本作のヒットを受け、翌年2004年7月~9月期に同じ「稲森いずみ&高橋克典&TBS」かつ「高橋克典がバツイチ男役」でドラマ『バツ彼』(脚本:小松江里子)が制作された。
年下の男の感想
2003年のドラマで、稲森いずみはこの前年より主演ドラマが増えて出づっぱりとなり、2005年の「曲がり角の彼女」に至る。
稲森は30歳のOLで、「女が綺麗なのは16歳から25歳までだ」と呟く入浴シーンからドラマは始まる。タイトルの「年下の男」は、稲森の弟の友人(賀集利樹という最近では見ない人)のことかと思って見ているうちに、42歳の高橋克典が謎の男として現れる。そしてカツノリが「年下の男」となるのは、稲森の50歳の母親(風吹ジュン)にとってなのだ。
風吹ジュン(年下の男)
「女にはもういい」と稲森を振ったカツノリはその足で弁当屋パートの風吹をホテルの中華に誘い、夜景バックのエレベーターでキスをして、「部屋をとっていいですか」という謎の行動をとるのだが、この居心地の悪い展開を書いたのは55歳の内館牧子である。さて、どうオチをつけるのか。トラウマになったという人もいるらしいので、続きは見終えてから(と書きつつ、最後まで観なかった)。
「さよならみどりちゃん」に出る2年も前の星野真里が出ている。
年下の男 見どころ
一見平凡な母と娘が、一人の「年下の男」をめぐって愛憎劇を繰り広げるという刺激的な内容で、女性の年齢と恋愛、結婚、家族の絆といったテーマを掘り下げたドラマ。それまで描かれることのなかった50代女性の恋心、娘世代との価値観のずれ、それでも崩れない家族の愛の形を問いかけた。
- 内館牧子が描く「大人の恋愛」と「女性の欲望」
内館牧子が、女性の心の機微、年齢を重ねた女性が抱える葛藤、恋愛や性に対するリアルな欲望を真正面から描いた。50代の女性が恋に落ち、ときめきや愛情に目覚めていく様子が丁寧に描かれている。 - 風吹ジュンと稲森いずみの母娘役
風吹ジュンが、平凡な主婦から一転、恋に生きる女性へと変貌していく母・花枝を喜怒哀楽豊かに演じる。感情の揺れ動きは圧巻。稲森いずみは、母の不倫を知り苦悩しながらも、自身の恋愛や人生と向き合っていく娘・千華子を繊細に表現。複雑な母娘関係の描写がドラマの大きな魅力。 - 高橋克典演じる「年下の男」伊崎
母娘両方から思われるキーパーソン、伊崎を演じる高橋克典。男の色気、時に強引な魅力が花枝と千華子の心を揺さぶり、母娘の関係に決定的な亀裂と新たな絆をもたらす。 - 賀集利樹演じる「年下の男」謙吾
娘・千華子と関係を持つ年下の男性・謙吾を賀集利樹さんが演じる。彼の登場が千華子の心情にどのような影響を与えるのか、「年下の男」という存在が持つ多面性が描かれる。 - リアルな家族の崩壊と再生
不倫をきっかけに一見幸せに見えた家庭が崩壊していく過程が赤裸々に描かれる。ドロドロ劇に終わらず、最終的には家族が真の愛とは何かを見つめ直し、新たな形で関係を再構築していく希望も描かれている。母親の娘を思う姿、娘が母親の愛の深さを知る姿が胸を打つ。 - 社会的な話題性
「母と娘が同じ男を好きになる」「50代女性の恋愛」といった当時としてはセンセーショナルなテーマが社会的に話題になった。
年下の男のあらすじ
30歳のOL・山口千華子(稲森)は、温かい家族に恵まれてはいるものの、仕事にやりがいを感じておらず、恋人もおらず、結婚の予定もない生活に焦りと虚しさを感じている。そんな中、行きつけのスポーツジムで大人の雰囲気の伊崎駿に出逢うが、思い切ってアタックしたところ「女は必要ない」と振られてしまいショックを受ける。
そんな千華子に、弟・卓の友人、謙吾が接近。初めは年上の女を落としてみたいという興味本位でしかなかった謙吾だが、次第に本気で彼女に惹かれ、千華子も優しく情熱的な謙吾を愛するようになる。しかし付き合いが深まるにしたがい、8歳の年の差は互いに遠慮と物足りなさを生む。
一方、千華子を振った伊崎はいきつけの弁当屋で出逢った女性をひょんなことから食事に誘うが、彼女は千華子の母・花枝だった。伊崎は千華子の大らかな優しさ、屈託のなさに強烈に惹かれ、二人は許されない関係に堕ちる。
母が自分を振った相手との不倫に苦しんでいるとは知らず、また恋人が娘の恋した相手とは知らず、母と娘は同じ一人の男をめぐってそれぞれに苦悩する…。
年下の男を観るには?
年下の男のキャスト
山口 千華子 – 稲森いずみ
山口 花枝 – 風吹ジュン
山口 勇一郎 – 平田満
山口 卓 – 山崎裕太
■伊崎家
伊崎 駿 – 高橋克典
岡崎 次郎 – 高橋昌也
■その他
玉井 梓 – 麻生祐未
辻 謙吾 – 賀集利樹
北村 亜沙美 – 星野真里