【プレデター2】シュワ少佐に見劣りすることおびただしい(1990年)
マリア・コンチータアロンゾ(プレデター2)
そもそもプレデターはなんでロスに来たのか。
これには説明がある。
いわく、ギャングの抗争が絶えず(プレデターは戦争が好き)、温暖化の影響で連日40℃超の記録的な暑さだったから(前作の女ゲリラ兵の台詞で、ちゃんと「とりわけ暑い年に現れる」と言っている)。
やっぱりジャマイカ気質なのか…
街ではコロンビア人の麻薬カルテルとブードゥーのジャマイカ団が激しく抗争しており、ロス警察のダニー・グローヴァー警部補は大忙し。
刑事としてはやり手だが、主人公としては、シュワ少佐に見劣りすることおびただしい。
プレデターはコロンビア人、ジャマイカ人を問わずハデに殺しまくり(ブードゥー教団のボスとの戦闘は双方ドレッドヘアーだった)、現場を仕切るFBIを無視してダニーは「謎の第三者」を追い始める。
相棒が餌食になり、地下鉄車両に現れたプレデターが乗客を皆殺しにしたり(治安が悪いので全員銃を帯びていたのである)、というところで、ようやくFBIがプレデターを追っていることが明かされる(13年前の中米事件で生還したシュワ少佐の報告書を読んでいたのだ)。
FBIは、プレデターの餌場らしい牛肉貯蔵庫(なぜ?)に張り込み、サーモグラフィ対策には熱を通さない防護服と紫外線サーチライト、光学迷彩対策には放射線塵を散布、という生捕り作戦を展開する。
しかしプレデターは赤外線と紫外線を切り替えられたためあっさり全滅。
ボディカメラが次々通信終了する演出で、このへんもまた、エイリアンの巣に迷い込んだ海兵隊を彷彿とさせる。
ダニー警部補はFBIスタッフを振り切りシガニー・ウィーバーのように貯蔵庫に乗り込み、初めてここでエイリアンとの直接戦闘になる。
しかしここからが無駄に長く、レイザーディスク(丸鋸のようなブーメラン式の武器)を奪ってプレデターの右腕を切り落とし、得意の自爆を阻止したダニーは、逃げる相手を追って、ついに宇宙船に辿り着く。
再度の決闘で無事に倒したものの、プレデターが何体もゾロゾロ現れたので、もはやこれまでと観念したところ、長老らしき一体が「勇者よ」とダニーを褒め、何やら1715年製の短銃を呉れたのである。
宇宙船は発進。
あのう、そこはロスの雑居ビル地下だったのでは……? いったい何十年前からそこにいたのか。
そして到着したFBIの間抜けなこと。
宇宙船の壁にはなぜかエイリアンの剥製(?)も飾られていたりといった伏線、片腕をなくしたプレデターの応急処置法や新しい武器、マリア・コンチータアロンゾ の妊娠を見破る描写などがいやに細かく、一体何を見せられているのか…というフシギな映画であった。
以降のシリーズでは、なかったことにされているようだが…
プレデター2の見どころとトリビア
ジャングルではなく、近未来のロサンゼルス市街地を舞台にした異色の続編で、前作とはまた違ったスリルとテーマがある。
見どころ
- 前作の熱帯雨林から一転、麻薬戦争が激化するL.A.のスラム街が舞台。荒廃した都市でギャングや警察の抗争の中に突然現れるプレデターが、都市を「新たな狩場」として機能させる
- シュワルツェネッガーの“マッチョバトル”とは異なり、本作の主人公ハリガンは中年の刑事。知恵と勇気、刑事魂でプレデターに立ち向かう
- 赤外線サーモビジョン、ブーメラン状のブレード(スマートディスク)、メディカルキットによる「自己治療」など、プレデターの新装備とテクノロジーが充実
- ラストのプレデター母船内には、エイリアン(ゼノモーフ)の頭蓋骨が陳列! 後の『エイリアンVS.プレデター(AVP)』シリーズの布石となる
トリビア
- シュワルツェネッガーが出演しなかった理由
前作の主人公ダッチ(シュワルツェネッガー)は登場しないのはスケジュールとギャラが理由と言われる。脚本には一時「司令官として登場」案もあったとか。 - 撮影中の気温は実は「激寒」だった
「熱波のL.A.」という設定なのに撮影中は冬のL.A.で凍える寒さ。全身スーツのケビン・ピーター・ホール(プレデター役)は演技しながら低体温症寸前になった。 - プレデターの“種族”を初めて明示
今作で初めて「プレデターが一人ではなく複数の種族であり、狩りを文化として持つ一族」であることが明かされた。母船で登場する長老プレデターがその象徴。 - ターミネーターとのつながり?
劇中、プレデター視点の映像処理や効果音が『ターミネーター』シリーズと同じ技術陣によって作られた。スタン・ウィンストンも前作に続きクリーチャーを担当。 - 時代設定は「1997年」…過去の“未来”
本作の舞台は、製作時点から7年後の近未来(1997年)。当時のL.A.の社会不安(麻薬、暴力、警察の腐敗)を反映したリアルな都市像が、逆に今見ると“レトロ・フューチャー”で味がある。
プレデター2のあらすじ
1997年、異常気象の続くロサンゼルスで、麻薬カルテルとジャマイカ団のメンバーが次々と惨殺される事件が発生。ハリガン警部補は、連邦捜査官キースの制止を無視して独自に捜査を進める。犠牲者は頭蓋骨と背骨を抜かれ、現場には地球外の物質が残されていた。
相棒のダニーと部下のランバートを失ったハリガンは、キースから真相を聞かされる。犯人は10年前にも出現した宇宙人プレデターで、人間狩りに来た異星人だった。キースの部隊はプレデター捕獲を試みるが全滅。ハリガンは光学迷彩を無効化してプレデターと戦い、ついに倒す。しかし宇宙船から現れた仲間のプレデターたちは、ハリガンを「英雄」と称え、1715年製の銃を贈って去っていった。
プレデター2を観るには?
プレデター2のキャスト
ピーター・キース捜査官 – ゲイリー・ビジー
ダニー・アーチュリータ刑事 – ルーベン・ブラデス
レオナ・カントレル刑事 – マリア・コンチータ・アロンゾ
ジェリー・ランバート刑事 – ビル・パクストン
フィル・ハイネマン副本部長 – ロバート・ダヴィ
ピルグリム署長 – ケント・マッコード
トニー・ポープ – モートン・ダウニー・Jr
ガーバー – アダム・ボールドウィン
キング・ウィリー – カルヴィン・ロックハート
プレデター – ケヴィン・ピーター・ホール
巡査部長 – スティーブ・カーン
イレーネ・エドワーズ博士 – リリアン・ショーヴァン
エル・スコルピオ – ヘンリー・キンジ
ゴールド・トゥース – マイケル・マーク・エドモンドソン
ラモン・ヴェガ – コリー・ランド
ブライアン – ブライアン・レヴィンソン
ルース – シルヴィア・コーダーズ
プレデター2の作品情報
脚本 – ジム・トーマス、ジョン・C・トーマス
製作 – ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルバー、ジョン・デイヴィス
製作総指揮 – マイケル・レヴィ、ロイド・レヴィン
音楽 – アラン・シルヴェストリ
撮影 – ピーター・レヴィ
編集 – マーク・ゴールドブラット
配給 – 20世紀フォックス
公開 – アメリカ 1990年11月23日、日本 1991年1月12日
上映時間 – 108分