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ケイゾクの感想
再放送しているとつい見てしまう。そしていつも、ああ深津絵里ではなく中谷美紀だったと思うのだが、23歳で初ヒロインを演じる中谷の瑞々しさは記憶に残る。
SPECサーガに多くの設定や人物配置を引き継ぐドラマだが、今思うに、過去の刑事ドラマの引用で成り立っている前半が、後半の神経症的な演出によって破綻していくさまは「新世紀エヴァンゲリオン」と同じ90年代的な病のうちにある、と思う。
ケイゾクの見どころ
迷宮入り事件を扱う警視庁捜査一課弐係を舞台に、中谷美紀×渡部篤郎の型破りバディが鮮烈な個性と斬新演出で事件を解きほぐす、ミステリー&ヒューマン群像劇。
- 型破りでありながら共鳴する“真山×柴田バディ”
渡部篤郎(真山徹)は公安出身の一匹狼刑事。冷静ながら激情を秘め、不条理な事件にも真っ向から向き合う「クールな狂犬」キャラが魅力。
中谷美紀(柴田純)は、東大卒キャリア組の若手ながら天然で個性的。推理では鮮烈な天才ぶりを見せつつ、不器用さも併せ持つヒロイン。
この相反する二人が信頼し合い、互いの不完全さを認め合う過程が、刑事ドラマでありながら“人間ドラマ”の核心となっている。 - 真骨頂は“超常ミステリ”への軌跡
初期7話は1話完結の未解決事件ミステリー。連続殺人から呪い、爆弾などバラエティに富んだテーマで展開する。第8話以降、大きな陰謀と超常現象を含む“朝倉”事件が展開され、真山の精神と信念が深く試されるドラマへと昇華。この構成の大胆な転換と緻密な脚本設計が、視聴者に強烈な余韻を残した。 - 堤幸彦監督による“映像と雰囲気の魔術”
オープニング映像に坂本龍一プロデュースの中谷美紀歌唱『クロニック・ラヴ』を組み合わせ、不穏かつスタイリッシュな世界観を瞬時に構築。フラッシュバック映像を利用した独特のスタイルで、各話のヒントに相当するカットが含まれている。
堤監督の演出は、“シュールで気味悪いカット”と“事件の現実感”を共存させ、視聴者の感覚を揺さぶり続ける。 - クセの強い脇役陣が彩る二係の人間模様
鈴木紗理奈(木戸)、竜雷太(野々村)、泉谷しげる(壺坂)ら、クセ者刑事たちが事件解決と人間ドラマに厚みを加えた。リアルで人間味ある彼らの存在が、バディに説得力と物語の奥行きを与えている。 - 評価と影響—ミステリドラマの“型破り”遺産
第20回ドラマアカデミー賞では作品賞ほか主要部門を席巻し、革新的な映像と脚本・演出が高く評価。本作のスタイルは後に『SPEC』シリーズへと継承。若手刑事ものドラマに与えた影響は非常に大きく、もはや“ジャンル定番”の金字塔。
ケイゾク あらすじ
警視庁捜査一課の中でも「迷宮入り=未解決事件」を専門に扱う第二係(通称:弐係)に、東大卒の新人キャリア・柴田純(中谷美紀)が配属される。論理的思考力と記憶力に優れるが、極度の天然ボケで、奇抜な行動や言動が目立つ変わり者だ。彼女とバディを組むのは、警視庁公安部出身の真山徹(渡部篤郎)。冷静沈着で皮肉屋、独自の捜査スタイルを持つが、心の奥にはある過去への深い傷を抱えている。
そんな2人が、時効寸前の事件、不可解な変死、失踪、連続殺人などの未解決事件に挑んでいくが、事件解決の糸口が次第に見え始めるとともに、弐係を取り巻く闇、そして真山の過去にまつわる謎の人物「朝倉」の影が浮かび上がっていく。やがて、「事件の真相を暴くこと」と「人の心を救うこと」がぶつかり合い、2人は刑事として、そして人間としての選択を迫られていく——。
ケイゾクを観るには?
ケイゾクのキャスト
真山 徹(警部補) – 渡部篤郎
野々村 光太郎(警部) – 竜雷太
近藤 昭男(巡査) – 徳井優
谷口 剛(巡査部長) – 長江英和
遠山 金太郎(京都大学卒) – 生瀬勝久
捜査一課
木戸 彩(捜査一課一係の庶務) – 鈴木紗理奈
壺坂 邦男(警部補) – 泉谷しげる
林田 誠一(捜査一課一係の係長・警部) – 矢島健一
長尾 昇(捜査一課の主任警部補) – 有福正志
早乙女 仁(キャリア組の管理官) – 野口五郎
塩川 正義(早乙女の後任の管理官) – 伊丹幸雄
SWEEP(特殊捜査班)
斑目 重友(公安時代の真山の部下) – 村井克行
その他
朝倉 裕人(真山の妹を輪姦した少年たちのリーダー) – 高木将大
大沢 麻衣子(世田谷区役所勤務) – 西尾まり
真山 沙織(真山の妹) – 多田亜沙美
KEE(記者) – KEE
今井 夏紀(婦警) – 峯村リエ、今井夏木
サバ男(鯖と包丁を持つオヤジ) – 和気伸嘉
ケイゾクのスタッフ
音楽 – 見岳章
演出 – 堤幸彦、伊佐野英樹、金子文紀、今井夏木
主題歌 – 中谷美紀「クロニック・ラヴ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
作詞 – 中谷美紀 / 作曲・編曲 – 坂本龍一
演出助手 – 今井夏木、麻生学、河合勇人、加藤新(特別篇のみ)
企画協力 – 蒔田光治
タイトルバック – 薗田賢次
技術プロデューサー – 島崎孝雄
撮影 – 唐沢悟、斑目重友
映像 – 吉岡辰伸
照明 – 石田健司、的場謙一
音声 – 臼井久雄
編集 – 大野昌寛
効果 – 小川広美(東洋音響)
美術 – 青木ゆかり
音楽プロデュース – 志田博英
プロデュース – 植田博樹
『ケイゾク』は、「未解決=ケイゾク」を題材にした型破り刑事ドラマの傑作です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。