火と汐は、『松本清張スペシャル・火と汐』のタイトルで、1996年9月13日にフジテレビ系列の「金曜エンタテイメント」枠にて放映。視聴率19.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
火と汐の感想
96年の単発ドラマで、2009年にもドラマ化されているが、そちらは刑事視点だというから、おそらく清張の原作に近いのだろう。
本作は南果歩が演じる、殺される妻に焦点を合わせた脚本が奥行きを出している。
32歳だった南のアンニュイ顔が良い存在感なのだ。ちなみに性格異常の夫は神田正輝で、こちらもぴったり。
油壺を出発して三宅島を一周するヨットレースの最中にひそかにヨットを降り、愛人と密会中の妻を殺害しに京都に飛び、再び相模湾のヨットに舞い戻るという離れわざは、かなり突飛なものだが、いくつもの偶然によってそのトリックが明らかになるところに、清張ならではの面白さがある。
ろくに捜査せず事件が解決する昨今のドラマとは違い、単なるご都合主義ではないのである。
火と汐のあらすじ
目黒に住む33歳の劇作家・曾根晋吉は、既婚女性の芝村美弥子と秘密で京都に旅行していた。美弥子の夫はヨットレースに参加中で、8月17日に油壺に到着する予定だったため、美弥子はそれまでに帰る計画だった。しかし、8月16日の夜、大文字焼を見物中に美弥子が突然失踪し、スーツケースはホテルに残されたままだった。秘密の旅行のため、晋吉は誰にも相談できず、困惑しながら東京に戻った。
8月18日、新聞で美弥子の夫・芝村のヨットが事故を起こし、同乗者が死亡したと知る。美弥子のことを隠したまま、晋吉は芝村に見舞いの電話をかけた。その後、美弥子の遺体が晋吉の自宅近くで発見され、芝村と面識があった晋吉は警察の参考人として呼ばれることになった。
火と汐 キャスト
芝村健介(芝村モーターの副社長) – 神田正輝
芝村美弥子(健介の妻) – 南果歩
曽根晋吉(健介の友人の劇作家) – 内藤剛志
東(刑事) – 竜雷太
神代(東の相棒刑事) – 勝野洋
上田伍郎(芝村モーターの社員) – 布川敏和
とよ(芝村家の家政婦) – 大方斐紗子
刑事 – 浜田光夫
河内(刑事) – 片岡五郎
刑事 – 剛たつひと
(不動産屋) – でんでん
海上保安庁の捜査員 – 水島涼太
菊地則江
小泉(芝村モーターの社長) – 沖恂一郎
山部(芝村モーターの専務) – 浅沼晋平
井原(ヨットクラブの会員) – 山口嘉三
中山(秘書) – 北山雅康
神田時枝
徳尾明美
芝村美弥子(健介の妻) – 南果歩
曽根晋吉(健介の友人の劇作家) – 内藤剛志
東(刑事) – 竜雷太
神代(東の相棒刑事) – 勝野洋
上田伍郎(芝村モーターの社員) – 布川敏和
とよ(芝村家の家政婦) – 大方斐紗子
刑事 – 浜田光夫
河内(刑事) – 片岡五郎
刑事 – 剛たつひと
(不動産屋) – でんでん
海上保安庁の捜査員 – 水島涼太
菊地則江
小泉(芝村モーターの社長) – 沖恂一郎
山部(芝村モーターの専務) – 浅沼晋平
井原(ヨットクラブの会員) – 山口嘉三
中山(秘書) – 北山雅康
神田時枝
徳尾明美
火と汐 スタッフ
脚本 – 金子成人
監督 – 松尾昭典
音楽 – 岩間南平
撮影 – 浜田毅
技術協力 – 映広
プロデューサー – 名島徹(レオナ)、小坂一雄(レオナ)、林悦子(霧企画)
企画 – 遠藤龍之介(フジテレビ)
制作:フジテレビ、レオナ、霧企画
監督 – 松尾昭典
音楽 – 岩間南平
撮影 – 浜田毅
技術協力 – 映広
プロデューサー – 名島徹(レオナ)、小坂一雄(レオナ)、林悦子(霧企画)
企画 – 遠藤龍之介(フジテレビ)
制作:フジテレビ、レオナ、霧企画
火と汐の原作(松本清張)
八月十六日、京都〝大文字〟の夜。興奮にざわめく人混みに紛れて、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。同じ時刻、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして、男の家のすぐ近所で人妻の遺体が発見される。これらの点は結ばれるのか。
鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。
ほかに「証言の森」「種族同盟」(映像化作品「黒の奔流」原作)「山」の計四篇を収録。

