、20年前の事件に関する差出人不明の手紙が届く。手紙に導かれるように、実那子は過去に自分が住んでいた家がある「眠れる森」へと向かうと、そこで彼女が出会ったのは謎めいた青年・伊藤直季(木村拓哉)だった。直季は、事件が起こった20年前から、実那子に手紙を送り続けていた張本人であり、彼女の記憶の中の「忘れ去られた約束」を知っていた。
直季との出会いをきっかけに、実那子の封印された記憶が少しずつ蘇り始め、20年前の事件の衝撃的な真実が明らかになっていき、事件の背後に隠された人間の深い闇と、絡み合う運命の糸が解き明かされていく。

眠れる森 A Sleeping Forestを観るには?

眠れる森 A Sleeping Forestのキャスト

主要人物
 大庭実那子 – 中山美穂
 伊藤直季 – 木村拓哉
 濱崎輝一郎 – 仲村トオル
 中嶋敬太 – ユースケ・サンタマリア
 国府吉春 – 陣内孝則
濱崎家
 濱崎麻紀子 – 原田美枝子
 濱崎正輝 – 岡田眞澄
実那子の家族
 森田明仁 – 牧村泉三郎
 森田加寿子 – 井上夏葉
 森田貴美子 – 南美穂
 大庭善三 – 信実一徳
直季の家族
 伊藤直巳 – 夏八木勲
中華料理「ニーハオ」
 玉置春絵 – 横山めぐみ
 玉置和良 – 山路和弘
植物園「オーキッド・スクエア」
 祥子 – 長嶺尚子
 中村 – 田山涼成
その他
 武藤 – 佐々木勝彦
 康子 – 泉晶子
 国府和彦 – 坂西良太
 高木佐江 – 中島ひろ子
 佐倉 – 森下哲夫
 小椋 – 佐川満男
 沖田幸子 – 寺田路恵
 恩田 – 石橋凌
 森田家の近所の人々 – 花原照子奥村公延
 他 – 森喜行芦沢孝子吉満寛人酒井麻吏阿部六郎平賀雅臣児玉頼信市原清彦

眠れる森 A Sleeping Forestのスタッフ

原作・著者 – 野沢尚
音楽 – 神津裕之吉俣良
演出 – 中江功澤田鎌作
主題歌 – 竹内まりや「カムフラージュ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
挿入歌 – U2「With or Without You」(マーキュリーミュージックエンタテイメント)
企画 – 亀山千広
技術 – 高津芳英
照明 – 白倉孝雄
撮影 – 森田修、迫信博
音声 – 竹山裕隆
VTR – 山本米勝
映像 – 中村宏
技術プロデュース – 中村彰
編集 – 松尾浩
VTR編集 – 白水孝幸
選曲 – 小西善行
音響効果 – 近藤隆史
美術プロデュース – 重松照英
デザイン – 棈木陽次
美術進行 – 中村能久
大道具 – 松尾淳
装飾 – 蒲田徳夫
協力 – フジパシフィック音楽出版、渋谷ビデオスタジオ、アクティス、フェネック、エススリー、K&L
撮影協力 – Wビル、国営武蔵丘陵森林公園、多摩市立グリーンライブセンター、群馬県吾妻郡吾妻町商工観光課、山梨県南都留郡勝山村観光産業課、東京舞台照明、とちぎ花センター、ツタヤ、タイトーコーポレーション、ダック引越センター、富士平原ゴルフクラブ、大笹牧場
美術協力 – INDIVI、GIRARD-PERREGAUX、アクタス、エリットパック、松下電工、ヤマダ電機、NEC、アムニス、八重洲無線、IDC大塚家具、ニチベイ、リーガルジャパン
衣装協力 – D&G·ROPE、PIECE MONTEE、AMERICAN RAG、I.MARIO、三崎商事、ナイガイ、A&T、SAIKAI、メゾンドトワル、ミカレティ、RYU、UNTITLED、TRANS CONTINENTS、As Know as、LA BREA、RUPERT、NICOLE CLUB、TAKEOKIKUCHI
視覚効果 – 江崎公光
持道具 – 阿部駒子
生花装飾 – 石川玲子
衣装 – 片岡英樹、佐々木典子
メイク – 内野晶子、斉藤和子
広報 – 中島良明
タイトル – 山形憲一
スチル – 瀬井美明
CG – 竹内真由美
ライティングアドバイザー – 谷川富也
車輌 – 引地一彦
絵画指導 – 板垣俊
車輌撮影 – 斉藤和宏
演出補 – 小林和宏、本田貴之、葉山浩樹、鹿内植、堀治樹
制作担当 – 金山雅右
制作主任 – 片岡智、岩崎洋子
スケジュール – 田沢直樹
記録 – 曽我部直子
プロデューサー – 喜多麗子
プロデュース補 – 見戸夏美、徳留美奈子
製作著作 – フジテレビ
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