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隠蔽捜査

4.0
青山倫子(隠蔽捜査) ドラマ
青山倫子(隠蔽捜査)
今野敏の警察小説シリーズ(2005年から新潮社刊、既刊長編10作、短編集3作)を原作として、2007年にテレビ朝日にて、2014年にTBSにてテレビドラマ化。また、2011年に舞台化された。

シゴトと家庭が同じ重みをもつ面白さ(隠蔽捜査の感想)

お勧めのドラマを聞かれたら、今季(2022年)は文句なしにこれを一番に推してきた。
最後は生瀬勝久が生き残るという終わり方だったので、ぜひ続編を作ってほしい。残念ながら全11話の中にエピソードを詰め込みすぎたので(「半沢直樹」のように前半で1話ぐらい使ってもよかった)、原作の残りがもうないのかもしれないが。

始まりの中年女性ナレーションからして、本作は「半沢直樹」の警察版と言える。「半沢」の上戸彩はサラリーマンの女房の鑑みたいに言われたが(しかし原作では半沢夫婦が互いにもつ感情はもう少し複雑らしい)、こちらの鈴木砂羽はそれ以上であり、もはや戦友である。

シゴトと家庭が同じ重みをもつのが本作独特の面白さで、毎度それに引き裂かれる杉本哲太は、シゴトでは古田新太、家庭では鈴木という強力な相棒によって難局を乗りきる、という基本的な構図である。
「すべての責任は俺がとる」という決め台詞は「倍返しだ」と同様にヤケクソとも思えるギリギリの賭けを表していて、各エピソードのクライマックスがそこに集約されているのが素晴らしい。

杉本哲太は当たり役だったといえる。あと、女っ気のない中にあって、青山倫子の色気が映えていた。

隠蔽捜査 見どころ

警察組織の内幕とそこに生きる男たちの葛藤を描いた社会派刑事ドラマ。

  1. 杉本哲太と古田新太のダブル主演と対比
    主人公の竜崎伸也を演じる杉本哲太が堅物で孤高なキャリア官僚を冷静沈着に演じ、その内に秘めた熱い正義感を表現。一方、竜崎のライバルでありながらも、時には共闘する警視庁刑事部長・伊丹俊太郎を演じる古田新太は、豪快で人間味あふれるキャラクターを魅力的に演じる。正反対な二人のキャラクターがぶつかり合い、時に理解し合う関係性がドラマの大きな見どころ。
  2. 「警察組織の内幕」と社会派テーマ
    警察庁という組織の、見栄、体面、縄張り争い、そして事件の「隠蔽」という、一般には見えにくい内部の事情がリアルに描かれる。組織の論理と個人の正義が衝突する様は、社会派ドラマとしての見応えがある。警察という巨大な組織の中で、竜崎がどのように自身の信念を貫こうとするのかが描かれている。
  3. スタイリッシュな映像と演出
    ドラマ全体を貫くクールでスタイリッシュな映像と演出も魅力の一つ。警察官僚たちの冷徹な頭脳戦や、緊迫した捜査の様子が、スマートな描写で表現されている。
  4. 家族というもう一つの戦場
    竜崎の信念を貫く姿勢は、彼の妻や息子にも影響を及ぼし、家族関係にも波風が立つ。家庭内での葛藤や、家族を守ろうとする竜崎の人間的な側面も描かれ、物語に深みを与えています。家族役の鈴木砂羽、佐野勇斗にも注目。
  5. 今野敏原作の骨太なストーリー
    警察小説の名手・今野敏の原作の緻密なプロット、キャラクターの心理描写を忠実に再現。ミステリーとしての面白さだけでなく、人間の倫理や生き方を問いかける重厚なテーマが込められている。

『隠蔽捜査』は、単なる刑事ドラマやミステリーにとどまらず、警察組織という巨大な機構の光と影、そしてそこに生きる人々の人間ドラマを深く描いた作品です。社会派ドラマや、骨太な人間ドラマがお好きな方には特におすすめです。

