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贖罪の奏鳴曲

4.0
とよた真帆(贖罪の奏鳴曲)©.WOWOW ドラマ
とよた真帆(贖罪の奏鳴曲)©.WOWOW
中山七里の推理小説(「御子柴礼司シリーズ」第1作)を原作として、2015年1月24日~2月14日の土曜22:00から、WOWOWの「連続ドラマW」にて放送(全4話)。主演は三上博史。青山真治がWOWOWで初監督を務めた。中山七里の作品が連続テレビドラマ化されるのは初めて。
さらに2019年12月7日~2020年1月25日に、『悪魔の弁護人・御子柴礼司 〜贖罪の奏鳴曲〜』のタイトルで東海テレビ制作・フジテレビ系「オトナの土ドラ」で放送。主演は要潤。こちらは「御子柴礼司シリーズ」4作(『贖罪の奏鳴曲』『追憶の夜想曲』『恩讐の鎮魂曲』『悪徳の輪舞曲』)を原作としている。

贖罪の奏鳴曲の感想

2019冬季のテレ東「悪魔の弁護人御子柴礼司」(大人の土ドラ)に先行する、中山七里の原作の2015年版映像化(WOWOW)。

監督は青山真治、脚本は西岡琢也で、未読だが原作をなぞっている。主演は三上博史、女優はとよた真帆(青山夫人だ)。
車椅子に乗った染谷将太が出てくるが、青山真治的な役者と感じた。

と言いつつ、1話を見ただけなので、「悪魔の弁護人」を1話見たら、こちらも1話ずつ見ていこう。

贖罪の奏鳴曲の見どころ

中山七里の小説を原作とした法廷ミステリーで、被疑者弁護を通じて“贖罪する意味”を問い直す重厚なドラマ。ただの法廷サスペンスではなく、冷酷弁護士の**過去の「罪」と向き合う構造、大胆な裁判トリックと“人間ドラマ”の同時構築、主演三上博史の“闇と魅力”の併存、裏をかく展開と、最後に明かされる“真実”の衝撃などが重なった重厚劇である。

三上博史「狂気と魅惑の弁護士」演技

御子柴礼司を演じる三上博史が、“今なお好判断の静かな狂気”を体現。少年院出身の過去と殺人の黒歴史を秘めながらも、冷静に事件を操作する様は“法廷の悪魔”そのものだ。「ねっとりとした演技がたまらない」「個々の感情描写が秀逸」と評価され、最終話にかけて脚本の深みと相まって特に注目された。

法廷戦術と反転の構成

“裁判トリック”の巧妙さがドラマでも遺憾なく表現されている。人工呼吸器の再現を通じた立証劇など、“理屈で組み立てる法廷攻防”がリアリティを伴って描写されている。
「ひっくり返しの連続で、最後まで目が離せない」と評され、視聴者を振り回す構成が鮮やか。

過去と現在を行き来する心理構造

物語は御子柴が弁護士を志すに至った少年院時代の過去を交えながら進行。冷酷な弁護人としての“現在”と、贖罪を求める“過去”の振幅が人物の深みを形成する。
主人公の印象が最初と最後では劇的に変化しており、成長と贖罪の物語として感情を揺さぶる。

染谷将太・リリー・フランキーら“脇の重厚さ”

被害者家族・東條家に染谷将太(息子幹也)やとよた真帆(妻美津子)、加えてリリー・フランキー演じる刑事・渡瀬らが、御子柴との対比される。助演者たちがドラマ全体の質を高めている。

贖罪の奏鳴曲のあらすじ

入間川の堤防で発見された全裸の男の死体は、フリー記者・加賀谷竜次と判明。彼は東條美津子の保険金殺人事件に関心を持ち、左手に電流紋があった。埼玉県警の渡瀬は、美津子の裁判を担当する弁護士・御子柴礼司が、加賀谷が強請っていた相手と疑う。御子柴は幼女殺害事件の犯人・園部信一郎と同一人物で、加賀谷の死亡推定時刻にアリバイがあった。渡瀬は御子柴の過去を調べ、彼が美津子の国選弁護人を引き受けた理由を追求。御子柴は最高裁で美津子の無実を証明するが、別の真相を息子・幹也に明かし、地下駐車場で刺される。渡瀬は御子柴の意識が遠のく中、もう1つの真相に気づいていた。

贖罪の奏鳴曲を観るには

贖罪の奏鳴曲はこんな人におすすめ

  • 精緻な裁判トリックと法廷構成を楽しみたい方
  • ダークヒーロー的キャラクターの心理的深みに惹かれる方
  • 演技派キャストによる感情の重層性を味わいたい方
  • 原作・中山七里の世界観が好きな方(後続作にも興味ある方)

贖罪の奏鳴曲のキャスト

御子柴礼司 – 三上博史
東條幹也 – 染谷将太
東條美津子 – とよた真帆
古手川和也 – 白石隼也
門前隆弘 – 野間口徹
塚本由香利 – 山下容莉枝
額田順次 – 堀部圭亮
稲見武男 – 中原丈雄(特別出演)
渡瀬 – リリー・フランキー
小松 – 信太昌之
園部信一郎 – 谷藤力紀
加賀谷竜次 – 本田大輔
吉原妙子 – 水崎綾女
東條彰一 – 中脇樹人
高城清助 – 菅田俊
今井涼太 – 勝矢
日下部洋子 – 川添野愛
安武里美 – 黒沢あすか
柿里恒春 – 川瀬陽太
島津さゆり – 平祐奈(現在:中村明日美)
嘘崎雷也 – 百瀬朔
桑江忠志 – 螢雪次朗
都築雅彦 – 斉藤陽一郎
サングラスの男 – 吉田鋼太郎

贖罪の奏鳴曲のスタッフ

監督 – 青山真治
脚本 – 西岡琢也
原作 – 中山七里『贖罪の奏鳴曲』
音楽 – 山田勳生、青山真治
ピアノ演奏 – 中村明日美
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