老害の人

緊張感ある台詞の応酬（老害の人の感想）

「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」に続く内館牧子の老後シリーズである。

断言口調が絶妙な 伊藤四郎 が主人公で、メチャクチャな俳句を詠む 前田吟、描いた絵をプレゼントしてくる 日色ともゑ、「死にたい」が口癖の 白川和子、「糖尿病で足を切る寸前だった」と自慢する 小倉蒼蛙 など、面白くなる予感しかない（日色は「すぐ…」、小倉は「今度…」にも出ている）。

緊張感ある台詞の応酬が楽しめる演出は、NHKドラマ2本を手がけた 松岡錠司。

夏川結衣 は伊藤の娘という設定。

老害の人　見どころ

老害をまき散らす老人たちと、それにうんざりする若年層の間に起こる騒動と、そこから見えてくるこれからの生き方のヒントが見どころ。

1. 「老害」というテーマの深掘り
   現代社会の課題の一つである「老害」というテーマに真正面から切り込む。昔話、説教、趣味の講釈、病気自慢、無気力、クレーマーなどの老害の実態がリアルに描かれる。
2. 伊東四朗さんの存在感
   主人公の戸山福太郎を演じる伊東四朗は、社長の座を娘婿に譲った後も会社に出勤し、同じ手柄話を繰り返す姿や、仲間と「老害六重奏」を結成して騒動を起こす。コミカルでありながらも、老人の悲哀や本音を演じた。
3. 豪華なベテラン俳優陣の競演
   夏川結衣、勝村政信、前田吟、日色ともゑ、白川和子、小倉蒼蛙（旧・小倉一郎）、羽田美智子、高橋惠子、三田佳子など、日本を代表するベテラン俳優たちが多数出演。三田佳子演じるクレーマーのサキのキャラが強烈。
4. 世代間のリアルな本音のぶつかり合い
   「生きてる証」としての老害と、若年層の「迷惑」という感情がぶつかり合う。どちらの言い分にも一理ある。
5. 「これからの生き方」への示唆
   老人たちがコロナ禍の中で新たな生きがいを見つけようと奮闘する姿や、世代間の摩擦を通して互いが相手の立場を理解しようと努力する姿が描かれる。

トリビア・撮影裏話

• 内館牧子さんの「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」に続く“老後”小説のドラマ化第3弾。自身も高齢者である内館の視点からのリアルな描写
• 主人公の福太郎たちが「若鮎サロン」と名付けた一室に集まって過ごすシーンの撮影では、俳優たちが本番に備えてぼーっとしている中にスタッフがセッティングをするという、独特のリラックスした雰囲気で撮影が進められた
• 三田佳子のブログによると、チーフカメラマンの板倉陽子との仕事は初めてだったものの、現場の雰囲気が和やかで、芝居もリラックスしてできた
• 伊東四朗は長いシーンの撮影後には軽い酸欠状態になった
• 埼玉県の八潮市大原公園など、ロケ地も公開されている

老害の人の人物相関図

老害の人　あらすじ

ボードゲーム製作販売会社の社長・戸山福太郎（伊東四朗）は、妻の通夜の席で娘・明代（夏川結衣）の夫・純市（勝村政信）に社長の座を譲る。しばらくは一人旅などしていたが、突然会社に顔を出し、社員を捕まえてはかつての武勇伝を繰り返す。週に二度会社に現れるようになる頃、世間はコロナ禍に。そして福太郎８２歳の誕生会が開かれる。集まった同年代の４人は、病気自慢や趣味自慢、それぞれ自慢老害をまき散らすのだが…

老害の人を見るには？

老害の人のキャスト

老害の人のスタッフ

老害の人の原作

迷惑なの! と言われても。
昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢。
そうかと思えば、無気力、そしてクレーマー。
双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。
彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、老害五重奏(クインテット)は絶好調。
「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。
『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く著者「高齢者小説」第4弾!
定年、終活、人生のあとしまつ……。
自分のこと、親のこと、いずれは誰もが直面する「老後」。
「最近の若い人は……」というぼやきが今や「これだから『老害』は」となってしまった時代。
内館節でさらなる深部に切り込む!