隠蔽捜査 あらすじ

竜崎伸也(杉本哲太)は警察庁のキャリア官僚で長官官房総務課長。政治家、国会との連絡調整からマスコミ対応など、まさに国家警察の中枢とも言える役割を担っている。ある日、暴力団組員が拳銃で殺害されたことを知った竜崎は、幼馴染で同期の警視庁刑事部長・伊丹俊太郎(古田新太)の元を訪れる。伊丹曰く、警察庁の刑事局には報告済みで、長官官房に連絡が行っていないのは警察庁内の縦割り的な縄張り争いが原因だという。「幼馴染だろ?」と肩を組む伊丹に、竜崎は「やめろ」と振りほどく。竜崎は伊丹にいじめられた過去があり、少しも友情を感じていない。竜崎は上司から事件の情報を集めるように命じられ、独自に行動を開始。そこにもう一人の出世頭の同期、上條貴仁(生瀬勝久)が現れ、勝手なことはするなと釘をさした。
一方、家庭では、妻・冴子(鈴木砂羽)が息子や娘の問題解決を迫るが、家庭のことは冴子に任せ、何よりも警察キャリアとしての使命に燃える竜崎だった。
同一犯と思われる事件が次々と起こり、過去の重大事件との繋がりも見えてきた。警察内部では警察不祥事の影を隠蔽しようという動きが始まる。正義の追求のためには、階級の上下関係や面子にこだわらない合理主義者の竜崎は、伊丹をも巻き込んで、一人立ち上がるが…。

隠蔽捜査を観るには?

隠蔽捜査 キャスト

 竜崎伸也(警察庁長官官房総務課 課長) – 杉本哲太(小学3年生:酒井天満〈第1話・第2話・最終話〉)
 伊丹俊太郎(警視庁刑事部 部長) – 古田新太(小学3年生:篠田涼也〈第1話・第2話・最終話〉)
■竜崎家
 竜崎美紀(伸也・冴子の娘) – 三倉茉奈
 竜崎邦彦(伸也・冴子の息子) – 佐野玲於
 竜崎冴子(伸也の妻) – 鈴木砂羽
■大森北警察署
 戸高善信(大森北警察署 刑事課強行犯係 巡査部長) – 安田顕
 貝沼悦郎(大森北警察署 副署長) – 松澤一之
 斎藤治(大森北警察署 警務課 課長) – 八十田勇一
 山田淳也(大森北警察署 地域課 巡査部長) – 春海四方(第1話・第2話)
 小松茂(大森北警察署 刑事課強行犯係 係長) – 大浜直樹(第3話・第5話・第9話 – 最終話 / 去就)
 芦田典久(大森北警察署 警備課 課長) – 渡辺憲吉(第6話)
 関本良治(大森北警察署 刑事課 課長) – 佐戸井けん太(第3話 – 第5話・第8話 – 最終話)
■警察庁
 牛島陽介(警察庁長官官房審議官) – 神保悟志(第1話・第2話・第10話)
 谷岡香織(警察庁長官官房総務課 課長補佐) – 青山倫子(第1話・第2話・第4話 – 第7話・第10話・最終話)
 上條貴仁(警察庁長官官房総括審議官) – 生瀬勝久
■警視庁
 野間崎正嗣(警視庁第二方面本部 管理官) – 古舘寛治
 下平栄介(警視庁刑事部 SIT第2係 係長) – 斎藤歩(第3話・第5話・第10話・最終話)
 川端守雄(警視庁刑事部捜査第一課 課長) – 久松信美(第5話 – 第7話)
■その他
 福本多吉 – 中村育二

隠蔽捜査 スタッフ

原作 – 今野敏
脚本 – 西村タカシ
監督 – 真船禎
技術協力 – テイクシステムズ、ケイ・デジタル・ネットワーク
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
編集・MA – ザ・チューブ
殺陣 – 大道寺俊典
ガンエフェクト – 浅生マサヒロ(第1作)、BIGSHOT(第2作)
カースタント – DAREDEVIL DRIVERS
第2作特殊班監修 – 伊藤鋼一
プロデューサー – 稲垣健司(テレビ朝日)、照喜名隆(ザ・ワークス)、井上由紀(ザ・ワークス)
製作 – テレビ朝日、ザ・ワークス

隠蔽捜査の原作


本作で、吉川英治文学新人賞受賞! 第2作『果断隠蔽捜査2』 で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞!「隠蔽捜査」シリーズとして、吉川英治文庫賞を受賞!
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。原理原則を遵守するその朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身命を捧げるべきだ。私はその信条に従って生きているにすぎない、と──。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。解説・北上次郎
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