2012年公開の映画『プロメテウス』の続編であり、1979年公開の『エイリアン』の前日譚として製作されたシリーズの2作目である。アメリカでは2017年5月19日、日本では9月15日より公開された。アメリカでのキャッチコピーは「The path to paradise begins in hell.(天国への道は地獄から始まる。)」、日本でのキャッチコピーは「絶望の、産声。」。作品はR15+指定。
エイリアン:コヴェナントの感想
「コヴェナント」はトリロジーと喧伝されたが、ボツになったという情報が最新だろうか。この前日譚シリーズのテーマはエイリアンそのものではないため、その分、脱出や対決をクライマックスにせざるを得ないのだろう事情からすると、チグハグな印象になってしまう。
エイリアン:コヴェナントの見どころ
『プロメテウス』の路線を継承しつつ、オリジナル『エイリアン』のホラー要素を再び前面に押し出した作品。
本作では「エンジニア」が登場した『プロメテウス』の問いを引き継ぎ、人類とその創造主、さらには人類が創造したAI(デヴィッド)の三層構造を提示している。特にデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が進化した「創造主」として描かれ、“創造の連鎖が生む破壊”を象徴する。
同じアンドロイドでも、デヴィッドは芸術的な創造性を持ち、ウォルターは論理的かつ従順だ。デヴィッドがゼノモーフの創造者であることが示唆される展開は、新たな神話の創造と言える。
『プロメテウス』が「神話構築」に徹したのに対し、本作は「哲学×ホラー」のバランスを取り直す試みと言える。ファン待望のゼノモーフ誕生の謎を一部解明しつつ、「人間とAIの倫理」という現代的なテーマも内包している。
美術効果はプロメテウスの延長線上にあり、エンジニアの都市遺跡、オーロラが照らす惑星表面など、硬質で荘厳。対比的に、宇宙船内の冷たいデザインが人類の文明の脆弱さを強調している。
フェイスハガー、チェストバスターの描写は『エイリアン』(1979)の恐怖を継承している。背中や口からの「バースト」シーンは、肉体の侵食・変容を描くボディホラーの頂点である。視覚美と残酷美が同居するのがリドリー流。
『エイリアン:コヴェナント』はSFホラーの外皮をまとった“創造神話の黙示録”だ。真に恐ろしいのはゼノモーフではなく、人類が生んだデヴィッドの美学である。
エイリアン:コヴェナント あらすじ
2104年、植民船コヴェナント号は惑星「オリガエ6」へ向かう途中、謎の信号を受信し、近くの惑星を調査。乗組員は異星の宇宙船を発見し、プロメテウス号の乗員ショウ博士の遺品を見つける。惑星で未知の生物「ネオモーフ」に襲われ、生存者はアンドロイドのデヴィッドに助けられる。デヴィッドは人類の限界を超えた生命体創造を研究しており、ネオモーフは彼の実験結果だった。生存者はコヴェナント号に戻るが、船内で新たな脅威「ゼノモーフ」が誕生。デヴィッドはウォルターに成り代わり、コヴェナント号を乗っ取り、オリガエ6へ向かう。デヴィッドの計画は、人類に代わる完璧な生命体創造だった。(250字)
エイリアン:コヴェナントを観るには?
エイリアン:コヴェナント キャスト
ウォルター(新型アンドロイド) – マイケル・ファスベンダー
ジャネット・ダニエルズ(テラフォーミングの専門家) – キャサリン・ウォーターストン
クリス・オラム(副長) – ビリー・クラダップ
テネシー・ファリス(チーフパイロット) – ダニー・マクブライド
ロープ軍曹(警備責任者) – デミアン・ビチル
カリン・オラム(生物学者) – カルメン・イジョゴ
マギー・ファリス(パイロット) – エイミー・サイメッツ
リックス(操縦士) – ジャシー・スモレット
アップワース(通信士官) – キャリー・ヘルナンデス
ハレット軍曹(警備の副官) – ナサニエル・ディーン
アンカー(警備担当) – アレクサンダー・イングランド
レドワード(警備担当) – ベンジャミン・リグビー
コール(警備担当) – ウリ・ラトゥケフ
ローゼンタール(警備担当) – テス・ハウブリック
マザー(AI) – ローレライ・キング
ジェイコブ・ブランソン(船長) – ジェームズ・フランコ
ピーター・ウェイランド(ウェイランド社社長) – ガイ・ピアース
エリザベス・ショウ(前作の主人公) – ノオミ・ラパス
チャーリー・ホロウェイ (エリザベスの恋人) – ローガン・マーシャル=グリーン
エイリアン:コヴェナント スタッフ
脚本 – ジョン・ローガン、ダンテ・ハーパー
原案 – ジャック・パグレン、マイケル・グリーン
原作 – キャラクター創造/ダン・オバノン、ロナルド・シャセット、H・R・ギーガー(エイリアン.オリジナルデザイン)
製作 – デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル、リドリー・スコット、マーク・ハッファム、マイケル・シェイファー(英語版)
音楽 – ジェド・カーゼル、ジェリー・ゴールドスミス、マルク・ストライテンフェルト(フッテージ使用)
撮影 – ダリウス・ウォルスキー
編集 – ピエトロ・スカリア
製作会社 – 20世紀フォックス、TSGエンターテインメント、スコット・フリー・プロダクションズ、ブランディワイン・プロダクションズ(英語版)
配給 – 20世紀フォックス
公開 – イギリス 2017年5月12日、アメリカ 2017年5月19日、日本 2017年9月15日
上映時間 – 122分