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見えない目撃者

4.0
吉岡里帆(見えない目撃者) 映画
吉岡里帆(見えない目撃者)
見えない目撃者は、2011年8月10日に公開された韓国映画『ブラインド』(原題:블라인드、英題:Blind、監督:アン・サンフン、主演:キム・ハヌル)の日本版リメイクで、『見えない目撃者』のタイトルで2019年9月20日に公開。監督は森淳一、主演は吉岡里帆。R15+指定。
偶然ひき逃げ事故に居合わせてしまった盲目の女性が命を狙われるも、事件の目撃者である青年とともに関係していると思われる女子大生失踪事件の調査を行うさまを描く。
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見えない目撃者の感想

弟・犬・定年間際の初老刑事、しかもヒロインが全盲と、ほとんどひと頃の宮部みゆき設定なのだが、韓国映画「ブラインド」のリメイクだった(ストーリーはだいぶ違うような)。道理で後半に入り描写がどぎつくなり、サバイバルスリラーになる。

登場人物がどんどん殺られて絶体絶命の吉岡里帆(化粧っ気がない)、オードリー・ヘプバーンに倣ってブレーカーを落としたりするのだが、現代の殺人鬼はスマホライトを持っていたりして気が抜けない。

見えない目撃者の見どころ~原作と比較して

  1. 主人公像の違いと「視覚障害者」の描き方
    韓国版は「感情移入」、日本版は「共感と緊張」を狙ったキャラ設計。日本版の方が“闘う目撃者”としての色が濃く、社会的弱者像をヒロイックに描いている。
    原作: 警察学校出身のエリートでありながら、弟の事故で視力を失い、心にトラウマを抱えた女性。ヒューマンな弱さと成長が丁寧に描く。
    本作: 同じく元警察志望という設定だが、弟の事故への負い目と正義感がより強調され、より硬質で孤独な戦士的キャラクター。
  2. サスペンス演出とバイオレンスの違い
    日本版は韓国版よりも明確に「R指定ホラーに接近」。犯人のサイコパス性や凄惨な描写により、視覚障害者が追い詰められる“理不尽な恐怖”が強調されている。
    原作: サスペンスの中にユーモアと人間味もあり、犯人の恐怖描写はリアルだが控えめ。
    本作: ホラー要素や猟奇性が強く、被害者の連れ去りシーンや監禁の陰惨さが際立つ。
  3. “バディもの”としての機能
    韓国版は「人間関係の温かさ」、日本版は「交わりにくさと希望」のドラマが軸。
    原作: ユ・スンホ演じる青年との関係が徐々に深まり、**姉と弟のような感情的な絆**が生まれるのが魅力。協力関係がエモーショナル。
    本作: 高杉真宙演じる春馬は、反発と信頼を繰り返す“ツンデレ系”のキャラで、より対等な協力関係を描き、社会との接点を探す若者像にリアリティを持たせている。
  4. 犯人の描写と“社会性”の含み
    社会問題(児童虐待)を根底に置いた韓国版に対し、日本版は「不条理な暴力」の恐怖に焦点。テーマ性よりもスリル優先。
    原作: 過去に児童虐待に関わった陰鬱な存在であり、社会問題を背景に持つ“病理的悪”。
    本作: 原作以上に“異常性”と“無差別性”が強調されており、得体の知れない恐怖の象徴となっている。
  5. 映像表現とテンポ
    森淳一監督の演出はスタイリッシュで、光と闇、音の演出が視覚以外の五感を刺激する。日本版はより“体感型スリラー”として成立。
    原作: 感情を丁寧に追いながら、じわじわと緊張を高めていくスタイル。
    本作: 視覚障害者の感覚表現(音・息・手触り)に独自の工夫があり、全体としてスピード感が増している。

見えない目撃者のあらすじ

警察官として将来を嘱望されながら、自ら事故を起こし、同乗していた弟を亡くし、自身も視力を失った浜中なつめ。警察官の道を絶たれた彼女は、3年が過ぎても深い心の傷を抱え、立ち直れずにいた。そんなある夜、なつめは車の接触事故に遭遇。そして慌てて走り去った車の中から、助けを求める少女の声を聞きとる。

見えない目撃者を観るには?

見えない目撃者のキャスト

浜中なつめ – 吉岡里帆
国崎春馬 – 高杉真宙
吉野直樹 – 大倉孝二
木村友一 – 田口トモロヲ
高橋修作 – 酒向芳
日下部翔 – 浅香航大
新井文則 – 中野剛
平山隆 – 國村隼
横山司 – 渡辺大知
桐野圭一 – 栁俊太郎
レイサ – 中田青渚
京子 – 大出菜々子
明日香 – 松川星
陽菜 – 坂ノ上茜
彩夏 – 伊藤歌歩
浜中満代 – 松田美由紀
浜中大樹 – 松大航也

見えない目撃者のスタッフ

原案:Baced on the movie “BLIND” produced by Moon Watcher
監督:森淳一
脚本:藤井清美、森淳一
音楽:大間々昂
主題歌:みゆな「ユラレル」(A.S.A.B)[7]
製作:村松秀信、加太孝明、Andy YOON、與田尚志、久保雅一、宮崎伸夫、有馬一昭、髙木雄一郎、猪野丈也
共同製作:YerHyun BAEK、DoJin KIM
エグゼクティブプロデューサー:紀伊宗之、Andy YOON
プロデューサー:小出真佐樹
共同プロデューサー:飯田雅裕
アソシエイトプロデューサー:高橋大典
ラインプロデューサー:山下秀治
撮影:高木風太
美術:禪洲幸久
照明:藤井勇
録音:竹内久史
装飾:森久美
衣装:宮本茉莉
ヘアメイク:佐野真知子
特殊メイク:江川悦子
編集:瀧田隆一
音響効果・音楽エディター:大河原将
スクリプター:湯澤ゆき
スチール:蒔苗仁
助監督:水野貴之
制作担当:星雅晴
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
ドッグトレーナー:宮忠臣
視聴覚取材協力:劇団ふぁんハウス
VFX:IMAGICA Lab.
オリジナル・サウンドトラック:Anchor Records
ノベライズ:豊田実加(小学館文庫)
企画・制作プロダクション:ROBOT、Moon Watcher
配給・製作幹事:東映
製作:「見えない目撃者」フィルムパートナーズ(東映、ROBOT、Moon Watcher、東映ビデオ、小学館、朝日新聞社、イオンエンターテイメント、エー・チーム、エイベックス・エンタテインメント)

『見えない目撃者』は、“視覚以外の五感を武器に闘う女性の戦慄のサスペンス”としての完成度が高く、同じ原作でもアプローチの異なる「二つの価値あるリメイク」映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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です。

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