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蛇の道

4.5
柴咲コウ(蛇の道) 映画
柴咲コウ(蛇の道)
『蛇の道』(フランス語題:Le chemin du serpent、英題:The Serpent’s Path)は、2024年6月14日に公開されたクライム・サスペンス映画。監督・脚本は黒沢清、主演は柴咲コウで、黒沢が日本で制作した『蛇の道 (修羅の極道 蛇の道)』(哀川翔、香川照之出演・高橋洋脚本)のセルフリメイク作品。フランス・日本・ベルギー・ルクセンブルグ合作。全編フランス・パリ、及び近郊で撮影され、柴咲は撮影の約半年前からフランス語のレッスンを受けて撮影に臨んだ。

1998年版「蛇の道」―不穏な細部の豊かさ

セルフリメイク版を先に観たのだが、1998版(Vシネ版)もアマプラにあったので観てみた。

メインプロットは驚くほど同じなのだが、こちらは舞台が東京で、主演は哀川翔香川照之である。8歳の娘を暴行惨殺された香川照之の復讐に、偶然知り合った哀川翔が協力している。

オープニングは上下左右に曲がりくねった住宅街の道を進む車からの映像。中盤にも同じ映像が挿入され、これが蛇の道と言わんばかりなのだが…。

二人は犯人らしい男を拉致して廃倉庫に監禁。香川は男に娘のビデオを見せて死体鑑定書を読み聞かせるが、男はしらを切る。そうこうするうち香川は男と同じ組織に属した過去があり、組織は少女を暴行殺害するスナッフフィルムを販売しているらしいことがわかってくる。やがて拉致された男は別な男の名を挙げ、哀川と香川はまたそれを拉致して最初の男と並べて監禁。

砂田薫(蛇の道 1998版)

ここまで観て、香川も哀川も何かを隠していることに観客は気づく。塾講師らしい哀川は商店街の雑居ビルに自転車で通い、数字のない数式を教えている。生徒は老人からOLまで幅広く、やはり8歳ほどの天才少女もいる。その少女を見て香川が嬉しそうな顔をする。
哀川は監禁した男たちに香川はイカれてると言い、適当な犯人をでっち上げろと扇動して、3人目の男を拉致することに。男の先導で廃工場にたどり着いた二人は組織と銃撃戦になる。ボスはコメットさんと呼ばれる仕込み杖の女(砂田薫)。
組織を壊滅させた二人だったが、香川自身がスナッフフィルムの販売役だったことがわかり、さらに哀川も娘を殺されていて、香川に復讐するために近づいてきたことが明かされる。

という筋が通っているようでメチャクチャな話で、廃倉庫もおかしければ(香川はぬけぬけとここは防音だからいくら叫んでも無駄だと釘を刺す)、拉致にいちいちシュラフを使うのも意味不明、哀川が教えている数式も訳が分からないのだが、そんなことより、豊かすぎる細部に目を奪われてしまう映画である。たとえば最初の拉致シーンでは、画面のずっと奥に豆粒のような付近住民らしき人をわざわざ配置していて、思わずぞっとするのだった。

蛇の道(1998年版)を観るには?

蛇の道(1998年版)キャスト

新島直巳 – 哀川翔
宮下辰雄 – 香川照之
大槻 – 下元史朗
檜山 – 柳憂怜
有賀 – 翁華栄
コメットさん – 砂田薫
少年 – 丹治匠
少女 – 佐藤加奈
宮下絵美 – 小田彩美
新島の娘 – 田中瑞穂
岡林 – 森裕悟
新山和敬
小鷲佳敬
臼井秀雄
大島孟

蛇の道(1998年版)スタッフ

監督 – 黒沢清
脚本 – 高橋洋
企画 – 武内健神野智
製作 – 池田哲也
プロデューサー – 土川勉、下田淳行
撮影 – たむらまさき
美術 – 丸尾知行
音楽 –
吉田光
録音 – 井家眞紀夫
整音 – 中田裕章
音響効果 – 丹雄二
照明 – 佐藤譲
編集 – 鈴木歓
衣裳 – 古藤博 鈴木いづみ
製作担当 – 及川義幸 益岡正志
助監督 – 村達矢
スクリプター – 小山三樹子
スチール – 渡邊俊夫

2024年版「蛇の道」―引きずられるシュラフ

そしてこちらがセルフリメイク版。

場所はパリで、パリ住まいらしい柴咲コウ(非常に流暢な仏語)が、1998年版の哀川翔演じた「新島」を演じる。香川照之が演じた「宮下」役はダミアン・ボナール(「レ・ミゼラブル」を主演した人)。

プロットはほぼ同じなのだが、16ミリ特有の荒々しい1998年版の画面は、非常にクリアな映像に取って代わっている。また、柴咲コウも哀川翔のように自転車で移動しているが、謎の数式を教える人ではなく心療内科医であり、「CURE」的なやり口で、患者の西島秀俊を死に追いやったりしている(終わるのが怖いと悩んでいた西島に「終わらない方が怖い」と吹き込み、西島は「すべてを終わらせる」と口にして自死する)。柴咲は日本に残した夫(蛇の道(2024年版)を観るには?

蛇の道(2024年版)キャスト

新島小夜子 – 柴咲コウ
アルベール・バシュレ – ダミアン・ボナール
ティボー・ラヴァル – マチュー・アマルリック
ピエール・ゲラン – グレゴワール・コラン
吉村 – 西島秀俊
ローラ – ヴィマラ・ポンス
クリスチャン・サミー – スリマヌ・ダジ
宗一郎 – 青木崇高

蛇の道(2024年版)スタッフ

原案:『蛇の道』(1998年大映作品)
監督・脚本: 黒沢清
音楽:ニコラ・エレラ
プロデューサー:小寺剛雄
撮影:アレクシ・カビルシーヌ
編集:トマ・マルシャン
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画支援事業)
配給:KADOKAWA
製作:CINÉFRANCE STUDIOS、KADOKAWA

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