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007は二度死ぬ

浜美枝(007は二度死ぬ) 映画
浜美枝(007は二度死ぬ)
007は二度死ぬは、1967年の「ジェームズ・ボンド」第5作で原題は「You Only Live Twice」。アルバート・ブロッコリとハリー・サルツマンが共同製作、ルイス・ギルバートが監督、ロアルド・ダールが脚本を務めた。
原作はイアン・フレミングの同名小説。
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休日の夕暮れに古い007映画

休日の夕暮れに古い007映画(録画だけど)。
私は初見なのだが、カラー映画なのに、オリンピック直後の東京(ニューオータニから赤坂、銀座、駒沢通りなど)はひどく暗く、モノクロームに見える。

浜美枝丹波哲郎(公安調査官長)が率いる忍者部隊の一員だが、イアン・フレミングの原作ではただの海女であり、ボンドの子すら宿している。その子どもがどうなったかは「大統領の密使」(小林信彦)に詳しく描写されている。

007は二度死ぬの見どころ

本作は、名画でもあり“愛すべき珍作”でもある。
豪華絢爛な日本ロケ映像は、60年代の“東洋的風景”をスクリーンに残した文化的記録であり、忍者VS最新兵器という異文化ミックスは、“娯楽の暴力”として愛されるBB級魅力をもつ。コネリーのプロ魂とジョン・バリーの音楽は007シリーズの中でも特異な輝きを放っているし、日本描写の濃度が高く、「懐かしさ」「異国趣味」「愛敬」を全部味わえる珍宝映画なのだ。

日本ロケが生む“異国情緒と郷愁”

本作は、ほぼ全面的に日本国内で撮影したことで、日本のロケーション映画としても稀有な一作である。
オープニングのイギリス植民地の香港のシーンと、米ソの軍関係者が非難の応酬をするレーダー基地のシーン(イギリス国内で撮影)を除き、舞台はすべて日本国内。特殊部隊の訓練場を姫路城に設定しているほか、鹿児島県坊津の漁村や霧島山新燃岳などでもロケを行い、付近一帯ではボンドのオートジャイロ「リトル・ネリー」(WA-116)とスペクターのヘリコプター部隊の空中戦シーンの一部を空中撮影するなど大規模なロケを行った。
丸ノ内線や東京タワー、姫路城、鹿児島の漁村などを舞台に、60年代の高度経済成長期・東京を活写しており、ファンの間でも「高度成長期の東京が高画質で蘇る」と評されるほど、その価値は高い。

“スペクター秘密基地” vs “忍者軍団”──過剰演出の妙技

丹波哲郎が日本の情報機関のボスとしてほぼ全編にわたって登場。初の日本人ボンドガールとして若林映子と浜美枝が登場し、第50代横綱佐田の山が本人役で登場する。日本人に化けたボンドが日本の公安エージェントと偽装結婚したり、丹波演じる日本の公安のトップの移動手段が丸ノ内線の専用車両だったり、公安所属の特殊部隊が忍者だったり、非現実的で荒唐無稽な描写もある。
中盤では濃密な“日本版怪奇”が炸裂し、圧巻の忍者の襲撃シーンが展開する。
姫路城や火山山腹に設置されたスペクター秘密基地と、近代兵器+忍者軍団というカオスな対決構図が、どこか日本の特撮ドラマのノリを感じさせながら、007らしい豪華さをキープしている。

ショーン・コネリーの“筋金入りプロ魂”

往年ボンド唯一の味わいある欠点――初期の切れ味を落とした“平熱トーン”ではあるが、全力で振り切る“任務プロフェッショナル”感に、往年ファンとしてはむしろ安心感を感じてしまう。コネリー・ボンドの“老練な覚悟”が全編に漂い、これがまた一種の格好良さを残すのだ。

ジョン・バリー × ナンシー・シナトラによる“和洋融合サウンド”

往年の名画ファンを喜ばせるのが、主題歌『You Only Live Twice』。和風の弦楽アレンジから始まり、情緒と異国感を演出する。ジョン・バリーの作品の中でも屈指の名スコアと評価される演奏で、英国チャート入りも果たしている。
“映像と音が世界観を強力に昇華させる”好例として、見逃せないポイントだ。

エンタメ性の暴走と“ご意見番ファン”の楽しみ方

さて、展開はご都合主義的だし、日本文化の描写は言うまでもなくステレオタイプでB級感は半端ない。それらをすべて「トンデモ日本」として楽しむ様式美がここにある。
思わず突っ込んで笑いたくなる日本舞台の007として、マニア心をくすぐる味わいが充満している。

007は二度死ぬのあらすじ

米宇宙船ジュピター16号が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間は一触即発の状態になる中で、英情報機関MI6はその飛行物体が日本周辺から飛び立っているという情報をつかむ。真偽を確かめるためにジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が来日。横綱佐田の山の仲介で謎の女アキ(若林映子)を通じて日本公安のトップ・タイガー田中(丹波哲郎)に会う。タイガー田中から紹介された捜査協力者である在日オーストラリア人ヘンダーソン(チャールズ・グレイ)を訪れるが、彼は面会の最中に殺されてしまう。
殺し屋が大里化学工業の本社から送られたと知ったボンドは、ビジネスマンを装って大里社長(島田テル)と秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)と面会。しかし身分を偽っていることがばれ、殺害されそうになるが、アキの助けで難を逃れる。その後、大里化学工業所有の貨物船が事件に関わっていると睨んだボンドは貨物船が停泊する神戸港に向かうが、そこで敵側と乱闘になり捕らえられてしまう。・・・

007は二度死ぬを観るには?

007は二度死ぬはこんな方におすすめ

  • 60年代日本の空気感を大画面で味わいたい人
  • 忍者×スパイという異文化の混淆を楽しめる人
  • ショーン・コネリーの成熟したボンド演技を観たい人
  • トンデモ日本描写にツッコミを入れつつ笑いたい人

007は二度死ぬのキャスト

ジェームズ・ボンド – ショーン・コネリー

アキ – 若林映子

タイガー田中 – 丹波哲郎

キッシー鈴木 – 浜美枝

大里 – 島田テル

ヘルガ・ブラント – カリン・ドール

マネーペニー – ロイス・マクスウェル

Q – デスモンド・リュウェリン

ディッコ・ヘンダーソン – チャールズ・グレイ

M – バーナード・リー

ブロフェルド – ドナルド・プレザンス

公安調査員 – 牧村純子

海女 – 松岡きっこ

湯女4 – 永積靖子

リン – ツァイ・チン

運転手 – ピーター・メイビア

No.3 – バート・クウォーク

No.4 – マイケル・チャウ

ハワイ管制官 – エド・ビショップ

米国国防長官 – アレクサンダー・ノックス

ハンス – ロナルド・リッチ

暗殺者 – デビッド・トグリ

力士 – 佐田の山晋松、琴櫻傑將、富士錦猛光

行司 – 2代式守伊三郎

大里の手下 – 松崎真

007は二度死ぬのスタッフ

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